夏はじめのすいか違い
なんやかんやしていたら、77日ぶりになってしまった。もはや、梅雨。
最近、朝起きてカーテンを開けるのが、どちらかというと占いじみた習慣になっている。
今日は星座占いなら6位くらい、という微妙な結果。さくさく午前中から午後一にかけて用事を済ませて、薄曇りの午後は、コーヒーのお供にバナナマフィンを。
このお皿も、ものすごく久しぶりに使った。
さてさて。
日本にも世界にもいろいろなことがあって、ささやかなわたしの人生にもさまざまなことがあって、あわあわしたり、ぐったりしたりしている内にこんな季節に。
もちろん、しあわせなことも楽しいことも様々あった77日間だけれど、それも含めていろいろとあり過ぎた。とにもかくにも、穏やかな日々を願うばかり。
たくさん考えて動き回る人生もいいけれど、なんにも考えずにぽけーっと目覚められる土曜の朝がふんだんにある人生はもっといいなあ、と思う。今日は、久しぶりにそんな土曜日。
……と思って過去の日記を見返してみたら、毎年6月には、ほぼ同じことを言っていた。そして常に、これから更に忙しくなる夏に怯えている。なんともまあ、進歩がないと言うか、なんというか。
春を感じたのは、蕗を食べた夕食くらいだった。
そんなこんなで、この6月最後の週は、ちょうど一休みという感じでぽっかりと暇になっているのも毎年同じで、だらだらと夏のおやつを嗜んでいる。
今年の夏はじめてのすいかは、先日、深夜のお酒の席で食べた。ウイスキーだの日本酒だので濁った体に、たしかにその冷たさは嬉しかったのだけれど、昼の縁側で食べたい果物を夜中に食べたのが少し悔しかった。
それで、今日のおやつは、今年最初のすいかバー。やけに長いな、と思ったらBIGサイズだった。
昔から、ときどき食べるなつかしのアイス。とはいえ、アイスでまで求めているほどすいかのことが好きだったわけではない。
と言うよりも、断然、すいかよりもメロン派だった。
くっきりした赤色なのに、その色を裏切るようにぼんやりとした味がして、飛ばす庭がないと扱いに困る種が、メロンとちがって全体にばらばらと入っているのも煩わしかった。
でも、その曖昧さがむしろ大人っぽく思えて、心の底からおいしいと思えるようになりたいなあ、とまずはアイスから攻略しようとして、夏になるとついつい、手が伸びる1本。
曖昧なものというのは、なんだか大人っぽい。たとえばメロンよりすいか。あるいは、おうどんよりお蕎麦。りんごよりも梨。お味噌汁よりも、お吸い物。
だんだんほんとうに後者の方が好きになってきて、ようやく少しずつ大人になった実感がわきつつあるけれど、すいかはまだ、本気で好きなのはドラマとすいかバーくらい。
しっかり焼きこまれたDEAN&DELUCAのバナナマフィンを少しずついただきつつ、映画『めがね』を久々に見ていたら、そろそろこのドラマの時期だなあと気づき、いてもたってもいられなくなって数話立て続けに流している。
そろそろ焼き菓子も重たくなってくる季節だけれど、今日は涼しいので、濃く入れた熱いコーヒーも美味しい。
薄曇りをクッションの形に固めたようなふわふわの塊を抱きながら観る『すいか』は、毎年夏が始まる週末にかけている、こちらも、わたしの定番の1本。
こういう毎年のお約束は、悪くないなあと思う。
数日前、ペールブルーのサマーブランケットを出した。さらりと肌に心地良い生地が、何度もの洗濯を経て、少しくたりとなっている。その分、昨年よりも肌に親しくて、より気持ちいい。
このブランケットを手に入れる前は、しょっちゅう掛布団を蹴り落としていた夏の夜だけれど、これはずっとくるまっていたいくらい。
夏が来ればまたあれがある、と思うこと自体がとても心楽しい。
そんな中、今年の夏はじめて登場して、きっと来年からは夏を少し懐かしくさせる強力なアイテムになりそうなのは、譲り受けた扇風機である。
こじんまりとしたサイズと、おばあちゃん家にありそうな古めかしさが嘘のように、意外に精力的に部屋の空気を冷やす頼もしい機械。
今週はブランケットを夏用に変え、15年ぶりくらいに家で扇風機のボタンを入れ、週末にはこの夏はじめてのすいかまみれになった。
来年の6月末、この日記を見返して、同じことを同じくらい健やかな気持ちでできているといいいなあ。わたしのささやかな夏はじめ。