BE MY UNIVERSE?
年末になると、インスタの写真を見返して、「あれもこれもまだ書いてない」と焦るのが恒例行事になりつつある。
もういったいいつの話かしら……というのはしばらく置いておいて、とりあえず最近あげったっきりほったらかしにしていた日々の記録を、ちょこちょこと。
ものすごーく久しぶりに、ETUDE HOUSEのコスメを買った。
2017年のホリデーコレクション、"BE MY UNIVERSE!"のマルチパレット。久しぶりすぎて、決めきれず2個買い。
今年も何かクリスマスコフレを買おうかな、と思ってコフレと限定品のまとめを見ていたら、シックなデザインが多い中でこのがちゃっとした派手派手しさがぱっと目を引いて。
左側が#01 ピンクギャラクシーで、右側が#02ゴールデンギャラクシー。
セーラームーン世代としては、惑星をかわいく落とし込んだデザインは、それだけ無条件に手が伸びてしまう。
パッケージだけでいうと、派手派手で単純にテンションが上がる#01は本物を見ると、さらにぎらっとパリピな感じで、それが今っぽくてとてもかわいく。
でも、個人的にはぱきっとしたネイビーに派手な色が散らされている#02の方が、しっくりくるかわいさで。
迷ったあげく、もう大人なので、迷ったらどちらも買うことにした。
#02も、ちらちらとラメが入った色が使われていて派手になりそうなのだけれど、ネイビーにゴールドという配色がシックで、大人っぽくてかわいいコンパクト。
ぱぁっとテンションが上がるというのとはちがう、ちょっとした遊び心を忘れない感じのかわいさで、かなりツボ。
買うまではてっきりアイシャドウパレットなのだと思っていたのだけれど、買った後に調べてみたら、フェイスカラー1色&アイカラー6色のマルチパレットだった。
ひとまわり大きなものがフェイスカラーで、名前が#ゴールドプラネット。
ハイライトとして使えるもので、控えめな発色で大人っぽい。
ほかはアイシャドウなのだけれど、どれも色名がかわいくて、それだけでもときめく。
#ジュピターに#マーズに#プルートに。#グラビティという名称も好き。
#マーズと#プルートは、かなり使い勝手のいいそれぞれタイプのちがうブラウンで、この2色のどちらかを使えばぱっといい感じのブラウンメイクが完成する。
ブラウンシャドウは、ずっとルナソルのスキンモデリングアイズの#01を使っていて、それはもうたしかに名品中の名品なのだけれど、あれはとてもコンサバティブな発色と質感なので、少し強さやキャッチーさを出したいときはこちらかなぁ。
少し前にToo Facedのアイシャドウパレットがなくなるまでは、気持ちカジュアルな気分のブラウンはそちらに頼っていたので、その役割を担ってもらえそう。
Too Faced、デザインがおもちゃっぽくて好きなブランドなのだけど、なかなか日本では手に入らないのだよなー。
そして#01の中身はこちら。
買ったときには、「ぜったいに#02の方がよく使うだろうな、こちらはちょっとキャラじゃないパッケージも含めて、観賞用かな……」とぼんやり思ってた。
でも、実は、今現在だんぜん、毎朝こちらに手が伸びている。
ひとまわり大きいピンクのところが、#02とちがって少し淡めだけれどチークとして使えるので、こちらだと朝の身支度がちょっと楽、というのもあるだけれど、そのチークの下、ちょっと派手な赤のアイシャドウがとてもよくて!
