ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

土曜日はちいさなお城

先日。吉祥寺でずいぶんと長い一日を過ごした。

吉祥寺に行くのも、なんだかんだで久しぶり。気取っていないのにハレの日感がある街で、単純にたのしい。そういえば、お花見の時期には、もう何年も行っていないなあ。

朝一で出かけて用事をひとつ済ませ、そのままちょっと早めのお昼ごはんに向かう。

前日に予定を伝えたら、外でできる作業を持って行こうかなと恋人も言ったので、単に用事を済ませるだけの一日が、期せずしてお出かけデーに。

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お昼はちょっと健康的なものが食べたくて、八十八夜に。お隣のいせやのいい匂いに唆されながら、階段をなんんとかのぼりきる。

からあげというものが、わたしは心底好きなのだけれど、ここのからあげはふわっさくっとしていてぜんぜんジャンクじゃなくてちょっと別ジャンル。でもてんぷらとかフリッとではないんだよなあ。ふしぎな味。

かなりのオシャレサイズなので、これだけだと腹八分目という感じ。食後についてくるドリンクがしっかりおいしいので、それを楽しみつつ、のんびりする御代も含めたランチ代かなあ。

そういえば、吉祥寺にいたころは雑穀米ばかり食べていたなと思いながら、するするとワンプレートをたいらげた。

 

お昼を食べたら帰るかな……くらいの気持ちだったのだけれど、ずいぶんと天気のいい日で、そのまま帰るのもしのびなく、もう少し外をふらふらすることに。

ぐるっと公園をひとまわりしてもよいなあと思いつつ、天気のいい日にひんやりと涼しい室内から外の景色を眺めるほど心たのしいことはないので、表の見えるカフェを探して入る。

その前に書店によって、わたしは久しぶりに単行本で本を買った。 

かがみの孤城

かがみの孤城

 

辻村深月さんの新刊。

本を片手にアーケード街を練り歩く。少しアーケードの外に出ると、もはや夏日の東京の土曜日は夏休みのように底抜けに明るい。じりじりと日焼け止めが必要な強さで太陽が照りつけ、ありもしないプールの匂いがどこからかしてくるからふしぎだ。

そんな明るい土曜日の午後に、ひっそりと静かであつい小説を読んでいるうちに日が暮れていく。

結局、軽い晩ごはんまで食べて、夜の9時頃にようやく吉祥寺を後にした。

永遠に終わらないような気がした長い長い土曜日で、今思い出しても、なんだか遠い記憶のようにひたすら乾いて明るい光景がまぶたの奥に広がる。

同じ日に買ったこちらの本は、そのさっぱりとした後味を消し去りたくなくて、結局数ページしか読んでいない。 

BUTTER

BUTTER

 

そんな土曜日の思い出。