少しずつの行きつく先
暦モードを見ていたら、去年の今頃にはソファーを新調していたらしい。
もう一年も前かーという気もするけれど、もはやこのソファーがなかったときの生活を思い出せないので、まだ一年しか経ってないのが嘘みたいだ。
ソファーを買い、パソコン用にゆったりもたれられる椅子を買い、大学1年生のときに買った小さなデスクの横に、ひとまわり大きな白いデスクを買い足した。
昨年の夏には、念願の壁いっぱいの本棚も買い足し、どんどん部屋が快適になっていく。
使っている家具の基礎は、大学を機に上京したときのものだけれど、少しずついろんなものを新調したり買い足したりして、ようやく最後にいちばん大物の新調に辿り着いた。
ベッドである。
学生時代の家具はほとんど白だったのに、だんだんと茶色が増えて行って、最近新調した大物はことごとく濃い色だったから、最後の大物は初心に戻って真っ白に。
旅をしてホテルに泊まるたびに「このベッドが家にあればなー」とうらやましくて、逆に言うと、年々、それ以外は家の方が快適だなと思うことが増えてきて、とうとう最後の砦に手を出したのである。
何がうらやましいってその広さだったので、ぼんっと大きなサイズに新調。
横幅が広くなるので、その分、背が低いタイプに。真っ白なのも相俟ってか、むしろ今までより部屋が広く感じるくらい。
どうせならいろいろ遊べるスペースがあるといいな、と思い、枕元にたくさん収納があるタイプを選んだ。
最近すっかり使わずにただのインテリアになっていたライトも、久々に実力を発揮している。
枕元にコーヒーを置いて、ライトだけつけて本を読む時間がほんとうにしあわせ! 今年、読書量が増えているのは、ぜったいこのベッドのおかげだと思う。
読書のおともは、アウトレットで半額で売っていたリンツのチョコレート。
包装がシーズンを過ぎてしまったということで、たっぷり入って信じられないお値段だったリンドールを、おめざとして枕元にキープしているのだけれど、本の中にチョコレートが出て来たときにはひとつつまんでいいことにしている。
最近、久しぶりに『神様のボート』を再読したのは、無意識にチョコレートを食べる理由を探していたのかも。
缶は昨年行ったSNOOPY MUSEUMのもの。チョコチップクッキーがぎっしり入っていたものを再利用している。
すぐにパケ買いをしてしまうので、こうやってちゃんと再利用できると、それが正当化されたようで少しうれしい。
新しく来たベッドには、ちょっとしたテーブルがわりになる高さのヘッドボード(?)があるので、天気がいい日はカーテンを開けてベッドで朝ごはんを食べたり。
ある日はジューサー(そういえば、これも今年に入って新調したものだ!)でめずらしくバナナジュースをつくって、なつかしい本を片手にかんたんな朝ごはんを。
ファミリーマートのこのジュースは、中身がおいしくてボトルがしっかりしてて、まるっと楽しめるのがすごくいい。(って、これも再利用していい気になっているもののひとつだな……)
それにしても、ほんとうにどうしてもっと早く買い替えなかったんだろう、という快適さ。
旅行に行くと必ずやってしまう「縦と横両方に眠ってみて、ベッドの広さを堪能」というしょうもない儀式を、いまだに家に帰るとやってしまうくらい。
大人になるってたのしいなあ、と思う。子どものころの夢をひとつひとつ叶えていくのって、ほんとうにおもしろい。
写真の本は、子どもの頃いちばん好きだった本。
「深夜、屋根にのぼる」というあまり褒められたものじゃない遊びを発見した姉弟の話なのだけれど、この本に出てくる子どもはみんな、わくわくすることを必死で探して生きている。
わくわくは自分でつくるんだ、という気概をわたしはたぶん、この本に教わったんだと思う。
今年は何個そんなわくわくを見つけられるんだろうなあ、と思いながら新しいベッドでごろごろと贅沢な寝返りを打っている。
まずは快適すぎるベッドから出ないとなー。