グラスデザートと図書館
ある日のこと。日常に疲れて、少しだけ遠出をして、東京の西へ。
他の人にとっては平日、わたしはお休み。そういう1日を久しぶりに過ごした。予定のない有給は久しぶり。
平日のこの時間だったらもしかして……と思って、毎回気になっていながら行けなかったお店にまずは足を伸ばしてみる。
タイミングよく、1席空いていて、念願のパフェ。
パフェというか、きれいなグラスデザート。
まだ初夏という時期だったはずなのだけれど、とってもさわやかな果物がみちみちっとつまっていて、たっぷりはいったジェラートやアイスクリームがまた、しみじみおいしかった。
生クリームや上に乗せられている焼き菓子もどれもこれもおいしかったので、ぜひ、秋冬に来てもっとどっしりしたものも食べてみたいなという気持ち。
でも、次に来るなら、また平日だろうなあ。平日のへんな時間なのに、次々とお客さんが来て、ひっそりとした路地にあるお店はずっと満員だったから。わたしも、食べたらすぐにごちそうさまでした、をして町へ散策に出た。
ほんとうは、隣の席の大学生たちの会話は面白くて(どうしても耳に入る)、もう少し聞いていたい気持ちだったのだけれど。
大通りを歩いて、緑の多い場所で少し休むと、だんだん日が暮れていく。ブルゾンの前を閉めてもいいくらい風が冷たくなったのでものすごく早い晩ごはんを食べて、家路につくことにした。
鉄板に乗っていると突然食べたい度が増すハンバーグ。
できればパンを選べるとうれしかったけれど、ライスもおいしかった。
鉄板に乗っているマッシュポテトも最高。マッシュポテトってときどき食べると、ほんとうはフライドポテトよりこっちの方がずっと肉料理の付け合せとしては好きだった! ということを思い出す。
この日は、久々に小説ではない本を何冊も読んだ。面白いのが1冊、面白くないのが2冊。
図書館というものを年単位で再利用して、しんとした中、みんなが本を読んだり選んだりしているのが新鮮で楽しく。
子どものころから、図書館は読みたい本を借りに行く場所で、調べ物をしにいく場所ではなかったので、おとなになって読みたい本がなんでも買えるようになったら、とんと図書館に縁がなくなってしまった。
貸し出しをせずに図書館をあとにするのも、久しぶり。学生の時以来だ。
ほんとうは別の電車に乗って、夢の国にでも行こうかしら、と思ったのだけれど、これはこれで非日常の国に行って帰ってきた感がある。そう思いながら、ずいぶんと新しくなった駅のホームで、東京の真ん中に戻る電車を待っていた。
夏の食べ物、夏の読み物
急に暑くなったので、毎日、ズッキーニばかり食べている。
いちばん好きなのは、オリーブオイルで焦げ目がつくくらい焼いて、塩コショウというシンプルな食べ方。これに生ハムとチーズがあれば、晩ごはんはもうそれでおしまいでいいくらい。
とはいえ、そういうわけにもいかないので、今週は、冷やし中華を始めたり、お素麺を解禁したりした。
そして、インドカレー。
先週末の日曜日、数年ぶりにこの本を読んだので、無性にナンで食べるカレーが食べたくなって。ほうれん草のカレーと、わたしはお肉も大好きなので、チキンのカレーを。ラッシーも飲んだ。
ひき肉の炒めものが残っていたので夏野菜と合わせてキーマカレーを作ったり、なんとなく久しぶりにカレーが食べたい周期。
去年の夏は、焼きそばばかり食べていた気がするのに、そういえば、今年はぜんぜん食べていない。去年の今頃は、土曜日といえばというくらい毎週、お昼ごはんに作っていた。
そんなことを思いながら、焼きそば熱を上げるべく、こちらも数年ぶりに新しいカバーになっていたのを見つけて『焼きそばうえだ』を読んでみる。
この装丁! 最高に大人の夏休みっぽくて、前のver.の文庫も持っていた気がするな……と思いながら、衝動買いしてしまった。
そのときにはもちろんただゲラゲラ笑いながら読んだのだけれど、今読むと、少し切なかった。いなくなった人の日常のお話を読むのは、笑ったあとにすんっとさみしい風が吹く感じがする。
とはいえ、何度読んでも最高にくだらなくて、たいして焼きそばは食べたくならない話だった。どちらかというと、南国に旅行がしたくなった。
来週には8月か。夏なんだなあ。終わって悲しくなる前に、楽しまないと。
すこしずつ、すこしだけ
続けて、器のこと。
去年から、夏の麺を食べたり、丼をするときに使えるような大きめのどんぶりを探していた。スープ皿にも使えるような洋風のものがいいかなと思って探していたのだけれど、ぴったりくるものがあったので旅先で見つけた砥部焼のものを衝動買い。
