ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

AM7:00にジャムを煮る

先週今週と、朝からジャムを煮ている。

まさか自分の人生で、朝からジャムを煮る週末がくるとは思わなかった。そんな子どものころに読んだ少女小説の登場人物みたいな行動をするなんて。人生っておもしろい。

先週なんて6時に目が覚め、朝ごはんを食べてしまったら特にすることがなくなり、7時過ぎからことことと煮はじめた。

急にそんな乙女ちっくな行動に走った理由は特になくて、苺がたたき売りされてたから。

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小粒な苺がぎっしり。

そのまま食べたり、シェイクにしてもいいのだけれど(実際それもやった)、ちょっと酸味が強かったのでジャムにすることに。

あ、そういえば連休中に読んだ『きのう何食べた?』でシロさんがつくっていたのが、直接的な動機といえば動機かも。今調べたら、1巻で既にジャムを煮ているみたい。これを読むと、わたしの自炊モチベーションはわかりやすく上がるので。

何度読んでも同じ効果があるのがすごい。

きれいに洗ってへたをとった苺を小さな鍋に放り込んで、その中でざっくりお砂糖と混ぜ合わせる。どうせ煮ながら多少つぶれるので、苺は刻まずにそのままで。

ほんとうはこの時点で時間を置くらしいのだけれど、シロップ煮でもいいかなくらいの気持ちだったので、雑にそのまま火にかける。

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苺とお砂糖、そしてレモン汁だけなのに、あっというまにぶわわっと甘い液体がお鍋の中にあふれてきてびっくりする。

人生ではじめて作ったのは小学校の生活の授業だったと思う。もちろん、一年生が火を使えるはずもなくて、ひたすらくだものをスプーンの背でつぶしていくという、いかにも原始的な方法だったけれど。

班ごとに課題の果物がちがって、たしかわたしのいた班は、ぶどうのジャムというずいぶんと渋いものを割り当てられていたと思う。

それ以来のジャムづくり。

7時でも、もうしっかりと明るい東京の朝の光の中、キッチンで甘ずっぱい匂いをいっぱいに吸い込みながら、ちょっとノスタルジックな気持ち。

10分ほどでびっくりするほどあくが出てくるので、それをこまめにすくうために、コンロの前にちいさな脚立を持ってきて火の番を。本を読みながら、ことことことこと小一時間煮込む。

今日のおともは、『ラオスにいったい何があるというんですか?』。一章一章が短い紀行文なので、ついお鍋の世話を忘れてジャムを焦がしてしまう……という悲しい展開にもならないかなと思って選んだ。

とろりとしてきたところで、火を止め、瓶につめてひっくり返して粗熱をとる。このままパンケーキにかけたりしてもおいしいと思う。

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新しく作ったものが冷めるのを待ちながら、先週作ったジャムをハーゲンダッツのバニラにかけて、贅沢な土曜日のおやつに。

ジャムを煮る女の人には悩みごとがあると書いていたのはなんの小説だったっけ、わたしはよっぽど気持ちがぽっかり凪いでいるときにしかこれは作れないなと思いながら、おいしくたいらげた。

悩みを煮詰めるまではいいのだけれど、それがきれいな色で華奢な瓶に数か月保存されると思うと、なんだかそれはすさまじい感じがしてちょっとためらう。

悩みが次々きれいな色のジャムになっていくなんて、ファンタジックでかわいいようでいて、冷静になるとだいぶこわい。

嫌なことは全部端から忘れてしまいたいタイプなので、しあわせなときにだけジャムは煮ようと思いながら、なんだか煮込みたりなくて、晩ごはんはリクエスト通りロールキャベツをつくった。

 

ロールキャベツは数年前に一度作って、びっくりするほどきれいにつつめなかったので、苦手な料理のひとつ。

今日じゃなければ、作る勇気がわかなかったかもしれない。

結論から言うとロールキャベツはびっくりするほど簡単にできた。たぶんコツは、ちゃんと大きなキャベツを見つけることだと思う。

今日はいつもより1.5倍くらいのサイズのキャベツを見つけたので、前回ちっともきれいに包めなくてただのキャベツとハンバーグの重ね煮になってしまったのが嘘のように、おどろくほどきれいにできた。

お肉のタネ自体にしっかり味を付けたので、たっぷりのコンソメスープで煮ただけでしっかりおいしく。

こうやって煮込んだそばから、ぱくぱく食べてなくしてしまえるものなら、煮込むのってやっぱりストレス解消になるかも。