ラクレット分の休息
ある平日。
珍しく平日の夜にプライベートな予定がぽんっと入った日があって。珍しいシチュエーションにわくわくしながら、誘い合わせて同じ電車に乗った。
平日の夜の予定はきちんと決めていると、たのしみなものの「時間までに終わるかな……」ときりきりするので、こんな風に突然入る予定は身軽でただたのしくて、とてもいい。
せっかく女子だけなので、この日はチーズだらけの晩餐をしに。
以前、チーズがおいしい個室のあるお店を訊かれておすすめだけしたところがおいしかったからと、お誘い返しを受けたのだった。
数週間前に猛烈にラクレットが食べたくなり検索をかけたものの、まだ行けていなかったところなのでうれしいー。
駅から少し歩き、「もうそろそろかな?」と思ってからもうしばらく歩くと、にぎやかな表通りから少しだけ入ったところに建つ雑居ビルの中にひっそりとあるお店。
なにもかもおいしかったけれど、おなかがぱんぱんな状態でもするすると食べられてしまったカルボナーラがいちばん印象に残っているかも。
家でおいしく作るのはちょっと大変だし、外でイタリアンを食べるときには、だいたいチーズたっぷりのピザを頼むので、実はあんまりカルボナーラを食べる機会ってない。
嫌いなわけではないし、むしろどちらかというと好きなのに、いつも2番手だから選ばれないメニューというのがある。
たとえば、今日はあげもの定食にしよう、と思ったときにからあげとトンカツだとからあげを選んでしまい、今日こそはトンカツを! と決意して行った日も、季節限定の文字に惹かれてカキフライを選んでしまう、みたいなこと。
カルボナーラは、わたしにとってそういうメニューのひとつみたいだ。
でも、このカルボナーラがほんとうにおいしくて! なんというのだろう、変にクリーミー過ぎないといえばいいのか、ちゃんとチーズの味がしっかりする。パンチの効いた味。
パスタで食べるチーズもいいなあ、と思うおいしさだった。
ほかにも、節度を忘れてチーズ三昧。
ラクレットを頼みつつ、我慢できなくてチーズフォンデュも追加でオーダー。
見た目よりもふんわりしたバゲットに、いつ食べても記憶しているよりおいしいズッキーニ、それからそれぞれ2切れずつのお肉も含めて、なんでもかんでもチーズに絡めて食べて大満足。
せっかくなのでワインも飲み、すっかりいい気分。個室なのをいいことに、よく喋った夜だった。(もう何を喋ったのか、ほぼ覚えていないけど……!)
話の合間にどんどんお料理がサーブされて、渇いた喉を癒すためにアルコールも何度おかわりしただろう。
そして、お目当てのラクレットも堪能。チーズ好きには夢のような料理、という謳い文句に恥じないビジュアル!
食べてみて 思ったのだけれど、たぶん、チーズフォンデュやバーニャカウダとちがって、ラクレットは女子会の定番メニューにはならないと思う。
ともかく、急いで食べるのがおいしさの秘訣なのだ。
グリルされた野菜やエビや鶏肉にそそがれたチーズは、くらりとするくらいとろけてぽってりとすべてをおおいかくしているのに、あっというまに再び固体に戻ろうとする。
なので、遠慮もとりわけもせず、出て来た瞬間にフォークを伸ばして食べるが吉、という食べ物だ。
おそらくそもそもが、あまり大人数で食べるには向かない料理だと思う。
かといって、ひとりだとどんなにがんばっても食べている間に固まってきてしまうし…と考えると2人というのはベストだと思う。3人でもいいかな。
会というには人数が足りないくらいで、チーズに対する情熱のある相手とスポーツのように挑むのが楽しいメニューみたいだ。
わたしよりもチーズ好きな相手とだったので、このときばかりは無言でお皿にフォークを伸ばした。
すごくおいしくて満足! いろんなお店で食べてみたいなあ。