さっそく、水菜とメンマを乗せ、たっぷりの白ごまを散らした冷製ラーメンを作って食べたのだけれど、今までのどんぶりとちがって口が広いので、よそう量が少なくてもきれいですてき。
上の写真は、そのときいっしょに買った同じシリーズの豆皿。豆皿にしては少し大きめなので、こじんまりと切り分けたケーキや、スコーンなんかはぴたっとはまるサイズ。
ぜんぜん色を選べず、以前気に入って使っていたお茶碗が、同じものを探しているのにずっと見つからないので、一期一会だ……! と思って、レッドとブルーの両方を1枚ずつ購入した。
ブルーも素敵。
ぐるっと周り全体が花柄だとちょっと甘すぎるので、このストライプが入っているのがちょうどいい。とはいえ、ブルーのほうはそれでもちょっと絵本ちっくなかわいさがあるかも。
かわいい醤油皿がほしいなと思って購入したものの、意外と大きさがあるので、今のところはふつうに小皿として使っている。
そして、特に必要だったわけではないのだけれど、旅先の散財欲もあいまって、同じラインのマグカップも買ってしまった。
ぽってりと丸く、背が低くてかわいい。なぜかこれで飲むのはブラックのコーヒーだよな、と決めて買ったので、まだ使わずに出番を待っている。
写真だと加工してしまっていて質感が伝わらないのだけれど、ここの砥部焼は、どれもちょっとざらっとしていて、それがとてもかわいい。
どちらのだろう、と帰って調べて、びっくりした。
今回手に入れたのは、すべて、『すこし屋さん』*1という窯元のもの。家に帰って、1つだけ残っていた件のお気に入りのお茶碗をひっくり返してみたら、今回買ったものと同じマークがついていた。
なるほどー。道理で琴線に触れまくるわけだ。ずっと、こちらのお茶碗を探していた。
残念ながら、今回の店頭ラインナップには、割ったものとまったく同じものはなかったので、お茶碗は買わずにいたのだけれど、次、どこかで出会ったら柄違いでもよいから今度こそ買い求めよう。
こちらの砥部焼があると、 家でちゃんと生活をしたくなる。
コーヒーを淹れたくなるし、コンビニのお菓子じゃないおやつを食べたくなるし、麺料理やどんぶりも、少し彩りを考えたものをちゃんと作ろうかな、と思う。
気にいると一気に似たようなものを揃えてしまう癖はまだなかなか収まらないけれど、こうして少しずつ、思いもかけぬタイミングで揃っていくのも楽しいなと思った5月の旅行だった。
次は、いつなにが増えるだろう。
1つ減って、2個増える
器のこと。
買ったり割ったりまた買ったりを繰り返しながら、少しずつ自分で選んだものが増えていく。
こちらに来てすぐに揃えたものは両親と選んだものだし、結構多いのは、祖父母からもらったもの。そして、祖父母からもらったものは頑丈なのか、ぜんぜん現役で使えるとはいえ、きれいな色のものを見るとつい追加したくなってしまう。
この間は、2つセットで買ったのに、早々と1個割って、どうしようかなぁと思っていたグラスを、ようやく書い直した。
1つでいいのだけれど、つい2つまた買ってしまった……。前回はブルーとグリーンだったので、今回はブラウンとブルーを。
アースカラーと説明されていたけど、たしかにガラスなのにアースカラー。ふしぎだ。
この写真ではだいぶ明るく写っているけれど、実際にはブルーはもっとくすんで大人な色味。
同じ色のはずなのに、今、家にある一代目はこの写真くらい鮮やかなブルーに変わっているので、かぶらないしいいやと思って買い足した。
ソーダを入れてもきれいだし、単に水を飲むのでも、このグラスだとなんだか楽しい。
現実感があるフォルムのせいか、少し重い素材だからか、このグラスで1杯冷たい水を飲むと、なんだか一日が始まるぞとしゃっきりした気落ちになる。
グリーンはぐっと淡い色で、一時期はよくバナナスムージーを作って飲んでいた。
ちなみに、割ったのはこちらの色。
こちらを買そのままい直してもよかったのだけれど、前回気になって買わなかったブラウンと、それに並べたときのバランスがよかったのでブルーにした。
実家にいたときも、東京に来てからも、家で使うグラスはずっと透明なものだったので、もうこのグラスを使いだしてから2年になるはずなのに、いまだに新鮮な気持ちになる。
いつかは、透明で華奢な薄いグラスが欲しくなる日がくるのかもなぁと思いながら。
今は、ごくごくとこの現実感のあるグラスに水を注いで行きていく。
いつか想像してた未来と今が少し違っていたって
令和。穏やかに新元号を迎えて、夢のようにのんびりとした日々を過ごしている。働き始めてから何回でも思うけど、休みが続いて飽きることなんてない。