#レッドワームホールという色名で、かなりはっきりとしたボルドーに発色する。細く引いたらアイラインの代わりになるくらい、くっきりした発色。
いちばん上の赤みがかったダークブラウン#アンドロメダに、真ん中の#タイムワープにと、はっきりした色の方がパンチが効いてて、とてもかわいい。
#タイムワープは、『ロッキー・ホラー・ショー』を観に行ったときに、はじめておろしてつけてみたけれど、色番がかわいいとそういうこともできてたのしいなー。
繊細な発色はやはり、粉質がいいものに分配が上がるものの、薄い分には重ねればいいので及第点。
ちなみに、チークの色名は#ピンクプラネット。どれもこれも、名前までしっかりかわいい。
使い終わってももう一度、箱にしまってずっと置いておきたいくらいツボなパッケージ。
その中に、時代感あふれるキャッチーな色がつまっているのが#01で、いつも使う色でほんのちょっとだけ冒険したいときに最適な色が揃っているのが#02かな、というのが個人的な感想。
いつも使わないブランドのコスメをざぁっと見られるので、この時期のコスメ雑誌とコスメ特集はやっぱりたのしいなぁ。
とはいえ、とりあえず、満足したので、コフレは今年はおやすみでもいいかな、と思ったりしている。
カーニバルな帰り道
12月最初の土曜日。早いなー。早い。早すぎる。
まあでも今週は、怒涛の秋が終わり、今年最後のこんなにのんびりした週かも、という一週間だったので、よかったことにしよう。
毎日きちんとお昼にランチを食べられて(意味がわからない書き方だけれど、下手すると夕方にランチを食べたり、ランチ抜きなこともあるので……)、晩ごはんも何度か家で食べられた。
ゴールデンタイムのTV番組をリアルタイムで見たりして。わりと悪くない秋の終わりだったと思う。
そういえば、ずいぶん前のことだけれど、今年の秋は仕事帰りにお祭りに行ったりもした。
ずいぶんと寒い日で、きっちり防寒していても震えるくらいだったのだけれど、屋台が連なっている通りに入ると、人と鉄板の熱気でぎゅうぎゅうで上着がなくてもいいほど。
それにしても、東京は新宿のど真ん中で平然とお祭りが行われていたりして、いまだに毎年おどろく。ふつうの街がとつぜんお祭り騒ぎになるのは、アニメの中に迷い込んだみたいでちょっとふしぎ。
子供のころは、キャラクターの絵がついたわたあめがほしくて、セーラームーンかちびまる子ちゃんかで妹ともめたりした。
それからキラキラしたりんご飴。飴がかかっているところ以外は(もちろん)りんごなので、飽きてしまって最後まで食べきれないのはわかっているのに、お祭りといえばどうしてもほしくなって、いつも買ってしまう。
他にも母が大好きなベビーカステラ、父が好きな海鮮の焼き物……いろいろと食べ物の思い出はあるのだけれど、いちばん覚えているのは食べられないもの。
何に使うわけでもないちいさなガラス細工の小物を、父にねだって、妹と必ずひとつずつ買ってもらっていた。透明なからだに足と鼻だけ青色のガラスでできているちいさな犬とか、ほんとうに小さなペンギンとか。
リカちゃんのペットとしてリカちゃんハウスの新メンバーになるものもあったし、消しゴムの動物たちに混ざってすましているものもあった。
大人になってからは、お祭りで買うのはもっぱら食べものに。
最近はまっているのはシャンピン。
中国風のお焼きで、ようは平たくつぶした餃子なのだけれど、たれがつけられない分、餡に味がしっかりついていて、ちょっとジャンクでとってもおいしい。
お箸を使わなくても食べられる餃子、という感じでそれがお祭りっぽくて、たのしい。最初はぷわっとやわらかくふくらんでいるのを、ぎゅっと押しつぶすお好み焼き方式で焼かれているのを見ているのも面白くて、待つのも一興。
他にもよく買うのは、蓋を締めるのもたいへんな大盛りの焼きそば、立派なたこの入ったたこ焼き。
ソースのはぜる音は、やっぱり暴力的にいい。
この間はじめて買って、びっくるするほどおいしくて、帰りにもう1個買ったのはチキンステーキ。
あまりお祭りっぽくないメニューなのでスルーしていたのだけれど、このまま食べてもおいしいし、家に持って帰って白ごはんと食べたくなるくらい、しっかりしたチキン。