このほかにも数品追加してどう考えても、これ以上食べられないと思いながら、ラストオーダーでは、口が勝手にデザートを注文していた。
ふわふわの生クリームの下に、こりこりとしたマロンとナッツがたっぷりかくれたモンテ・ビアンコ。
人生で何回目? というデザートだし、そもそもマロンがあんまり得意じゃないので、マロンを使ったデザート自体が珍しい選択なのだけれど、はなやかな見た目に反して堅実な味で、とてもおいしかった。
すべてが個室のお店だったので、ずいぶんのんびりしてしまった平日の夜。
考えてみれば、子どものころよりも大人になってからの方がずっと、チーズ料理のことを好きになった気がする。
冷めていても出来合いでもおいしいものが増えたこの時代において唯一、人が手をかけてその場で作ってくれた方が圧倒的においしいものだからかもしれない。
温めたチーズを食べられるのは、料理だけに集中していればいいときが多いから。たとえばピザだって、なかなか何かをしながらでは食べにくい。
たから、わたしは働き出してからずっと日が暮れかけるとテーブルにキャンドルが出てきて、小さな器で温められたチーズフォンデュを食べさせるお店が好きだし、ラクレットが食べられるお店はきっともっと好きになる気がした。
チーズまみれのメニューで、しあわせまみれにされた数時間だった。
ふつうで特別な朝ごはん
というわけで、引き続き日常の記録。朝ごはんをいくつかまとめて。
最近いちばん幸福だった朝食は、知らない街めぐりをした土曜日の翌日、ある日曜日の朝ごはん。
降りた駅で住宅地をずっと抜けたところに、突如、とてもスタイリッシュなベーカリーがあって、そこで芸術品のようなデニッシュを買って帰った。
こちらのパンで育っているんだなあ、とうらやましくなるようなちっちゃい女の子がお母さんとマフィンを選んでいたり、スタイリッシュなのに気取ったところのないすてきなお店だった。
期間限定の文字に珍しくつられた恋人は、苺とピスタチオ。バナナとココナッツという組み合わせが陽気で気に入ったわたしは珍しく、定番のものを買った。
土曜日に続いて、とても天気のいい日曜日の朝で、カーテンを開けると部屋中がさあっとまっしろになったのを覚えている。
朝以外は俄然、かたくてしょっぱいパンが好きだけれど、朝だけは別。
罪悪感なくほおばるクロワッサンやきらきらのデニッシュは、目覚めの良さにも一役買っていると思う。
しっかり焼きこまれたバナナと、さくさくのココナッツが想像通りの味で、奇をてらってなくてとても好みだった。
のんびりした日曜日の朝なのでコーヒーを淹れるのもさぼって、ティーバッグの紅茶を片手に。今日、背の高いグラスを買ったので、これからはミルクでもいいなあ。
もっと怠惰なときには、ベッドでとびきりジャンクな朝ごはんを食べたりもした。
ポテトチップスと、単に味が好きな豆乳バナナスムージー。
このスムージーはだいぶ前に実家に帰った時に母がはまっていて、年末帰ったときにもまだオススメしていたので、だまされたと思って飲んでみたらわたしもはまってしまったもの。
豆乳の味がわりとしっかりするので、そこは好き嫌いわかれるかもしれないけれど。
こんなわるいことをしていいのかしら……とドキドキしながら朝食べたポテトチップスは、うすしおだったせいか妙に健康的な味がして、思ったほどジャンクじゃなかった。面白い。
よくよく考えなくても土日予定がない場合は、ほぼほぼ昼・夜共に自炊していることが多いので、朝ごはんは楽ちんにしがちなのかも。
ブランチの時間まで寝過ごしたときだけは、フライパンひとつで終わるたまご料理とベーコンくらいは作る。
冷蔵庫にヨーグルトがあれば、それも出すだけ出す。
最後にそんなブランチを取ったのはいつだっけ、と写真を見返していたら、このときもバナナをとっていた。
