土曜日はちいさなお城
先日。吉祥寺でずいぶんと長い一日を過ごした。
吉祥寺に行くのも、なんだかんだで久しぶり。気取っていないのにハレの日感がある街で、単純にたのしい。そういえば、お花見の時期には、もう何年も行っていないなあ。
朝一で出かけて用事をひとつ済ませ、そのままちょっと早めのお昼ごはんに向かう。
前日に予定を伝えたら、外でできる作業を持って行こうかなと恋人も言ったので、単に用事を済ませるだけの一日が、期せずしてお出かけデーに。
お昼はちょっと健康的なものが食べたくて、八十八夜に。お隣のいせやのいい匂いに唆されながら、階段をなんんとかのぼりきる。
からあげというものが、わたしは心底好きなのだけれど、ここのからあげはふわっさくっとしていてぜんぜんジャンクじゃなくてちょっと別ジャンル。でもてんぷらとかフリッとではないんだよなあ。ふしぎな味。
かなりのオシャレサイズなので、これだけだと腹八分目という感じ。食後についてくるドリンクがしっかりおいしいので、それを楽しみつつ、のんびりする御代も含めたランチ代かなあ。
そういえば、吉祥寺にいたころは雑穀米ばかり食べていたなと思いながら、するするとワンプレートをたいらげた。
お昼を食べたら帰るかな……くらいの気持ちだったのだけれど、ずいぶんと天気のいい日で、そのまま帰るのもしのびなく、もう少し外をふらふらすることに。
ぐるっと公園をひとまわりしてもよいなあと思いつつ、天気のいい日にひんやりと涼しい室内から外の景色を眺めるほど心たのしいことはないので、表の見えるカフェを探して入る。
その前に書店によって、わたしは久しぶりに単行本で本を買った。
辻村深月さんの新刊。
本を片手にアーケード街を練り歩く。少しアーケードの外に出ると、もはや夏日の東京の土曜日は夏休みのように底抜けに明るい。じりじりと日焼け止めが必要な強さで太陽が照りつけ、ありもしないプールの匂いがどこからかしてくるからふしぎだ。
そんな明るい土曜日の午後に、ひっそりと静かであつい小説を読んでいるうちに日が暮れていく。
結局、軽い晩ごはんまで食べて、夜の9時頃にようやく吉祥寺を後にした。
永遠に終わらないような気がした長い長い土曜日で、今思い出しても、なんだか遠い記憶のようにひたすら乾いて明るい光景がまぶたの奥に広がる。
同じ日に買ったこちらの本は、そのさっぱりとした後味を消し去りたくなくて、結局数ページしか読んでいない。
そんな土曜日の思い出。
AM7:00にジャムを煮る
先週今週と、朝からジャムを煮ている。
まさか自分の人生で、朝からジャムを煮る週末がくるとは思わなかった。そんな子どものころに読んだ少女小説の登場人物みたいな行動をするなんて。人生っておもしろい。
先週なんて6時に目が覚め、朝ごはんを食べてしまったら特にすることがなくなり、7時過ぎからことことと煮はじめた。
急にそんな乙女ちっくな行動に走った理由は特になくて、苺がたたき売りされてたから。
小粒な苺がぎっしり。
そのまま食べたり、シェイクにしてもいいのだけれど(実際それもやった)、ちょっと酸味が強かったのでジャムにすることに。
あ、そういえば連休中に読んだ『きのう何食べた?』でシロさんがつくっていたのが、直接的な動機といえば動機かも。今調べたら、1巻で既にジャムを煮ているみたい。これを読むと、わたしの自炊モチベーションはわかりやすく上がるので。
何度読んでも同じ効果があるのがすごい。
きれいに洗ってへたをとった苺を小さな鍋に放り込んで、その中でざっくりお砂糖と混ぜ合わせる。どうせ煮ながら多少つぶれるので、苺は刻まずにそのままで。
ほんとうはこの時点で時間を置くらしいのだけれど、シロップ煮でもいいかなくらいの気持ちだったので、雑にそのまま火にかける。
苺とお砂糖、そしてレモン汁だけなのに、あっというまにぶわわっと甘い液体がお鍋の中にあふれてきてびっくりする。
人生ではじめて作ったのは小学校の生活の授業だったと思う。もちろん、一年生が火を使えるはずもなくて、ひたすらくだものをスプーンの背でつぶしていくという、いかにも原始的な方法だったけれど。