その年のチョコバナナのトレンドを眺めたりするものたのしいし(これがけっこう毎年わかりやすくちがう。今年はだんぜんインスタ映え)、30分の寄り道で、煙の匂い分、元気になって帰路についた。
水曜日のカラクリ
平日。水曜日を超えるとほっとする。
今日はずいぶんとあたたかい日で、お昼は職場から少し歩いたところにあるお気に入りのビルの屋上で食べた。風もなくて、一応コートは着ていたものの、なくてもいいくらいぽかぽか。
陽気につられてか、蜂まで現れたのにはびっくりしたけれど。びっくりした。あんな間近で蜂を見たのははじめてだ。刺されなくてよかった……。
家に帰ってきて、録画していた『マツコの知らない世界』を倍速で眺めていたら、ものすごく卵焼き器が欲しくなってきた。
一時間帰るのが早いだけで、ずいぶんたのしいなぁ。そして、身体が楽。
森作品を読みだしたら止まらなくて、珍しく電車でもずっと本を読んでいる。
シリーズものを読むのにさすがにちょっと疲れて、『カクレカラクリ』を。
夏休みの本なので、ちょっと『人形式モナリザ』を思い出しながら、するすると読了。ドラマ化されたのを観ていた気がするのだけれど、びっくりするくらい筋を忘れていた。
しかし、全編通していちばん覚えているのは、ともかくコーラがおいしそうだったこと。
コーラをストックする習慣はないし、今は夏ではなく秋なので、季節感あふれるチーズケーキみたいなスイートポテトを食べながら読んだ。
この本の装丁も、とってもシックできれい。
ホリデーカップといっしょに撮っている写真があったということは、先々週にはもう読もうとしてたのか……。
一度ブレイクして、やっぱりむくむくとシリーズ読みたい欲が湧いてきたので、満を持してシリーズものの番外編が入っている短編集を読んでいる。
いろいろ買い込んでしまったけど、シリーズものの短編をまとめて読みたいなら、とりあえず『どちらかが魔女』を買えばよかったのかー。
とはいえらせっかく買ったし、ある1作の短編を読むためにいろいろ買い込んだので、たのしみに読む。
流していたSHOWROOMからも、うれしいニュースが飛び込んできたので、年末年始がんばろう。遊ぶだけでいいならそれがいちばんだけど、とりあえず、今は遊ぶために働こう。
それにしても、夏をやれなかった腹いせみたいに、秋は満喫しているなぁ。読書の秋、文化の秋、スポーツの秋もちょっとやったし、食欲の秋も。
せっかくたっぷり届いた秋のくだもの、柿や梨も、だめにせずに食べ切れそう。
こうしてみると、ほんとうにチーズケーキみたいなスイートポテト。こういう舌触りの焼き菓子、ほんとうにほんとうに好き。
お供は苦いコーヒーで。ごちそうさまでした。
ところで。
先週末に、緑茶やジャスミンティーも含めて、夏からのお茶のストックを飲みきってしまったので、家にある淹れられるあたたかい飲み物がコーヒーしかないという危機的状況。
平日にはやっぱり、マグカップひとつあれば淹れられるティーバッグが必要だな。
コーヒーを淹れる元気はないけれど、あたたかいものは飲みたくて、ついに白湯を飲んでいる(!)ので、明日早く帰れたら買って帰ろう。
でも、白湯を飲み始めてから、目覚めがいいのだよな……でもでも、色の付いた飲み物を飲みたいんだよな……という葛藤のループから、とりあえず1回抜け出したい水曜日。
たぶんロココじゃないサイクル生活
先日のこと。
数年ぶりに自転車に乗った。
前の前の引っ越しのときに、なし崩し的に大学生のときに乗っていたブリヂストンのロココを手放してしまって以来だから、五年はくだらない。
ロココは、上京してきて最初の買い物で揃えた日用品のひとつ。当時F1でブリヂストン勢を応援していたのと、『下妻物語』が大好きだったので、メーカーと名前だけで即決した買い物だった。
というか、院生のときに、既に乗った記憶がまったくないので、もっと前の話だな。所有してはいたけれど。
わたしは真っ赤なもので、妹はオフホワイトで。いっしょに住んでいた吉祥寺の駅から少し歩く住宅街の家にはとてもよく似合った。大学に通うために最寄り駅まで行くのも、バイトに行くのも、ちょっとした買い物に行くのもぜんぶその自転車だった。
中道通りにはらドーナッツができたときには、目の前の公園に停めた自転車の上で、ドーナッツをかじったりした。「レモンティー」というフレーバーを最初に食べたときは、揚げたおかしなのにさわやかで衝撃だったなぁ。
