ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

線路沿いのサーカス

ある週末。イチョウはすっかり落ちてしまった国立で、のんびりした。

あのひたすら幸福な秋の景色を観られなかったのは残念だけれど、そのがっかりを免罪符に、気になっていたお店をはしごして、結果的には大満足なお出かけになった。

何度降りても、南北を自由に行き来できるのがいまだに不思議な改札を出て、ひたすら線路沿いに歩く。今回はどちらも線路沿いのお店だったので、はじめてでも道順が明確でいい。

たどり着いたのはcircus*1というちいさなお店。10席しかないこじんまりとしたカフェで、お花屋さんみたいな外観におどろく。この街に行かなくなってからできたお店なので今回がはじめて。

お花見の時期には混みすぎてるかな、と思ってずっと先送りにしていたのだけれど、どんよりと寒い日の中途半端な時間帯だったので行ってみた。

https://www.instagram.com/p/BcgGGTVgzdl/

デザートもおいしそうだなと惹かれつつ、おなかが空いていたのでごはんものをいただくことに。

ペリカンの食パンを使っているトーストセットに一瞬よろめきながら、あたたかくてやさしいものが食べたくて、茹で鶏のせごはんを。店内がとってもくらいので、あまりきれいにとれなかったけれど、心躍る盛り付け。

ごはんは鶏スープと生姜で炊かれたもので、このごはんだけでも十分おいしい。

別添えで出してくれる、少し酸味のあるソースをかけると更に味がしまるけど、ないとほっとする味で、どちらもすてき。夏ならソースをかけた方が、冬ならなしでほんわかやわらかい味をたのしむ方が、というのが個人的な感想。

別添えでいえば、レモンとパクチーを、丼にはのっけずに出してくれる心遣いもうれしい。

https://www.instagram.com/p/BcgGCWiglU8/

パクチーはダメでもエスニック料理自体は好き、という人を誘いやすいシステム。

いっしょにいったのがどちらもあまり好まない人だったので、わたしが二人分いただいて、せっせとカスタマイズして食べた。

器がどれもごつっとした手触りで、でもすてきだったなぁ。マグカップも無骨なもので、それがあの空間に合っていてとても魅力的だった。

お店の壁がとても印象的なブルーで、そこに少しずつきれいな色が花瓶に挿された花で差されて、印象的な色がそこかしこにあるのに、ふしぎに静かな空間。

なぜか、おいしいカレーを食べさせてくれる吉祥寺のカフェのことを思い出した。あちらはもっとベージュと白と…という色使いだったはずなんだけど。

そんな感想を呟いたら、いっしょにいった人も、まったく同じ感想を抱いていたみたいでびっくり。どこがどう、というわけではなく流れている空気感かなぁ。どちらもすてきなお店。

https://www.instagram.com/p/BcgGFBwA-lN/

茹で鶏のせごはんには、その日の小鉢とフォーのスープと同じスープ(?)がついてくる。ピクルスみたいに色鮮やかなおつけものも、丼にのっかっていた。

なんだかただごはんを食べただけなのに、旅に来たような気持ちになるカフェ。

ささやかな照明の落ちた店内に、とろとろと静かに時間が流れて、キッチンにだけ明るい光が灯っていて、それもなんだか真夜中に起きてきたら、お姉さんがことことからだにいいごはんをこしらえてくれているみたいで。

寒さに固まったからだをじんわりほぐしてくれる、ずいぶん遅めのお昼ごはんだった。