班ごとに課題の果物がちがって、たしかわたしのいた班は、ぶどうのジャムというずいぶんと渋いものを割り当てられていたと思う。
それ以来のジャムづくり。
7時でも、もうしっかりと明るい東京の朝の光の中、キッチンで甘ずっぱい匂いをいっぱいに吸い込みながら、ちょっとノスタルジックな気持ち。
10分ほどでびっくりするほどあくが出てくるので、それをこまめにすくうために、コンロの前にちいさな脚立を持ってきて火の番を。本を読みながら、ことことことこと小一時間煮込む。
今日のおともは、『ラオスにいったい何があるというんですか?』。一章一章が短い紀行文なので、ついお鍋の世話を忘れてジャムを焦がしてしまう……という悲しい展開にもならないかなと思って選んだ。
とろりとしてきたところで、火を止め、瓶につめてひっくり返して粗熱をとる。このままパンケーキにかけたりしてもおいしいと思う。
新しく作ったものが冷めるのを待ちながら、先週作ったジャムをハーゲンダッツのバニラにかけて、贅沢な土曜日のおやつに。
ジャムを煮る女の人には悩みごとがあると書いていたのはなんの小説だったっけ、わたしはよっぽど気持ちがぽっかり凪いでいるときにしかこれは作れないなと思いながら、おいしくたいらげた。
悩みを煮詰めるまではいいのだけれど、それがきれいな色で華奢な瓶に数か月保存されると思うと、なんだかそれはすさまじい感じがしてちょっとためらう。
悩みが次々きれいな色のジャムになっていくなんて、ファンタジックでかわいいようでいて、冷静になるとだいぶこわい。
嫌なことは全部端から忘れてしまいたいタイプなので、しあわせなときにだけジャムは煮ようと思いながら、なんだか煮込みたりなくて、晩ごはんはリクエスト通りロールキャベツをつくった。
ロールキャベツは数年前に一度作って、びっくりするほどきれいにつつめなかったので、苦手な料理のひとつ。
今日じゃなければ、作る勇気がわかなかったかもしれない。
結論から言うとロールキャベツはびっくりするほど簡単にできた。たぶんコツは、ちゃんと大きなキャベツを見つけることだと思う。
今日はいつもより1.5倍くらいのサイズのキャベツを見つけたので、前回ちっともきれいに包めなくてただのキャベツとハンバーグの重ね煮になってしまったのが嘘のように、おどろくほどきれいにできた。
お肉のタネ自体にしっかり味を付けたので、たっぷりのコンソメスープで煮ただけでしっかりおいしく。
こうやって煮込んだそばから、ぱくぱく食べてなくしてしまえるものなら、煮込むのってやっぱりストレス解消になるかも。
11年目の青い海
てくてく歩いて、泊海水浴場に。
あとで知らべたら、最初についた野伏港から歩いて5分くらいの近さだったらしい。最後にもうひとつ海を見たいというときにはぴったり。
今回3つ訪れた海の中で、わたしはこちらの海がいちばん好きだったかも。
あまり人がいない季節に海に行くのが好きなので、がらんとした海水浴場は何度も歩いたことがある。
季節外れの海水浴場というのは時間帯によってはほんとうに誰もいなくて、それがともすれば、物悲しい静けさを醸し出すものだけれど、ここはただぽかんとひたすら明るくて。
砂浜といいつつも、けっこう大き目な小石も転がっているので、歩くのなら裸足よりはビーチサンダルがあるといいと思う。
箱庭のようにしずかできれいな砂浜を見渡しながら、わたしはずっと、小学生のときに国語の教科書で読んだ話を思い出していた。
お父さんだかおじさんだかがソーミンチャンプルー(あの話ではじめてチャンプルーという料理をわたしは覚えた)を作ってくれるシーンで、なんだかこんな海が挿絵として入っていた気がするのだけれど。
記憶はふしぎだ。
緑がけぶる人っ子ひとり通らない道を、「このみちーはー いつかきたみーちー」と歌いながら港へ向かって歩く。
港には、乗船時刻の15分前に着いた。
今回は島の右半分をぐるりと回っておしまいという弾丸日帰りトラベルだったけれど、次はもっとのんびり来たいなあ…と思っていたら、帰りの船が30分遅れるとのアナウンスが。