当時はもちろん(!)ミニスカートにピンヒールでがんがん乗っていたけれど、久しぶりなので、足元はショートブーツで。
ソールがすり減ってしまったせいか、歩くときゅっきゅっと鳴くので、気に入っているのだけれど、最近もっぱら休日専用になっているボルドーとブラックのコンビのやつ。
ホワイトのさらっとしたタートルネックのセーターに、グレージュの冬素材のワイドパンツ。上には軽くてあたたかいダウンを着て、完全防寒して出かけたせいか、走っても走ってもちっとも寒くなく。
タートルネットの下に、ヒートテックを仕込んでいたら、暑くて耐えられなかったかも……というくらい。あるいは、ヒートテックがあったらダウンはいらなかったかもなぁ。
人も車も少ない道を選んで進んだので、ひたすら快適でとても楽しかった。
わたしは車で桜並木やイチョウ並木の下を走るのが(自分で運転はしないくせに)とても好きなのだけれど、整然と並ぶイチョウ並木の下をしゃーっと走っていると、ドライブとはちがった臨場感があって面白い。
はたして乗れるかしら……と思っていたけれど、何も心配はいらなかった。
頭で覚えたことは、それがどんなに幼いときに得た知識でも、一度離れると面白いくらいするすると忘れてしまうのに、身体で覚えたことは、ずっと離れていても少しやってみればすぐに勘が戻ってくるみたいだ。
むしろちゃんとパンツスタイルで、ペダルを踏みしめるのに適した靴を履いている分、今のほうが危なげなく走れるくらい。
たっぷりと遊んで、特に目的地があったわけでもないので、ひとしきり乗り回し、スターバックスで休憩をして帰った。
22日から始まった新作、キャンディーピスタチオ。
味はほんとうにピスタチオ! 色使いが完全にホリデー仕様のクリスマスカラーだけれど、個人的にはこのもたっとした感じは、フラペチーノで飲みたい味かも。
冬になると、ジンジャーブレッド・ラテを求めて行く機会が増えるせいか、スタバの新作に他の季節よりもずっと詳しくなる。この頻度でスタバを飲むなんて、何年ぶりだろう。
ねっからの文化系なので、休日に「体を動かしたい」と思うことはほぼない人生だったけれど、自転車に乗る週末というのはありだなぁ、と思いながら帰る。
本格的なツーリングとかじゃなくて、電車の乗り継ぎだとちょっとめんどうな街へ、ふつうの自転車でふらりと行く、日常延長としての「自転車がある週末」。
ぜんぜん予定はないけれど、今度買うなら、水色の自転車がいいなとぼんやり決めている。『おさるのジョージ』が乗ってるみたいなやつ。
ちょっとミントよりだけれど、ブリヂストンのこのマークローザ*1がとてもかわいい。
自転車がなくてもまったく不便を感じない生活なので、買うとしたら、単純に娯楽のためになる。来年あたり、もう一回考えよう。
Sunday Morning
昨日に引き続き、綺麗な朝。
起きようかどうしようか迷いつつ、「9時くらいじゃない?」と寝返りを打ったら、本当にぴったり9時で、体内時計にびっくりする。
そういえば、せっかくヘッドボードにアナログの時計を置いているのに、朝起きたときに時間を確認するのはついついiPhoneになってしまう。
平日はiPhoneでかけているアラームを止めなくちゃいけないので、その方が便利なのだけれど、休日くらいはちゃんと時計を見たいなぁ。
顔を洗って、リップクリームだけぬり、あたたかい格好をして朝ごはんを食べに。
ニットのキャスケットをかぶると、それだけであたたかくて、コートはもっと薄手のものでもよかったくらい。
2日連続、ベーカリーの併設カフェで食べる朝ごはん。ラピュタみたいなトーストと、みちっとした甘みのぶどうパンでできたフレンチトースト。しょっぱいのと、甘いのと。
家に帰ってきて、きりんのついたカップで熱いコーヒーを飲み、引っ越すわけでもないのに間取り図を眺めて遊ぶ。
実用的な部屋というよりは、面白い間取りを集めたサイトで、生活には向いてなさそうな部屋もたくさん。うーん、いいなぁ。
現実的な家探しはめんどくさくて、今までのどの引っ越しでも、あまり積極的にはやってこなかったのに、こういう意味のない部屋探しはたのしい。窓が大きくて、ちょっと無駄なスペースがあったりして、見せる収納が備わっていたりすると無条件にときめく。
そしてロフト!
