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ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

1, 2, 3, 4, 5!

life murmur book

今年最初の3連休。

先週末は、今年最初の朝から少し浮き足立った金曜日だった。

連休前は、むしろ日付が変わるくらいまで帰れないことも多いのに、3連休前の金曜日というだけで、スキップしたくなるほどしあわせになる。現金なものだ。

 

土曜日の朝は、まだ日が高いうちに、リビングのソファに腰かけて、ぱらぱらとめくるだけのつもりで本を膝の上にのせ、結局、1冊まるまる読了するところから始まった。

https://www.instagram.com/p/BATqTTgL5bO/

差し込む陽の光で、レースカーテンの模様が映った表紙の装丁が、やわらかく白い。『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』の単行本。

ああ、これは晴れた休日にあまりにも似つかわしい、と手に取ったが最後、久しぶりの江國香織さんの文章に、本を置くことができなくなった。

ぐるぐると三人称で視点が切り替わり、出てくるメインの恋愛も不倫がなので、期間の中で、読み返した回数が極端に少ない『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』に、近しい気がする。

それにしても、主人公のどんな推理小説より、江國さんのやわらかな装丁の中に出てくる人たちの方が、殺伐としているよなあ……と思いながら本を閉じた。

からっとしているので、あまりドロドロしたものを感じないから、まぶされているけれど。

https://www.instagram.com/p/BATqO2eL5bI/

主人公のひとりが、うまくしゃべることができない少年だったので、ひらがなだけで構成された文章を読むのに手間取る分、いつもより、少しだけ時間がかかった。

 

江國さんといえば、綺麗な装丁とやわらかな文章に、「女の子が読む本」というイメージが、わたしが大人の本を読み始める前から、なんとなく確立されていた方だけれど、読んでみると、ほんとうに登場人物の思考がシビアだな、と思う。

今回の物語も、出てくる人が、いちいち全員ちょっと変わっていて、でもどう考えても、それは一歩外に出てみれば確実に「いる」変さなのだった。自分も含めて。

その「変さ」が、とたんにあたたかさをもって描かれるのは、だんぜん家族がテーマのお話が多い。

だから、わたしがいまだに江國さんの小説でいちばん好きなのは、『流しのしたの骨』だったりする。

3姉妹とちいさな弟。どう考えてもみょうなところのある両親との、たくさんの「お約束」のある世界。

文庫版のあとがきまで含めて、とても好き。

 

これで、今年読んだ本は5冊。

最初の1冊は、熟考の結果、『東京の空の下オムレツのにおいは流れる』になった。

おいしい本が好き、だれかのひみつ話のような本が好き、装丁のかわいい本が好き、という「好きな本」の要素がすべて入っている1冊。

実家には、もちろん、『巴里』の方も置いてあるのだけれど、元旦、ちょうど東京が恋しくなり始めたところだったので、こちらを選んだ。

同時進行で、移動する車の中で読み始めた上・下本が2冊目と3冊目。 

ところで、東京に戻って数年前の日記を読み返していたら、2年前のお正月にもこの本んを読んでいてびっくりした。

でも、よくよく思い返してみれば、わたしは去年だって、この本を年末年始に手に取っていたのだった。

辻村さんに出逢ったのは、大学1年生のときで、当時は受験も数か月前の出来事だったし、ともかく「ジャスト」な本だった。

それが大学を卒業したあたりから、だんだんと初期の作品がすこしむず痒くなってきて、でも毎年、「あのイタ切ない感覚をお正月くらいは思い出してみようか」と、なんだか勇ましい気持ちになる。

ちょうどアルバムをめくるように、本棚の片隅で埃をかぶっているこの本を取り出し、だいたい最後の結末を読む前に、ふたたび現実に戻ってしまう。

そういうことを繰り返しているのだけれど、だからと言って、そのまま東京に持って帰る気にはならない。

なんというか、そういう本なのだ。学生だったときの匂いがする部屋でしか、上手に読むことができない、そんな物語。

 

4冊目は、寒い夜に読むと凍えそうに悲しかった、『赤と白』。

ちょっと殺伐とした内容が勝っているので、来週はまったりした本で中和したいなあ、と思っている。