日帰りの旅だと、まだぜんぜん疲れていないのでこういうハプニングもうれしい。
どこかに行って戻ってくるほどの時間はないかなということで、港のまわりをぶらぶら。
まわりのどこを見ても海なので、それだけで心たのしい。ほんとうに海がきれい。
屋外だけれど、屋根のある待合場所があるので、まださほど暑くない5月のはじめであれば、30分待つのはまったく苦ではなかったなあ。
後で食べようと思って、お昼ごはんといっしょに買っていたたまごサンドをひとつずつつまみながら、海を眺める。
たまごサンドは三角に切られたクラシックなやつで、茹でたたまごをつぶしたシンプルなもの。
ちいさいころ、家で母が作ってくれたような懐かしいやつだ。
少しひんやりしてきて買った、あたたかい紅茶花伝も、子どものころとても好きだった飲み物。
そうこうして、とりとめのない話をしているうちに、遅れていた船が到着した。
行きよりもだいぶ大きな船に、待っていた人々といっしょに乗り込んで、ここから3時間で日常だ。
今度は温泉の方にも行ってみよう、と喋りながら、涼しい船内で今日撮った写真を眺めている間に、いつのまにか眠りこけてしまった。
なにか厚ぼったいミステリーでも持って行って、日がな一日、海のそばでだらだらお酒を飲みながら過ごすのもいいなあ。
GW中、結局たいそうな遠出をしたのはこの日だけだったのに、ものすごく休んだ気分になる都心から3時間の楽園だった。
上京してきてからずっと、きれいな海に飢えていたけれど、十年を超えてようやく東京で海を見つけた。ずいぶんと慣れてきたのは気のせいではない。
でも、見つけてないきれいなものも、きっとまだまだここにはある。
水曜日のバカンス
15分ほど歩くと、するりと民宿街に辿り着く。急に人やお店がたくさん出てきて(あくまで島比だけれど)ものすごくにぎやかに。
先ほどまで歩いても歩いても緑だったのが嘘みたい。
夏の似合う島らしく、カラフルな色合いの背の低い建物がぎゅっと集まっている。このあたりにきてようやく、自転車にも車にも乗っていない人とすれちがったかな。
お昼はこの通りの「おくやま」さんで売っているづけ丼を買って行こう、と思っていたので、ちょっと人通りの多さにはらはらするくらい。
お店に着いたのは12時半過ぎだったのだけれど、無事、づけ丼とまぐろのたたき丼をゲットして一安心。
それぞれおべんとうの相棒にビールを1本ずつ選び、浮かれた調子で外に出て、うっかり更に浮かれたいでたちになった。
となりにあるレンタサイクル屋の「まんぼう」さんで、ソフトクリーム!
まだ石白川海岸のすぐ近くにある「パラダイス」というかき氷屋さんはやっていなかったので、ここで浮かれた行動に出てよかったー。やっぱりおやすみなんだから、ソフトクリームを食べないと。
そろそろ太陽もかなり高くなり、暑くなっていたのでめずらしくバニラではなく、さわやかなメロンフレーバーを選んだのだけれど、見た目のシャリシャリ感よりも実際に食べるとクリーミーな味わいでほてった体に染みわたるおいしさ。
ソフトクリームを舐め終わるころにまた視界が開けて、海が広がっているのが見える。
石白河海岸だ。
砂浜に降りる階段の途中に、海を眺めながら食事ができる場所を発見、木のテーブルとイスがあるスペースで、屋根はないもののたっぷりした緑が頭上を覆っているため、腰を降ろしていてもちっとも暑くない。
というわけで、かんぱーい。
まさに水曜日のバカンスだったので、久しぶりに水曜日のネコを。このパッケージ、ほんとうにかわいい!
都会で飲むのが似合うとばかり思っていたけれど、こんな風に島でお昼ごはんといっしょに飲むのもよく似合う。
とても口あたりの軽いベルギービールで、太陽の下で飲んでいるとなんだかノンアルコールみたい。
乾杯をしたら、すぐにいそいそおべんとうを開けて。
わたしは初志貫徹で、づけ丼を。大島にも行きたかったなと思っていた最大の理由がべっこうずしだったので、これでもう大満足!
しっかり味がついているのにしょっぱすぎず、からしをつけるとちょうどいいピリッと感が生まれる。ごはんが酢飯なのも個人的にはうれしい。お酒が進む味!
