単純に完璧なプリン・ア・ラ・モード
日曜日。
いろいろと乗り越えた後の、穏やかな三連休。ぜったいにもう無理だ! と1月半ばから2月頭にかけて何度も思ったけれど、なんやかんや無事に収まるべきところにすべてが収まった。
ほんとに最後の数週間は、この三連休をずっと待っていた。
土曜日は夢のように過ぎて、ほとんど明け方まで起きていたので、今朝はぎりぎり10時台に目を覚まし、朝ごはん。
分厚いチーズトーストと、いつものスクランブルエッグにカリカリのベーコン、そしてお鍋の残りの舞茸を塩コショウでソテーしたもの。
オリンピックを流しながら、のんびりとした日曜日。今日はフィギュアスケートの団体戦。
次はコストナーの出番。カロリーナが自分より歳上なことにおどろく。同い年だと思っていた。
4年に一度の冬の祭典で、熱を入れて応援する選手がいなくなった今、ずっと観ていた人たちが、まだ現役で、しかもトップレベルで戦っているのがいちばんうれしい。カロリーなも色々あったもんなぁ。
いい意味でそれを感じさせない、はじめて観たときと同じ、穏やかな絵画のような空気が健在なところもうれしい。
宮原さんの演技もぜんぜん心配せずに観終わって、ほっと一息。
午前中になんとかごはんをきちんと食べて、家事を済ませると、帳尻があった気持ちになる。さっきまで一日が半分終わってしまう……と焦っていたのが嘘のよう。
昨日届いたMy Little Boxのクナイプを使ってお風呂をためたので、その残り湯で黒やネイビーの洗濯物だけ先に済ませる。その間に昨晩のお鍋の洗い物と、今朝の朝ごはんの片付けをして、ダイニングとリビングのテーブルを片付けた。
残り湯を使うのってめんどくさいし、新しい水で洗う方がいいなとも思うのだけれど、なんだかとっても家事をしているという達成感がある。
キッチン・リビングでできる家事のお供は、去年の夏は珍しく見ずじまいだった、大好きなドラマ『すいか』。
もうそろそろHuluを解約しようかなと思っていたのに、ナイスタイミングでこれが追加されてしまい、契約を延長することに。
平日には『コートダジュールN°10』も観た。毎日一話ずつ観ていたのだけれど、エンディングが流れるたびに恋人にぎょっとされて面白い。たしかに静かなドラマの最後に突然流れるので、インパクトがあるし、残るんだよなぁ。
イヤフォンをつけてせっせと作業をしているのに、なぜかエンディングのときに高確率でイヤフォンを外している恋人。
ドラマに出てくる衣装や、ごはんを見ていたら、なんだかレトロなおやつが食べたくなって、テイクアウトできるプリン・ア・ラ・モードを買いにちょっと遠出。
プリン・ア・ラ・モード自体もとってもかわいいのだけれど、添えられていた包み紙が更にレトロさに拍車をかけていて。問答無用にときめく。
母のエプロンやランチョンマットのような、こういうテイストの花柄は自分の持ち物には採用しないけれど、ふいに出会うと、あまりのかわいさに反射的にきゅんとしてしまう。
紙には、ウエハースが包まれていた。
他にもいくつかおやつを買っていたのだけれど、目ざとく袋を見つけた恋人とふたりで、プリン・ア・ラ・モードをはんぶんこしたら、すっかり満たされてしまった。
真ん中に固めのしっかりしたプリンが鎮座し、その下にはたっぷりと清潔な生クリームがしかれ、苺やカスタードがささやかに挟み込まれている。
ちょんっと載ったシロップ漬けのチェリーも、缶詰の甘さのみかんもパインも、なにもかもがレトロでかわいい。プリン・ア・ラ・モードが食べたいというとき、まさしくこれを思い浮かべるという端正さ。
昔食べた記憶の中のいわゆるプリン・ア・ラ・モードは、同じビジュアルでもっと甘かった気がするけれど、現代風にあっさりとした甘さなのもうれしい。
プリンの上に銀河のように散らされた銀色のアラザンまで、すべてが完璧。
お昼を過ぎて急に時間の流れがとろとろと曖昧になってきたので、今日のおやつの時間はまだしばらくやってきそうにない。
昨日、数年ぶりに本棚から取り出した本はもう読んでしまったし。もう少しオリンピックを見続けようかなぁ。
本は、ウエハースにまつわるタイトルで、自分ではぜんぜん気づかなかったので指摘されたときには心底驚き、なるほど、と奇妙に深い納得があった。
選ぶということは単なる気まぐれだと思っているのに、こうしてわかりやすい理由がつくと、なんだかちょっと笑ってしまう。たぶん、単純さは幸福に直結しているからだ。わたしは単純な人生が好きだし、自分が単純だと思える瞬間はとても心楽しい。