なんだか2019年はお正月が2回やってきたみたいで、わくわくする。なにか新しくしたくて、チークを新調した。
手に入れたときには既に在庫限りという感じだったので、ずっと寝かせてしまっていたもの。YSLのクリームブラッシュ。
色は、No.9ベビードール。
わたしが実際に香水を身に纏える年齢になる前、ものすごく流行っていた、平成を代表する香水と同じ名前。あの香りのイメージと同じくらい、スイートなピンクで、手に取るとふわっとムースっぽく解けていく。
YSLはゴールドがメインのパッケージが、ほんとにバブリーでかわいくて好き。またいつか、シルバーが好きになる年代が来るのかなと思うけれど、20代からずっと今のところは断然ゴールド派が続いている。
平成の最後はずっと、ラデュレのロマノフの秘宝みたいなポットに入った#04(くすんだパープルっぽい色味)を使っていたので、ぱあああっと春らしいピンクが頬に乗っているのが新鮮。
ラデュレもとても気に入っていたから、レフィルを買い足して、令和でもまた使うつもりではあるけれど。
そして、その流れで(?)、大晦日にはできなかった断捨離をしてみた。はー。平成最後に何をするかずっと迷っていたのが嘘みたいに、これしかなかった! という達成感。
一番の成果は、平成をいっしょに楽しんだ服で、もうぜったいに着ないであろう……というものを処分したこと。
判断基準は明確で、好きだけれどもうくたびれてしまったもの、それから今年の秋冬一回も袖を通さなかった秋冬もの、そして気に入っているけれどもう丈が短すぎるもの。いろいろやりやすい基準はあるだろうけれど、わたしにとっては、「丈」がけっこう画期的だった。
令和最初の外ごはんは、牡蠣。
新しい時代は、守りに入るよう攻めようと思って……というのもあり、そもそも平成中にしておきたかった牡蠣でおなかをいっぱいにするというのを、やり残していたということもあり。
他にももうひとつ、平成にやり残していたことを達成できて、令和1日目は平成の後始末をするような1日だった。
それにしても、物心ついてから20年くらいは平成があったわけだけれど、ちっとも決心がつかなくてできなかったことが、こうやってするりとできたりするわけだから、元号が変わるってやっぱりすごいことだな、と卑近な感動をしている。
新しい時代が、穏やかな春の日のようなものになりますように。
ほんとうに平成のラスト一時間は何をしようかな、と思って、子どものころに大好きで、大人になってから改めて買い求めた本を読んで過ごすことにした。
『おちゃめなふたご』と『霧のむこうのふしぎな町』の2冊。
ブログの説明文に引用している「いつか想像してた未来と今が少し違っていたって」は、ものすごく大ファンというわけではないけれど、世代であるV6の一番歌詞が残っている歌。
この本を読んでいたときに描いていた未来と、「今」が少し違っていたこともあった。でも、いろいろあって、その未来よりも良い「今」に辿り着いている気がする。
新しい時代にも、またこの歌が身に沁みる季節があるかもしれないけど。あんまり焦らずに、のんびり進んでいこう。
まいにちチョコレート
季節は飛んで、バレンタイン。
今年は数年ぶりにありがとうを伝えるためのチョコを何個か買った。ここ数年は、その文化がないのをいいことに、自分用のチョコだけ物色して終わっていたイベントだけど。
恋人には、オランジェットを。ふらりと入ったお店で見つけて、シックなパッケージもあいまってとても素敵だったので、即決だった。
そして、わたしもチョコをもらった。
ロイヤルブルーがきれいなヴィタメールのもの。
ルタオのロイヤルモンターニュがとても好きなのだけれど、同じピラミッドの形だったから、と。
どれもお酒が入っているみたいで、中のガナッシュがとってもおいしい。アルコールもチョコレートも好きだけれど、齧るととろっと中からアルコールが液体やジュレで出てくるタイプのものは少しだけ苦手なので、今度からこれを食べよう。
チョコレート色とレッドとのグラデーションになったやつが、いちばん好み。見た目もとても綺麗。
毎日一粒と決めて食べるのも楽しい。
去年の方がチョコはたくさん買ったなぁ。いろいろブランドものも買ったけど、いちばん覚えているのはD.BARBEROのトリュフチョコレート ローズ。
ピンクの缶がとってもかわいくて。
ホワイトチョコ×ローズというとっっってもファンシーな味もかわいかった。甘いものが苦手な人はぜったいに無理だろうというがつんとした甘さだったけれど。
それから、もっと買えばよかったと後悔したChocolat du Cimaのマドレーヌ。
今年も買おうと思ってたのに忘れていた…!