島歩きで失った塩分を補いつつ、生ものなのでぱくぱくと一気に完食。明日葉のお惣菜があっさりした味だったので、いい箸休めになった。
恋人はづけがあまり得意ではないので、好物のまぐろのたたき丼を。
こちらも一口もらったら、すごーくおいしかった!
どちらもちょうどいいボリューム。帰りにもう少し何か食べ歩きできそうだなあ、という八部目な感じ。
残っていたビールもごくごく飲んで缶を開け、砂浜に降りてみることに。
喜び勇んでサンダルを脱ぎ、足首までだけでした早めの海水浴は、水がエメラルド色でともかくきれい。ちっとも写真を撮っていないことには、帰ってから気づいた。
ひんやりと冷たいけれど、ずっと歩いてあたたまっていた体には心地いいくらいの適度な冷たさ。全身使ってもたぶん泳げる温度だったんじゃないかなあ。
とても小さな海水浴場なせいか、砂浜にいる人がみんな適度なバランスを持って配置されているかなんだか箱庭みたいな海。
シュノーケルをしている人もいたので、水中アクティビティが好きなら、夢のような海かと。
真夏に来たらそれでももっと人がおおそうなので、ゆっくり海に浸るにはこれくらいの時期がいちばんいいかもしれない。
ごはんを食べて、お酒を飲んで、海に足を浸して……ともかくのんびりのんびりして。
これで旅の目的はぜんぶ達成! と言いたいところなのだけれど、島の海を堪能するべくもうひとつ海水浴場をはしごすることに。
というわけで、ぐるっと来た道を戻り、帰りの船が出る野伏港の近くにある泊海水浴場へ。
くじらのいる公園
8時に東京を出発して、式根島に着いたときは11時ごろ。とにもかくにもおなかが空いた! ということで、まずは朝ごはんを調達しにいくことに。
朝はパン派なので、あげぱんが売っているという池村商店さんをめざして進む。中学校と小学校の近くらしいとだけ調べ、とりあえずそのあたりに向かって。
地図を見ながらとはいえ、とても雑な歩き方だったのだけれど、なんとなく曲がるべき角で曲がり、あとは道なりに進むと、するするお店の場所まで辿り着いた。
港からお店までの道は、わたしたち以外誰も歩いてなくて、車も自転車もほとんど通らず、ただただこぼれるような緑が続く。
そんなずいぶん静かな道がお店があるあたりで急に開けて、郵便局や学校が見えてくる。
既にお客さんがちらほらいる店内の奥へ進み、3種類あるあげぱんの中でシナモンを。
実は給食であげぱんというものを食べた記憶がない(あるのかもしれない)ので、体感的には、ほぼ人生初あげぱん。
これが、けっこうなサイズでびっくり!
中になにかが挟まれているわけでもないのに、パン自体がもちもちしていて、なんだかプレッツエルの更にもっちりした版みたいなものなのね。たっぷりまぶされたシナモンもおいしく、ぺろり。
ほかにも焼きたてのパンや、アカイカの焼きそばなんかもあっておいしそうだった!
あげぱんを齧りながら郵便局の横を曲がると、右手に小学校、少し歩くと左手に中学校が見えてきて、なんだかほんとうにとってもとってものどかな気分。
郵便局のあたりには人がいたのだけれど、中学校を超えると、また緑と太陽だけの道に戻る。
こぼれるような緑があるせいか、風が適度にあるせいか、太陽はしっかり出ているのにそんなに暑くなくて意外に歩けるものだなあ、と。
おなかがいっぱいになったので、とりあえず海が見たいという欲求を満たすべく、がんがん歩いていたら歩き過ぎて、高台に出てしまった。
小の口公園という公園なのだけれど、突如大きな公園が出現してまずびっくりし、その隅にはかなりのサイズのくじらが寝転んでいて、二度びっくり。
小学一年生のとき、国語の授業で『くじらぐも』という話をやったことを思い出した。あの物語を習ってからしばらくは、校庭でやる体育の準備体操で空を見上げるのがたのしみだったっけ。
奥にはかんたんなアスレチック遊具や、東屋もある。
子どものころ大好きで、どこの公園に行っても混んでて順番待ちだったターザンロープ(?)が、ただ風にゆらゆらと揺れていて、なんだか人が消えてしまったみたいに静かな公園だ。
こんなところで子どものころGWに遊べたら天国だろうなあ……。
きれいに整えられた花壇も美しく、ここでおべんとうを食べるのもしあわせだと思う。
もちろん、この公園からも海が見える。
ずっと内陸を歩いていたので、港を離れて以来、久々に見る海! どこまでもどこまでも青い。
こちらの海は砂浜ではなく、どうやら下に降りると釣り場がある(?)らしく。
降りられそうな階段も急だったので上から眺めるだけ眺め、港から30分弱ほぼずっと歩きっぱなしだったので、東屋に座って船の中で買っていたお茶を飲んで一休みした。
あまりにのどかで、こちらでしばらくぼーっとしてもよかったのだけれど、海は海でも砂浜のある海をより強く求めているので、少しだけ休んでまた歩き出す。
そろそろビールも飲みたかったし!