掃除がめんどくさいし、寝ぼけたり酔っ払ったりしていると危ないしで、実用面ではいいところばかりではないのはわかっているのだけれど、これが付いているだけでうきうきしてしまう。
実際、上京してはじめて一人暮らしをした家は、ロフトつきだった。
数件巡ったのだけれど、ともなく日当たりがいいことと、ロフトがついているのがうれしくて、その日のうちに即決した。
せまいロフトだったので、直接ふとんをしいて屋根裏ベッドみたいな使い方をしていて、お気に入りのランプや本を並べる小さな棚を持ち込んで。
夏は暑いのだけれど、冬はともかくあたたかくて、たしかにとてもたのしかった。
朝起きて慌てる、ということをしなくていい学生時代だから、安全に住めた家な気もするけれど。
さてさて。そんな風に遊んでいるうちに、お昼がやってくる。
まださっぱりお腹が空いていないので、お昼ごはんはもう少し先かな。晩ごはんは手抜きをして、お鍋にしよう。
そういえば、先日の夜は、もっとぜいたくな手抜きをした。
一年に一回届く、イクラ便でどんぶりごはん。味付きのりをちぎって、少しお醤油をたらし、その上にひたすらイクラを盛っただけのかんたんな晩ごはん。
わかめのお味噌汁だけ、追加で作って。
例年よりも優しい味のイクラだったので、ふだんはふつうの焼きのりを使うところ、味付きにしてちょうどよい塩気。
こういううれしい戴き物を、大事にとっておくのではなく、届いたその日に食べきることができるようになったのが、「大人になったな」と感じる瞬間だったりする。
いっしょに届いた明太子は取り急ぎ冷凍したけれど、そちらも、忘れないうちに食べきってしまおう。でも、今日の晩はあったかいお鍋の気分なんだよなぁ……。
来週の土曜日、お昼にオムライスかパスタでもしようと思う。
金色の記憶と、2つの「おしまい」
ふたたび、週末。寒いけれど、きれいな秋晴れ。11月に入ってしばらくぐずついていた天気が嘘のように、風がなくてあたたかな土曜日。
ちょっと遠出をして、はじめて行く公園まで紅葉を観に行ってきた。
はじめて来るエリアで少し迷いながらだけれど、天気がいいので迷うのもたのしい。
公園は、駅のすぐ近くにあるので、標識さえ見つければすぐに着く。
小学4年生の音楽の授業で、「もみじ」をやった。二人組で歌のテストをします、テストまでは自主練、という潔いカリキュラムで、当時なかよくなったばかりの友だちとわたしは組むことになった。
四人組でなかよしだけれど、二人ではまだ特に何もしたことがない、という感じのまだ学年のはじめの方だった気がする。
音楽室は手前に小さな準備室がついていて、そこは先生の目が届かない人気スペースだった。そこに陣取って、まだあまりゆっくり話したことがなかった友だちと、歌の練習よりもたくさんのおしゃべりをした。
友だちはアルトで、わたしはソプラノだったので、歌自体は少し合わせてみるとなんなくハモれたせいもある。
あんまり私語をしているとおこられるかな、と、音楽の教科書をめくってこの後、このページは授業でやるかどうか占ったりした。
その記憶がとてものどかでしあわせで、だから、東京に来るまでは、「紅葉といえば、もみじがいちばん!」と思っていたのだけれど、今はイチョウも同じくらい好き。
東京に来ていちばん最初に観た紅葉が、目の覚めるようなイチョウ並木だったせいだ。