DEAN&DELUCAのバナナブレッド。なにかというと、バナナに手が伸びているみたい。はちみつとグラノーラをかけたヨーグルトも大好きで、いつでもかんたんに作れるはずなのに、もう1か月くらい食べてない。
今日はほんとうは、朝からほっけを焼いてお味噌汁を作るはずだった。たまにはそういう朝食を食べたいのだけれど。
来週はせめてお米だけも前日にセットして、お茶漬けくらいは作ろうかな。
March in Pink
週末。のんびりずいぶん前のロードショー『RED 2』を流し見ながら紅茶タイム。
1週間かけてゆっくり読んでいた村上春樹氏の新作を夕方5時頃、ようやく1・2ともに読み終わったので、休日を惜しむようにのんびりしている。
村上作品を読むとパスタかシチューを作りたくなるので、今日のお昼はたぶん今年最後のシチューにした。
たまに食べるとシチューって好きだなあ、と思う。
好きなものはいろいろある。
たとえばこの時期、土曜日のAMに鳴るチャイムが好きだ。ウォーターサーバーのお水のときもあるけれど(それはそれでうれしい)、たいていは1か月に一度のMy Little Boxだから。
とはいえ、もうはじめて2年以上になるので、しばしば以前も入っていたものが再び入っていたりする。
さすがに少しマンネリ化してくるかなあ……と思っていたところだったので、今回はダンボールを開けた途端に思わず歓声を上げてしまった。
いつものBoxじゃなくて、なんと今回はポーチ! その名を無視した試みだけれど、前伊に一度缶だったときもすごく新鮮だったので、たまにはこういうサプライズもいいなあ。
クリア~半透明のグラデーションになっていて、ものすごくかわいい。
ちょっと夏っぽい素材だけれど、重いコートを脱ぎたくなる春先に、この浮かれた軽さがうれしい。
入っているのはいつもと同じく雑貨、コスメ、冊子なのになんだかはじめてのときみたいにうきうきした。定番のかわいいイラスト入りBoxもいいけれど。
ねむたいまま宅急便を受け取って、箱を開けるたびに、リボンをほどくたびに、ポーチを開けるたびにだんだんわくわくして目が覚めていくのが好き。
今回は箱とリボンの代わりに、ジッパーを開いた。
まず出て来たのは、かわいすぎる"セルフィーブラッシュ"という名のブラシ。
あわいピンクとピンクゴールド、そして白。春らしい色合いがものすごくかわいい! きわめて淡い色使いなのに、ピュアというよりはちょっとコケティッシュなのが素敵。
チークブラシは繰り返し洗って、ずいぶん前のいただきもの晃祐堂のハートのものを使っていて、やっぱりたいそうかわいく。
きれいに入れられて使い勝手もとてもいいので、まったく新調する気がなかったのだけれど、これは久しぶりにブラシを更新してしまいそう。
晃祐堂はブラシの毛すべてがくっきりとしたピンク色なのに比べて、My Little Boxのものは毛先だけがほんのりピンク。
自分で買う時にはピンクとブルーがあればぜったいブルーのものに手が伸びる。でも、ふいに届くものはだんぜんピンクがうれしい。
2代続けて、期せずして手に入れたピンク色のブラシで頬を染めると思うと、なんだかふしぎ。でも、チークというスイートなコスメに、ピンク色のブラシというのは夢があってよくよく似合っていると思う。
それにしても、今回のオリジナル雑貨はどれもほんとうにかわいい!
ポーチも含めてピンク尽くしで、もうひとつはこちら。
バンカーリングだ。つやけしのシャンパンピンクで、シンプルだけどスイート。
こういう「自分で買うほどじゃないけど、一回は使ってみたいもの」を試させてくれるのが、このBoxはほんとうに上手。
この間、22;marketで同じような色味とデザインのものを買うか迷って、意外にいいお値段にやめてしまったところなので、個人的にはとってもタイムリーでうれしい。
一度使いだすと、なかったときのことが信じられないくらいスマホ生活が快適になるという噂だけれどはてして……?