というわけで、海を見ながら乾杯をするべく、民宿街に寄ってから石白川海岸に向かうことに。
3時間先にある小さな楽園
のんびりしたのんびりした! と連呼したGWだけれど、1日だけ、のんびりはのんびりでも少し異世界でのんびりしてきた。
竹芝桟橋から高速フェリーで約3時間の距離にある小さな楽園。
式根島という伊豆七島のひとつで、ほんとうに小さな島。大島と迷っていたのだけれど、「ともかく静かなところで、きれいな海が見たい」という願いを叶えるならこちらかな、と。
前日に調べて予約してという突発的な旅で、日帰り。島の滞在時間は、帰りの便がおくれて尚なんと5時間弱(!)という弾丸トラベルだった。
調べた限りでは、きれいな砂浜と温泉とがある静かな島という認識だったのだけれど、実際行ってみるとたしかにそのとおり。けぶるような緑と、びっくりするほど凪いだ海。
温泉は近くまで行って、やっぱりもう一度海を見ることを優先してしまったので、次回に持ち越し。
特になにをしたわけではないとはいえ、あんまりネット上で情報を見かけなかったので、自分の備忘録として。
ゴールデンウィークだったので、前日のお昼頃に電話で予約をした時点で、朝8時の便は残りわずか。滑り込みで予約をして、後は当日、早起きをするだけ。
と思っていたのだけれど、なぜか出発の時刻を翌日からのタイムスケジュールのものと勘違いして、めちゃくちゃギリギリに竹芝桟橋に着いてしまった。浜松町駅からも5分くらい歩くので、久しぶりに全力疾走。
竹芝駅からだとほぼ歩かないみたいなので、そちらで降りた方がいいかもしれない。
勝手にもっと大きなフェリーを想像していたのだけれど、こじんまりとしたかわいい舟。2階建てのジェット船だった。
そして、こちらも勝手に自由席だと思っていたら、なんとばっちり指定席で、しかも滑り込みなのに窓際が取れていて、とても快適な3時間の船旅。
ただ、こじんまりしている分、船の中には飲み物の自動販売機があるくらいなので、おかしやお弁当は持ち込んだ方がより快適に過ごせそう。
われわれはばたばたしていてので、まったく途中で何も買う時間がなく、朝、家を出るときに持って出ていたアルフォートとチョコレートをひとつずつかじって朝ごはんをすませることに。
こういうときにかじるチョコレートって、ほんとうに非常食っぽい。
船が安定するとベルトを外していいサインが出るので、自動販売機でお茶とアクエリアスを買って一眠り。
二度寝も、揺れる船の中、海の上でするとなんだかとても贅沢で心たのしい時間になる。やってることはいつもと同じなのに、ふしぎだ。
式根島が最終目的にではない便なので、爆睡していると降り損ねる恐れがあるところだけ注意して……と思っていたのに、気づけばぐうぐうと爆睡して二時間半が過ぎ。
意外としっかり電波が入ったので式根島観光協会のサイト(デザインがすごくかわいい!)*1を見て、付け焼刃的に予習をして、気づいたらまた一眠りしていた。
アナウンスの音で目が覚めると、ちょうど式根島。
もっとたくさん大島で降りるのかと思ったら、意外にもたくさんの人が残っていて、そのうちの結構な人数がいっしょに式根島に降り立った。
カラフルな船を見送りながらまわりを見渡すと、みんな民宿の送迎バスへ歩いて行っている。なるほど。レンタサイクルでの移動が主流、と船の中でした予習で学んだのだけれどレンタサイクル屋さんに行くまでの移動手段が必要なのかも。
でも、とにかく小さな島ということだったので、恐れず歩き出すことに。
道なりに歩いて行くと、すぐに観光協会と島全体の地図を描いた立て看板があるので、迷う心配はないと思う。
結局、島の中はぜんぶ歩いて移動したのだけれど、わりあい坂が多いので電動自転車じゃないレンタサイクルなら、歩きの方が楽かもしれない。
スニーカーが楽だとはわかりつつ、海にざぶざぶ脚を浸したかったのでサンダルで。それでもふだんヒールで歩きなれている人なら、ぜんぜん歩けるくらい。
帰りはここにまた来ればいいという確認をして(行きの船で降りる場所と同じ野伏港)、いざ出発。
船が好きなので、到着した時点で既にずいぶんと満足しながら、島の中心部へ向かって進み始めた。
食べて眠って、ごはんをつくって
何をしたというでもないGW。とってものんびりしたホリデイだった。
朝ごはんをちゃんと食べて、お昼ごはんはちょっとズルをして、晩ごはんは自炊して。そういうふつうの生活をきちんとして、いろいろ整った気がする。
朝は永遠にパンと卵とベーコンでいいし、それがいちばん好き。一日だけまいたけといっしょに、ちょっと和風の味付けで食べたのもすごくおいしかった!