当時、どちらへ行くべきかわからない未来にほんの少し、わたしは呆然としていて、まあそれでも「せずに考えるより、してから考えよう」と流されるままに訪れた東京の片隅の街で、びっくりするくらい綺麗なイチョウ並木に迎えられた。
黄色というよりは、いっそ金色と呼びたくなるような。
圧倒的にきらきらと幸福そうな道を進みながら、「ここにしよう。ここで人生を始めよう」と強く思った。この金色に輝く街なら、きっと未来は悪いものにはならないだろう、どうなるかはさっぱりわからないけれど、と。
今思い返してみても、あの瞬間、あの金色のイチョウ並木を観た瞬間に、わたしはあの街に恋をしたんだと思う。
桜ではなく、紅葉の方が、見逃すと惜しい気持ちになるのも、桜並木は社会的な記憶と結びついているけれど、イチョウ並木はとても個人的な記憶と結びついているからだ。桜はオフィシャル、イチョウはとてもプライベート。
なので、秋になると桜の時期よりも熱心に、「休日何がしたい?」と訊かれると、「外に行きたい」と答えてしまう。
いろいろバタバタしていたのもあって、今日は当初したいと思っていたことを断念したのだけれど、その分、思いがけないほどたっぷりした紅葉に出会えて、いい秋の休日になった。
だだっ広い公園には、赤も黄色もどちらも過不足なくあふれていたけれど、今年は寒くなるのが早かったせいか、葉が落ちているところもちらほら。
東京の紅葉というと、まだ遠距離恋愛をしていたころに訪れた12月の大学で、もう街はすっかりクリスマスだというのに一面さふさふのイチョウの絨毯を踏みしめながら歩いた思い出が強くて、ついつい見どころは12月のはじめだと思ってしまう。
冬だからこその清々しさに満ちた、きらきらした午後の大学で、たっぷりと地面を覆っても尚、しっかりと枝を彩っている黄色を眺めながら歩いた。
疲れて腰掛けた切り株は、蜜が出ていて、立ち上がったときには当時お気に入りだったコートとパンツのおしりが汚れていて、慌てて洗いに走ったことを覚えている。
結局、意外にもきれいに樹の蜜は落とすことができて、もうあまり来ないけれど、どちらもまだ我が家のクローゼットに仕舞われている、遅い秋の思い出。
今日遊びに行った公園も、大きなイチョウの樹の下には、絵本のように見事な絨毯が広がっていた。
落ち葉を集めては飛び込んでいる子どもがいて、「なにかに似ている」とほほえましく見つめて帰ったのだけれど、あれはPEANUTSだな。
チャーリー・ブラウンとスヌーピー。大好きなアニメーションの中で、繰り返される秋の風物詩。
盛大なドッグランが行われていて、おそらくいつもよりも数割増しでお犬様がいたり、屋台が出ていたりとにぎやかさはありつつも、あんまり広いのでちっともがやがやした感じのしない、いい公園だった。
東京にはいい公園がたくさんあるなぁ。まだまだ行ったことのないところの方が多い。
日が落ちる前に帰路につき、いい日だったので、早めの晩ごはんは、ふんぱつしてステーキ。最高においしく焼けた。
つけあわせは、細かくつぶしたブロッコリーとゆでたまごの入ったポテトサラダと、バターじょうゆでかりっと焼いたエリンギ、それからコーンスープ。
ごはんを終えた後は、ひたすら本を読んでいる。
先週買った文庫で出ているGシリーズ・Xシリーズを全部読み終え、我慢できずにノベルスで出ているそれぞれの最新刊を電子書籍で購入。
そして、立て続けに『χの悲劇』と『ダマシ×ダマシ』を読み終えたのだけれど。だけれど……!
わー!!!これはもう、これはもう……!