というわけで、久しぶりに心から大満足したBoxだった。
ほっこり系のデザインもかわいいけれど、やっぱり単純にミーハー心を満たしてくれるこういう方向性は、春先だとわかりやすくテンションが上がる。
うれしかったのはコスメもふくめて。
以前BBが入っていてすごくよかったANNA SUIから、今回は下地が入っていた。イルミネイティングビューティーバーム。
前回BBを使ったときにも感動したのだけれど、こちらもこれだけでぜんぜん平気なよそゆき肌になる。
ものすごく付け心地が軽いのに、そんじょそこらのファンデーションよりもばっちりすべてが隠れるので、これ+どうしても気になるところにコンシーラー以上に何かをする気になれないくらい。
週明けメイクをするのがたのしみになるきっかけが、ぎっしりたっぷり入った3月のBoxだった。
6年前、同じ日付の日、恐怖におびえて玄関のドアを開けたのがうそみたいに、のどかな一日の始まり。
いまだに適切な言葉のひとつも思いつかないくらい、あれは過ぎ去ったことではないけれど、誰もにとって、毎日が毎日続いて行くことをただひたすらに願い続けていこう。
とうふ記念日
子どもの頃には、大人になったら「はじめての記念日」なんてなくなるのだと思っていた。
そういうわけではなさそうだな、と思った二十歳から早十年近くが経とうとしているわけだけれど、「なさそうだな」どころか、「ぜんぜん減らない」というのが二十代最後の年に思うこと。
わたしがあまり冒険家ではなかったせいも、おおいにあるだろうけれど。
いったい平均的に、人は二十歳までにどれくらいの「はじめて」をこなすんだろう。たとえば「はじめて食べるもの」ひとつとっても、二十歳になってからの方がずっと多い。
というわけで、昨日は生まれてはじめて、おとうふやさんでおとうふを買った日。
はじめて降りる駅で、なんだかお正月みたいに静かに凪いだ街をゆっくり歩いて見つけた、こじんまりとしたお店で。
だいたい、おとうふというもの自体をしみじみおいしいと思うようになったのも、この一・二年のことだ。
暑い夏の日に、ねぎとしょうがとかつおぶしをたっぷりのせた冷奴、甘いフレーバーまで各種取り揃えられた豆乳、女性陣だけで旅をすると度々口にすることになる湯葉も、ぜんぶぜんぶそれほど積極的に欲することはなかったのに。
寒い日にすき焼きではなくお鍋が食べたいなあと思うようになってから半年ほど遅れて、ある日突然、ものすごくおとうふが食べたい! と思ったのをきっかけに、いつのまに好物のひとつになった。
今ではお鍋のときには、自分だけならごはんを炊かないくらい。おとうふというのは存外おなかにたまるものなので、たっぷり食べたいならボリューム的にお米は無理なのだ。
湯どうふはさすがにまだ積極的には作らないけれど、鱈ちりを覚えてからはときどき真っ白なお鍋も作る。
おとうふについて特に好みがなかったときにはもっぱら木綿だったのに、最近はすっかり絹派になったのも面白い。しかも、なかなかゆずれなくて、恋人は木綿好きだと知っているのに8割がた絹を買ってしまう。
とはいえ、絹でも木綿でも、もちろんスーパーでパックされたものだ。
はじめてのおとうふやさんは、ずいぶん前に新宿駅で待ち合わせをしたときに、やたらお洒落なポスターにひかれて始めたこちらのために買った1日乗車券を使った途中下車で出会った。
黄色に黒、イラストがぜんぶシルエットなのがかわいくて、その場でサイトを検索。
最近はPDFの冊子をプリントアウトして持ち歩き、一日乗車券を買い、ぽつぽつと謎を解いては、答えじゃない駅でも改札を出てみて、と寄り道をたのしみながらいくつかの休日を過ごしている。
1日乗車券というのは面白いもので、まずは毎回切符が使える改札を探すという行為が十年ぶりくらいでとても新鮮。
そして、元を取ろうと思って、特に目的がない駅でもぽんぽん降りてしまう。
