Saved the LAST KISS for me?
秋は、プライベートな時間があまりなかったわりに、細々といろいろなものを観た気がする。
舞台を3本、LIVEを2本、映画は駆け込みで『エベレスト』の1本だけ。もはやいつ読んだのか覚えていない本も、数えてみると秋だけで、10冊以上は「今年読んだもの」のリストを更新していた。
LIVEは、どちらもアイドル絡み。
10月終わりから11月頭は、なんだかAKBづいていて、ハロウィンLIVE*1の数日後には、『French Kiss Live~Last Kiss~』に参加してきた。
それが何にせよ、わたしは「卒業公演」や「ラストLIVE」と言ったものに立ち会ったことがなくて、一度、“最後”というものをきちんと観てみたいものだなあ、と思っていた。
そんな中、フレンチ・キスが解散LIVEをやるらしい、ということ自体はどこかで知っていたけれど、チケットを探すまでのバイタリティはなく、なんとなく覚えていただけだった気がする。
ところが、ダンス・オブ・ヴァンパイア』のチケットを発券すべく開いた、eplusだかぴあだかで一般発売をやっているのを見かけ、「ここで買えるんだ!?」と驚いた次の瞬間にはポチっていた。*2
それにしても、平日の夕方18:30開演、しかも場所はさいたまスーパーアリーナ……とどう考えても普通の勤め人には辛い設定。
なぜ! と慄きながら当日を迎え、結局、ぎりぎりになんとか会場までは辿り着いたものの、チケットに印字されていた席にはたどり着けず、歩きながら、中で幕が開いたのを聞いた。
というのも、もともとは300レベルで観るはずだったのが、機材席としてその場所が使われるようになったため、アリーナに席が変わることに。
そんなビギナーズラックを地で行くようなことがあるのかしら…! 新参者なのに申し訳ない……! と大混乱しながら、アリーナ席で最初で最後のフレンチ・キスを堪能させてもらった。
いちばんAKBを観ていた当時に派生ユニットも、もちろんいちばん齧ってはいたわけで、 その当時に出た新曲がフレキスでもいちばん聴いたもの。
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その『最初のメール』も聴けるといいなあ、なんてぬるいことを思いながら行ったら、なんと全シングルをフルサイズでやるという、ラストLIVEの意味をきちんと理解した誰かの想いがこもったステージ内容になっていた。
以下、自分の備忘録としてセットリストを。
- If
- ある秋の日のこと
- 口移しのチョコレート
- 最初のメール
- ロマンス・プライバシー
- カッコ悪いI love you!
- ドラゴンフルーツの食べ頃
- Rainy Day
- 世界の涙
- あなたと私(柏木由紀嬢ソロ)
- 2人だけの記憶(高城亜紀嬢ソロ)
- 向日葵(倉持明日香嬢ソロ)
- 君なら大丈夫
- ずっと前から
- 思い出せない花
- あまのじゃく
- 前を向いてる君
- サヨナラをあと何回…
結局、ほんとうに、ほぼすべてフルサイズかつ生歌だった。
ダンスもしながらだったので、メンバーによっては、苦しそうなところもところどころあったけれど、それも含めて非常にアイドルらしい良いLIVE。
ミドルテンポの曲が好きなので、もともと派生ユニットの中では好きなメロディのものが 多かったことを再認識し、*3何よりも、改めて全員が好きな声質だなあと。
それぞれ違いはありながらも、少し細めの柔らかく甘い声。
上手いに越したことはないけれど、アイドルの歌は何よりもまず、「声」だと思う。聴いていて心地よい甘さがあれば、もうそれだけで耳がしあわせになる。
衣装も、曲も、ダンスも、すべてがかわいい『ロマンス・プライバシー』なんて、その最たるもの。曲に寄り添うように爽やかに甘い声が心地よくて、ずっと聴いていられる、と思った。
全体的に、しっとりとした『Rainy Day』からの流れに象徴されるように、それぞれのソロも含めて、だいぶゆったりとした、それこそ「ミドルテンポの」LIVE。
アイドルのLIVEって、ずっとテンションあげっぱなしだろうからついていけるのかなあ……と不安になっていたのが嘘のように、居心地のいい温度感でほっとした。
ただ、実はあの日のLIVEでいちばん印象に残っているのは、そんなふんわりとしたセットリストの中、カッとそこだけライトが熱くなったような『向日葵』のパフォーマンス。
あのユニット愛あふれるセットリストだったからこそ、効いていた、というか。
改めて歌詞を聴くと、既に卒業して、一度この大観衆の声援を失った人が、それでもまた「きれいにさよならを言う」ために、一晩だけ戻ってきた気持ちが歌い上げられているようで。
アイドルとして最後に歌うソロは、この流れの中でもこの曲がよかったのね、と思うとなんだかグッとくるのがものがあったなあと。
自分の人生についても、不意打ちで考えてしまったり。
会場には意外と女性が多く、ユニット名の効果か、ライブグッズもかわいい。
子どもの頃、『セーラームーン』ごっこに使ったようなサイリウムも可愛かったけれど、もう少し実用性のあるものをとさすがに自制心が働き、冬の部屋着にしようとついついパーカーを買ってしまった。
女の子らしいけど、ごてっとしたかわいさではいユニットらしい、すっきりとしたデザイン。(なのにサイズが大きいものしかないのが、ちょっともったいない気がする)
他にも、さわやかに甘い、この日のLIVEを象徴したようなデザインのグッズが並んでいた。
それにしても、それ以外ほぼAKB本体の曲はなくて、ユニットの歴史をきっちりとふりかえる内容だったのは、改めてすごいなあと思う。
加えて、空中(それもそんなに高くない位置)に花道が浮いているというのは、スカートの中が気になるのでちょっとなんだなあとは思ったけれど、どの席でもアリーナ最前ブロック気分をLIVE中の何割かは味わえる特設ステージの組み方は、単純にすごい。
「綺麗ー!」と声をかけたら拝む仕草をするもっちぃ。ともかくレスが丁寧かつ、バラエティに富んでいる。
緊張しているらしく、いっそひたむきな姿勢で歌った自分のパートが終わると、途端にパッと花が咲いたように笑って、手を振るあきちゃ。
そして、目が合うとウインクをして、指さしながら「自分だけに歌ってるのでは!」と思わせるゆきりん。わたしはアイドルを演じているアイドルが好きなので、とても楽しかった。
……と、3者3様のレスがとても面白く、「アイドルのLIVEってたのしいわ…!」と思わず一般論化してしまう威力があった。
これ以上きちんと作るのは不可能だろうというくらい、丁寧に編まれたセットリストと「会いに行ける」ステージの設営で、なんというか、割とメモリアルLIVEのイデアみたいなものだった気がする。*4
グッズレジのレシートまでかわいくて、元気がないときはそりゃあアイドルでしょう、という気持ちになって、午後22時の横浜を後にした。
そして改めて思ったけれど、「あんまりまだ観たことないけれど興味はある」というものにはまらせるなら、席と言うのは非常に大事ですね……。わたしも、次に自分の趣味に誘う時には、特等席を用意しようと心に誓った夜だった。