ちなみに、去年どこかに置き忘れてしまってとっても残念だったチョコが一つあり、それは今年一年越しに無事購入した。別にいつ買ったっていいんだけど、それじゃあなんだか悔しくて。
今週末、一年越しの味をゆっくり味わうつもりだ。
いまさらな記録
あけましておめでとうございます、というのも間抜けなくらい絶賛進行中の2019年。
昨年は前半怒涛、後半は久しぶりに少しゆったり、そしてまた最後だけ怒涛という感じの一年だった。年々、古い年と新しい年の境目が曖昧になる。
2019年はものすごく久しぶりに眠って迎えた。早い時間にお蕎麦を食べて、温泉へ行って。ふわりと意識がなくなって目が覚めたらかなり深い時間のCDTVだった。
今年も元旦に飛行機で帰省。午後にしたので、とってものんびりしたスタート。
ブラウンのたっぷりとしたタートルネックにダウンという重装備だったので、空調の行き届いた空港では暑くて、今年初ソフトクリーム。
そういえば去年も食べたなぁ。昔ながらのコーンに入ったものもあるし、ワッフルコーンに入ったものあるけれど、2年連続でこのカップに入ったものに。
お昼ごはんを食べていなかったので、大好きな天むすも買って機内へ。
地元のお正月は、年々のんびりと無理をしないものになる。初日の晩は恒例のすき焼き。父も母もおせちがそんなに好きではないので、わたしとしてもありがたい。特に遠出もせず、しずなに過ごす。
2日目はこちらも恒例の金毘羅さんへ。
ものすごく混んでいてアトラクションのように、人数を区切って進まされるスタイルだったため、例年にくらべてまったく疲れずに上まで登れた。いい天気。ダウンを着ていたら汗ばむくらいだった。
途中でこちらも恒例のうどん。
レモンをきゅっとしぼって食べるうどんがほんとうに好き。
東京だとお蕎麦の方が圧倒的においしいので、すごく久しぶりに食べた気がする。冷凍うどんとかだと、ぜんぜん東京でもおいしいから、今年はもう少し定期的に食べよう。
今年はじめてのコーヒーも、ここで。アカボシ珈琲さん。
カフェハニーオレンジ。毎年これ。オレンジ味のコーヒーが好きで、コーヒーチェーンでも季節限定フレーバーで出ると飲んでしまうのだけれど、ここのはほんとうに理想的な味。
今年も一年クリアな気持ちでがんばれそうな気がする。
ちなみにこの日の晩ごはんもすき焼きだった。みんなで祖父母の家を訪ねて。すき焼きなら毎日でもいい。その前に1時間だけ初売りに参戦して、怒涛のショッピング。母が楽しそうでよかった。わたしも楽しい。
3日目は早起きして、もうひとつの祖父母の家に。思いもよらぬ大所帯で会食感の出た昼食に若干圧倒されつつ、おいしい和食を頂く。
最終便で東京へ。恋人が空港まで迎えに来てくれて、きんきんに冷えた展望ロッジを散歩して帰った。
東京タワーとスカイツリーがいっぺんに見られて、なんだか新年からおめでたい光景。
とっても寒かったけれど、その分、信じられないくらいきれいに星空が見えた。本格的なカメラを持っている人もいて、にぎやかな夜の展望台。
晩ごはんは空港でカレー。お店を見たらどうしても食べたくなって。おせちを食べあきたわけでもないお正月なのに。
ごはんを食べた後、もう少しなにか見たいなと思って、国際線ターミナルで途中下車した。
たしかできてしばらくしたころに、最終便で帰ってきたらそれが大幅に遅れて、電車で帰れなくなったときにカフェで夜を明かしに来た以来。あれがもう7年前のことなのか……。
そのときはこんなだったっけ? と思うくらい、にぎやかで豪華な空港にびっくり。
ここに来るだけで日本に旅しに来た〜というのが満たされる感じ。ごはん街もとっても楽しそうだった。こういうにぎやかな和テイスト、おもしろくて好き。
今年はいろんなところにフットワーク軽く行ってみよう、という決意をしながら、人の少ない電車に揺られて家に帰る。