ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

現実の特効薬

火曜日。火曜日にして、今週のいちばんめんどくさい仕事がなんとか終わったので、少し気分が軽い。早く週末になればいいのになー。だいたい、月曜日の朝から、そういう気持ちで過ごしている。

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今の仕事は嫌いではないし、働くのであれば、この職種以外働きたくないと思うけれど、でもそれよりも圧倒的にお休みが好きだから仕方ない。仕事が生きがい、と言ってみたい気持ちが半分、でも仕事だけの人生は嫌だ、という気持ちが半分。もうすぐ3年目だけれど、ちょうど揺れ動いている。

でも、その「仕事だけ」の原因になっているのは、主に仕事本体ではなく、だいたい夜の付き合いの部分なので、仕事自体は純粋に好きなのかもしれない。どうだろうなー。まあ、こうして平日も家でごはんが食べられたり、読書ができたり、ひょっとしたら舞台を観に行けたりする毎日がいちばんだという気持ちは変わらないので、生粋の仕事人間にはほど遠そうである。

 

そういうわけで、去年の後半は、会社を出られなさそうでも、かなり無理をして舞台へ行くようにつとめた。その分、翌日早朝出勤、とか持ち帰ってAM3時まで仕事、とかになったけれど。

それでも、あの幕が上がるまでのざわざわとした空気、開演のブザーが鳴った瞬間のなんとも言えないさざめきの後の静けさ。ぎりぎりにかけこんだ受付で手渡される分厚い他公演のちらし。そういうすべてが好ましく、劇場という場所自体が、ちょうど図書館と同じように、わたしには息がしやすくて心地いい。

2時間ほど集中して観たり、時に、うたたねしてしまったりしながらも、とにもかくにも、しっかりラストでは拍手をして、お仕着せでないカーテンコールをする。そうやって、すっかり満足して席から立ち上がり、大きく伸びをして食べに行くごはんが、またおいしかった。

 

子どもの頃は、時々やってくる県民センターでやる『ピーターパン』、あるいは、東京に来た時に見るコマ劇場の『オズの魔法使い』。そして、いっそ友達のバレエの発表会。そんな限られた劇場しか知らなかった。

それでも、あの仄暗さと少し乾いた空気、そして、大勢の人が心持ち上を向いて、同じものを待っている妙な一体感が好きだった気がする。

 

だから、わたしはいわゆる「いい演劇好き」ではないと思う。演劇論なんてちっともわからないし、話題の公演を網羅してたりもしない。古典がなにかも知らないし、何が流行なのかもわからない。

単に劇場の空気が好きで、そして、田舎の子らしく、TVに出てる人が生で観られるということにひかれて、最初に自分でお金を払って演劇を観た口だ。

勉強したいな、と少し余裕が出てくるといつも思う。でも、そう思うのと同じくらい、このままでいいか、とも思うのは、偏にわたしがぐうたらなせいであり、同時にこのいい加減なスタイルで十二分に楽しいからだ。 

薔薇とサムライ

薔薇とサムライ

 

この5年ほどで、いくつもの舞台を観たけれど、未だに一番楽しかったのが『薔薇とサムライ』であるあたり、*1今後もずっとこのままでも、きっと楽しくしあわせな気がしている。

 

今年劇場という場所に足を運んだのは、まだ、お誘いいただいていった宝塚の雪組だけだけれど、3月以降は、すでにチケットを取っている公演が3つくらいスタンバイしている状態。 

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その中には、待望の劇団☆新感線×天海祐希さんの『蒼の乱』*2も2回(!)ある。

他にも、『海辺のカフカ』や、今年こそ三谷さんの舞台を観に行きたいなあ、とチケットだけは押さえてある。しかし、『カフカ』を観に行ったら、宮沢りえさんを2年で3回観ることになりそう。突如として最多である。

 

人にはそれぞれいろいろな”現実”の乗り越え方、やり過ごし方があるけれど、わたしの場合は、それは”いいフィクション”のようだ。その中でも一等ぜいたくなのが演劇で、だから今は、多少しちめんどくさい現実がやってきても、なんとかやっていけそうな気がしている。

*1:芸能人では、天海祐希さんがずっといちばん好き!

*2:いのうえ歌舞伎『蒼の乱』公式サイト