休日の電車は焦っている人も少なくて、各停ばかり選んで乗るせいか席もゆったりと空いていて、とても快適。
そもそも移動が好きなので、謎解きは二の次でたのしんでいるから座るとすっかり旅行気分だ。
チョコレートの季節だからと最近、再読した『神様のボート』を思い出す。いろんな街を歩くのは単純に心愉しい。
実際、各停で停まる駅は名前を聞いたことがあっても、降り立ったことのないところが多くてついつい観光気分でぱしゃぱしゃ写真を撮ってしまった。
少し暖かい日が続いたせいか、そこかしこで花が咲き始めていてとてもきれい。
朝起きてつけたブランチのお天気コーナーで繰り返し言われていた通り、「風がなくて快適な一日」だ。この日はじめておろした真っ白のスニーカーもとても履き心地がよく、どこまででも歩いていけそうな土曜日。
たっぷり寄り道をして、夕暮れ時に降りた駅で、もう店じまいをはじめていたおとうふやさんを見つけた。
地元こそ、車でスーパーへという生活だったので、そもそもおとうふやさんというものを見ること自体、ほぼはじめて。ゆるゆるとした坂の途中にとつぜん現れたお店に、吸い込まれるように近づいてしまう。
晩ごはんの予定はお昼を食べながら既に相談していたけれど、それを反故にして、ガラスのドアをそっと開けた。
時間が時間だったので、残っていたのは木綿が少し。
絹・木綿戦争を繰り広げることなく、ぱっと決まった戦利品を手に、はじめてのおとうふやさんを後にした。
というわけで、晩ごはんは小さなお鍋を2つ使って、鱈ちりと豚しゃぶを。
まあるい容器に入れてもらったおとうふは、木の匙でそっとすくって静かにお鍋にしずめて、きっちり半分ずつそれぞれのお鍋に入れた。
これがおいしくて!
わたしはおとうふの良さは静けさだと思っているので、木綿のきゅっきゅっという歯触りが気になるのだけれど、これはどこまでもやさしかった。いやな歯ごたえがないというか。
まあるくてまあるくて、でもしっかりした食べでのある木綿。
これがはじめておとうふやさんで買ったおとうふ、と思いながら、たっぷりしたお鍋の中でもしっかりした存在感を放つ白を、せっせと口へと運んだ。
小学校で習って以来、何かと呟くフレーズを思い浮かべながら。
―2月25日は、とうふ記念日だ。
さあて、残り少ない二十代のうちに後いくつこのフレーズを呟けるだろう。
Pink Friday
先週は暖かかった……んだっけ? もはや記憶があやふや先々週が暖かかったのかも。春のような服をしていた気がする。
そうそう、先週は寒かった。でも、存外綺麗に晴れている日が多くて、ダウンを着ていくかどうか迷った朝が多かった。結果的には毎晩「着て来てよかった…」とジッパーを首元まで上げたわけだけれど。
金曜の夜は寒すぎて、久しぶりに湯船にお湯をためて入った。
お風呂のおともは、月のはじめに届いたMy Little Boxを持ち重りのするものにしていたクナイプのバスソルト。
寒い冬がハッピーになる華やかなピンク色のボトル。
My Little Boxを続けているのは少しずついろんなものが試せるからだけれど、現品が入っているのはやっぱりうれしい! ローズ&カメリアの香り、自分では華やか過ぎて手が伸びないけれど、直球でいい匂い。
この間ようやくグリーンの香りがするものを使い切って以来、バスソルトは買い足しおらず、もっぱら入浴剤を使っていたのでいいタイミング。
キャップ半分で、見た目通りのしっかりしたピンクに。
入浴剤はお湯がとろりと乳白色のが好きなので、こんなにきれいな色がつくお風呂は久しぶり! 疲れているときのピンクってやっぱり気持ちが上がるなあ。
久しぶりに恋人と誘い合わせて職場のある街を後にし、晩ごはんもそのまま外食したのでのんびりした夜。
料理をするのは好きだけれど、後片付けをしなくていいとなると、途端に夜が長くなる。