ファンサービスという点では、ほんとうに森博嗣さんという作家は、ちょっと図抜けていると思う。そこが逆に、途中から入ると「これってミステリィ?」と思ってしまう作品が近年増えている理由でもあるとはわかりつつ……。
いやあ、最後にこれが待っているなら、Gシリーズのぐたぐだっぷりはすべて許したという気分になってしまう最終章の1作目だった。
これで終わりじゃないというのが、いちばんすごいところだな。もう残り2冊をたのしみに、まだしばらく生きていける、という気持ち。
そして、Xシリーズの最終巻は、とても清々しく綺麗な「完結」だった。
レトロで読みやすい一話完結型のミステリィだけど、その分、他のシリーズとはあまり接点がない感じがして。最終巻も、このシリーズのキャラの答えを読めるといいな、椙田さんの近辺でなにかしらちょっとくらいサービスがあるかしら、くらいで。
あまりドキドキせずに、さくさく読んでしまっていたのだけれど。
ラストのラストで、ただのXシリーズ最終巻とはぜんぜんちがう意味を持つお話にひっくり返されてしまって。びっくりした後、しみじみと泣けてきた。
うーん、お見事。
単純にあるシリーズの完結巻としても、たいへん気持ちよく綺麗で読了感がいい。もちろんすべてがクリアになるわけではないのだけれど、そこはほんとうにタイトルの妙、という感じで。
再読ばかりしていたけれど、やっぱり新しい本を読むのは面白いなあ。
まあ、『χの悲劇』を読んだ今、改めてS&MシリーズとVシリーズを順番に読み返したい気持ちでいっぱいだというのも事実なのだけど。
Holiday Season Begins
さて。日曜日。
今年もスターバックスに「ジンジャーブレッド・ラテ」が出始めていて、一年をなんとか乗り切れそうな希望が灯った11月も後半に差し掛かった休日。
シックなデザインの方がいつもは好みだけれど、ホリデーカップは別。今年のものも、がちゃっとしていて、とてもかわいい。
満員電車が舞台のミステリィなので、平日にはなかなか読む気になれない『キラレ×キラレ』をめくりながら、のんびりコーヒータイム。
Xシリーズもこれを読んでしまったら、文庫になっているのは残り1冊だけかー。読み出すとあっという間。それにしても、ほんとうにこのシリーズは装丁がレトロでかわいい。
ところで。
土曜日にもうすうす感じていたことではあるのだけれど、どうやら今週末はものすごく寒いみたいだ。目が覚めた瞬間にそれがわかり、9時にばちっと覚醒したのだけれどベッドはしばらく出ないことに決める。
こんなに寒い朝に、しぶしぶ起きたりしなくていいのが、予定のない日曜日のいいところ。
ベッドの中で読みさしの『θは遊んでくれたね』を読んだり*1、電子書籍で雑誌を眺めていたりしたら、そのまままどろんでしまって、起きたらお昼前。カーテンの隙間から漏れている光があまりに明るくてあたたかげなので、観念して起きることに。
片付いていない家でごろごろするのは、70%の満足感で終わる気がして、朝ごはんを食べたら、こつこつと片付けを始める。
まず洗濯物を回す。その間に寝室を片付けて、乾いていた洗濯物をしまって、書斎の本以外のところをまず片付けて、その後、きれいになった書斎で増えた文庫を作家さんごとに整理して、洗濯物ができあがったので干して。
その間に恋人が、キッチン以外の水回りを大掃除なみにきれいにしてくれたので、2時間ほどで、家は信じられないほどぴかぴかになった。
きれいになった家がうれしくて、せっかくなので、去年買ったクリスマスリースも玄関に出す。
去年、那須に旅行にいったときに見つけたもので、松ぼっくりがメインのシックな色味が気に入って、これに決めた。
一年中クリスマスをやっているお店で、リースだけでも迷うほどたくさんあった。
緑ではない色がメインであること、シーズン以外にしまっておくのに邪魔でない小さめのサイズであること、を基準に探したのだけれど、そうであっても迷ってしまうくらいどれもかわいかった。
子どものときには、母と妹と、父まで総動員してのクリスマスツリーの設置が、我が家で公式にホリデーシーズンが始まる合図だったけれど、東京のこの家では、このリースがその合図になりつつある。
なので、もう飲んでもいいだろうということで、スターバックスも「ジンジャーブレッド・ラテ」を解禁。
先日、先にもうひとつのラテの方は飲んでしまったのだけれど、やっぱりこれを飲むと、「一年が終わるなあ」と思う。
今年も、まあいろいろあったとはいえ、よく生き抜いたなぁ。後もう少し、隙きを見てはたのしいことをして駆け抜けたい。
早めに晩ごはんを食べて、久しぶりにコーヒーでも紅茶でもなくあたたかい緑茶を淹れて、お饅頭をかじりながらのんびりしている。BGMはクリスマスメドレー。このちょっとちぐはぐな感じが家らしくて心地良い。
それにしても、あまりに寒すぎて、「(掃除がめんどうになってもいいから)ラグを買おう」「いっそ一足とびにこたつを……」という議論まで出てきた週末。
そういえば、この冬はまだ電気ヒーターを出していないんだよなぁ。あれに手を出してもいいのだけれど、電気代のことを考えるとちょっとやせがまんをしてしまう。とりあえずラグかな。
*1:これでGシリーズも半分読了したことに。