休みの日だと毎日朝ごはんを食べてちゃんと飲みきれるので、冷蔵庫にフルーツジュースがあるのがうれしい。このGWはピンクグレープフルーツ。
ちゃんとごはんを食べた以外は、ほんとうになんの無理もしない一週間だったなあ。
だらだら録りだめていた録画を見て(久しぶりに民放のドラマを録画している春クール)、どこまで買ったか忘れてた『きのう何食べた?』を全巻一気読みして、最新刊を買いに行ったり。
GW後半の自炊欲の8割くらいは、このまんがの威力な気がする。
副菜を作らねば! という呪いも同時にかかるけど。何巻だか失念してしまったけれど、てんぷらの話がとても好き。てんぷらに必要なものは、という定義に声を出して笑ってしまった。
ドラマは、天海さんが主演なので『緊急取調室』の2期(当然)と、原作を読んで面白かった『リバース』と、1・2話を続けてみたら面白かった『ボク、運命の人です。』の3本を見ているのだけれど、どれも次回がほんとうにたのしみ!
トップキャスターコンビの再共演という贔屓目がある気もするけれど、『キントリ』は第4回がいちばん好きだったなあ。
最近、石田ゆり子さんのハニオ日記@Instagramに日々癒されているので、『CRISIS』も観たいのだけれど。
あとは少しだけ本を読んだり、行こうと思っていた映画にも行かないまま終えたくらい、のんびりした日々。
GW初日にこんな花を買って浮かれてたのも、なんだか遠い記憶。
小さなイエローのバラ。ピンクや赤、あるいは白以外のバラを自分で買うのは、それもその色だけ買って帰るのは、よく考えるとはじめただったかもしれない。
毎朝カーテンを開けて、花の水を換えて、窓を開けて換気もして。健康的なイエローがよく似合うハッピーな一週間だった。
それでも、こうしてふつうの週末がやってくるとなんだかほっとする。
昨日は朝から雨がずっと降っていて、久しぶりに少し肌寒かったので、次はもう秋かなと思ってシチューを作った。別に夏に食べてもいいのだけれど、やっぱりシチューは寒いときに手を温めながら食べたい。
ちょうどGWの遺産として残っていた牛乳を、丸々1本使って。
ちょっと多いかなというくらい作っておいて翌朝のスープにするのが好きなので、土鍋2つ分せっせと作った。
というわけで、今朝は7時に起きて少し牛乳を足して伸ばして、昨日買っておいたパンもしっかり温め直して、手間いらずの朝ごはん。
お昼は、この間帰省したときにおいしいめんつゆを買って帰ったので、久しぶりに家でうどんをゆでる予定。
しらすと生卵で釜玉うどん。同じ組み合わせでたまごかけごはんも好きだけれど、たまにはうどんもいいなあ。うどんは昨日買っておいた冷凍のさぬきうどん。
そういえば、雨の中、ゆっくり食材の買い出しに行くのもすごくたのしかった。緑が雨にぬれているのを見ながら歩くと、心底ほっとする。
買い物というものがわたしはすごく好きで、なにかの区切りに少し大きな買い物をするのを生きがいにしている節がある。でも、こうやってスーパーで週末の食材を買い込んでいる帰り道がいちばん好きかもしれない。