家に帰ってコンタクトを外して、めがねでぱらぱらと本を読んで。
きちんと日付が変わる前にメイクを落として、ゆっくりいい匂いのするお湯につかって、1本で完結しない保湿をして、しっかり長い髪を乾かして、明日と明後日の予定を確認して。
夜中に、春の味がするケーキを1個半ずつ食べて。
毎週月曜日から木曜日に恋焦がれている金曜日の夜の全てがあった夜だった。
のんびりし過ぎてこわくなるくらい。流れている時間の速度をゆるめる効果がお風呂にはあると思う。薔薇色のフライデーナイト。
結婚して家に入って……という未来は今のところ想像していないので、これからもずっとこうして金曜日の夜に焦がれて過ごすんだなあと思うと、ふしぎな気持ちになる。
働き出して何年目か即答できなくなり、ようやく平日にも自分の人生を感じる余裕ができてきた。それでもやっぱり、金曜日の夜は特別だ。
平日電車に乗っていると、いつまで会社勤めを続けるんだっけとか、そもそもいつまで東京にいようかな? なんて考えることもあるけれど、とりあえず今のわたしは薔薇色のお風呂につかれる金曜日の23時があればだいたいハッピー。
春になるまでにもう何回か、こういう金曜日が過ごせるといい。
チョコレート三昧
年々購入するチョコレートの数が増えていたけれど、さすがにそろそろ節度のない乱獲にも打ち止め。
というわけで、いちばん気になっていたチョコをあげる用にひとつだけ買い、自分用にも気になったものを少しだけ。
そのうちのひとつは、こちら。
コンパクトで値段もお手頃だったので、エクチュアのプラリネを。シックな見た目がかわいくて、2つ入りにした。
大阪の老舗ショコラティエらしく、それは帰ってお店の名前で調べてから知った。せっかくなら、この時期にしかなかなか手に入らないものがうれしいので、なんだか得した気分。
限定に弱いのは、今年も変わらない。
目を引いたのは、あまずっぱくてキュンとするハート型。
赤1色じゃなくて、マーブル状になっているのが気になって。バレンタイン限定らしい、可憐なカシス味。かわいいなあ。
中からはとろりと甘酸っぱいフィリングが出てきて、かわいさに拍車をかけていた。
もう一つのプラリネは、お店の名前を冠した「エクチュア」。大好きなジャンドゥーヤ。ザクザクしたナッツの食感がおいしい。
贅沢だなーと思いながら、大きな粒のチョコレートが少しだけ入ったこじんまりした箱のリボンをほどいて。
なんでも写真を撮るのはやめよう、と思いながらやっぱりかわいさに負けて、ぱしゃぱしゃ写真を撮って。
この時期だけは、正式にチョコレートにうつつを抜かしてもいいと思っている。
やっぱりチョコレートはいいな。
『めぐる』を見て以来、Huluにしつこくオススメされていた『11人もいる!』を見ながら大事に食べた。
このドラマ、おもしろい。9話しかないのが残念!
最近、お休みのたびにちょっと前のドラマを一気見するのにはまっている。
『未来講師めぐる』を見て、そこから深キョンしりとりで、『専業主婦探偵~私はシャドウ~』を見て、今はクドカンしりとりで『11人もいる!』に戻ってきているというわけ。
世代なので、クドカンの笑いがやっぱりしっくりくるなあ。狙い過ぎてて笑えないところもあるけれど、それもふくめて好き。
4CCまでに観終わるかしら。観終わったら、次は何にしよう。海外ドラマはチョコレートをぱくぱく食べたくなるからやめようかな。
この間、久しぶりに観た『キューティー・ブロンド』の冒頭で、失恋したエルがチョコレートを箱食いしているのを見て、うらやましくなってしまったもの。
真っ赤なリボンが映えるシルバーの箱ひとつで、今年の自分チョコは満足。
今年はくたくたになって帰宅したら、世界一好きなチョコレートが出て来て、心底満足したし。
ホワイトデーに向けてまた賑わうお店の誘惑に、負けないようにしないと!
