はじめてのホールケーキ
週末のおやつ。
チョコレートを買って帰ったらキットカットがよかった、という夢を見たといわれて、ほんとうに買ってきたキットカットは冷蔵庫に。
自分用に買ったのは、ふわふわのスフレチーズケーキ。
久しぶりのフォルムがなつかしくて、ぱしゃぱしゃ写真を撮っていたら、「それなあに」と見つかって、半分こをすることになった。
今年買ってたいへん重宝しているブラックのつや消しのデザートフォークで。
チーズケーキには、ブームがある。
子どもの頃はグラハムを敷いたどっしりなのに中がとろりとしたベイクドチーズケーキが好きだったけど、10代半ばで断然レアチーズ派になり、20代でまたベイクド派に戻ってきたところ。
その中で、特にすごく好きなわけではないのに、何年かに一回思い出したように食べるのが、スフレチーズケーキだった。
これもかなりしばらくぶり、のはず。
もう今はないようなのだけれど、昔、地元で通っていた塾の隣に、よしろーおじさんのチーズケーキというお店があった。
500円でホールが買えるというのが、学生だったわれわれにはうれしくて、夏期講習や冬季講習の後には、お土産とご褒美に買って帰ったことを覚えている。
それが、はじめて自分のお金でホールケーキを買った思い出。
大阪にあるりくろーおじさんのチーズケーキとの関係は、今となってはよくわからない。真似しちゃってたのかな?
というわけで、スフレチーズケーキは、なんとなくわたしにとって「大人の階段」の味がする。
ほわほわとどこまでもやさしい口当たりは、いっそ子どもっぽいのに。
しゅわしゅわ噛みしめる前になくなってしまうはかなさと、ケーキにしてはずいぶんそっけない堅実なビジュアルの落差が面白い。
ケーキのお供は、山ぶどうの赤ワインだった。
あまりに濃くて甘いので、サングリアみたいに氷で割って飲んでいる。
ちらりとレモンまで入れて。
マグカップとバタービールのジョッキがとってもかわいかったのだけれど、持ってない形態のカップを、ということでこれにした。
遊び疲れて帰ったホテルで、20代最後のお酒を飲んだときのきーんと冷えたおいしさに一瞬で虜になり、それ以来、家でお酒を飲むときはこれだ。
それしても、ハリーポッターを夢中で読んでいた頃に、わたしははじめてケーキをホールで買ったんだなあ。
人生はあまりに地続きで、ときどき記憶の中の景色の遠さに、驚いてしまう。