少しずつの行きつく先
暦モードを見ていたら、去年の今頃にはソファーを新調していたらしい。
もう一年も前かーという気もするけれど、もはやこのソファーがなかったときの生活を思い出せないので、まだ一年しか経ってないのが嘘みたいだ。
ソファーを買い、パソコン用にゆったりもたれられる椅子を買い、大学1年生のときに買った小さなデスクの横に、ひとまわり大きな白いデスクを買い足した。
昨年の夏には、念願の壁いっぱいの本棚も買い足し、どんどん部屋が快適になっていく。
使っている家具の基礎は、大学を機に上京したときのものだけれど、少しずついろんなものを新調したり買い足したりして、ようやく最後にいちばん大物の新調に辿り着いた。
ベッドである。
学生時代の家具はほとんど白だったのに、だんだんと茶色が増えて行って、最近新調した大物はことごとく濃い色だったから、最後の大物は初心に戻って真っ白に。
旅をしてホテルに泊まるたびに「このベッドが家にあればなー」とうらやましくて、逆に言うと、年々、それ以外は家の方が快適だなと思うことが増えてきて、とうとう最後の砦に手を出したのである。
何がうらやましいってその広さだったので、ぼんっと大きなサイズに新調。
横幅が広くなるので、その分、背が低いタイプに。真っ白なのも相俟ってか、むしろ今までより部屋が広く感じるくらい。
どうせならいろいろ遊べるスペースがあるといいな、と思い、枕元にたくさん収納があるタイプを選んだ。
最近すっかり使わずにただのインテリアになっていたライトも、久々に実力を発揮している。
枕元にコーヒーを置いて、ライトだけつけて本を読む時間がほんとうにしあわせ! 今年、読書量が増えているのは、ぜったいこのベッドのおかげだと思う。
読書のおともは、アウトレットで半額で売っていたリンツのチョコレート。
包装がシーズンを過ぎてしまったということで、たっぷり入って信じられないお値段だったリンドールを、おめざとして枕元にキープしているのだけれど、本の中にチョコレートが出て来たときにはひとつつまんでいいことにしている。
最近、久しぶりに『神様のボート』を再読したのは、無意識にチョコレートを食べる理由を探していたのかも。
缶は昨年行ったSNOOPY MUSEUMのもの。チョコチップクッキーがぎっしり入っていたものを再利用している。
すぐにパケ買いをしてしまうので、こうやってちゃんと再利用できると、それが正当化されたようで少しうれしい。
新しく来たベッドには、ちょっとしたテーブルがわりになる高さのヘッドボード(?)があるので、天気がいい日はカーテンを開けてベッドで朝ごはんを食べたり。
ある日はジューサー(そういえば、これも今年に入って新調したものだ!)でめずらしくバナナジュースをつくって、なつかしい本を片手にかんたんな朝ごはんを。
ファミリーマートのこのジュースは、中身がおいしくてボトルがしっかりしてて、まるっと楽しめるのがすごくいい。(って、これも再利用していい気になっているもののひとつだな……)
それにしても、ほんとうにどうしてもっと早く買い替えなかったんだろう、という快適さ。
旅行に行くと必ずやってしまう「縦と横両方に眠ってみて、ベッドの広さを堪能」というしょうもない儀式を、いまだに家に帰るとやってしまうくらい。
大人になるってたのしいなあ、と思う。子どものころの夢をひとつひとつ叶えていくのって、ほんとうにおもしろい。
写真の本は、子どもの頃いちばん好きだった本。
「深夜、屋根にのぼる」というあまり褒められたものじゃない遊びを発見した姉弟の話なのだけれど、この本に出てくる子どもはみんな、わくわくすることを必死で探して生きている。
わくわくは自分でつくるんだ、という気概をわたしはたぶん、この本に教わったんだと思う。
今年は何個そんなわくわくを見つけられるんだろうなあ、と思いながら新しいベッドでごろごろと贅沢な寝返りを打っている。
まずは快適すぎるベッドから出ないとなー。