We knew that you could do it!
師走。とても今年のことを今年のうちに綴り終わりそうにない。
なんなら、去年のことさえまだきちんと綴り切れてなくて、あ、あれ書こうと思ったままのことが、写真の日付を見返してみると、いっそ更にもうひとつ昔の一昨年だったりする。こわい。
12月最初の休日。気の早いとも言っていられくなってきた忘年会で、明け方帰ってきた恋人が鍵を開ける音で目が覚めた。
一瞬目覚めたとき、たしかに、夜中にしては寒くないなあとぼんやり思ったけれど、後から訊くともう朝と言う時刻だったらしい。そのままするりと二度寝をして、起きたら9時過ぎ。
アラームが鳴らない朝、代わりにチャイムが鳴った。
玄関で宅急便を受け取っている音を聴きながら、家中のカーテンを開ける。週末は晴れると聞いていたけれど、ほんとうにいい天気。開けても開けても愚鈍な冬空が広がっていた先週1週間が正式に終わったようで、清々しくなる。
時計を確認してまだ間に合う、と洗濯物を回す。何の時間に間に合うかと言うと、今日は映画に行くらしいのだ。
何を観に行くのかなあ…何か観たいって言ってたっけと思っていたら、なんとあの世界一有名なビーグル犬の映画だった。そういえば冬に公開って言っていたっけ。すっかり忘れていた。
ネタバレというようなタイプの作品ではないけれど、内容についてざっくり感想を綴ると、映画『I LOVE スヌーピー』*1は、はじめてスヌーピーと出会う子どもにとっては、とてもよくできたダイジェスト版であり、そして、ずっと読んできた大人にとっては、たぶんようやく観られた完結編のような93分間だと思う。
一通りお決まりのシーンをやっていくのか、と最初は早合点。
「懐かしい懐かしい、読んだ読んだ」と映画館のシートにゆったり背を預けていたら、ラストに向けて積み重ねられていく怒涛の「チャーリー・ブラウン、きみはようやく!」というシーンに、すっかりやられてしまった。
それから、わたしは原作でいちばん好きなのがサリーで、それは彼女が学校が大嫌いというところが心底共感できるからなのだけれど、その次に好きなのがルーシーだったなあ、ということをしみじみ思い出した。
口が悪く、ひどく現実的で、その癖おしゃまで、シュローダーに対してはただの乙女。
チャーリー・ブラウンをからかうことを生きがいにしているようなのに、たった5¢でしっかり相談に乗ってしまったりして。
少し冷めたところや調子がいいところも含めて、ルーシーのことは「わかる」気がしていた。
今回の映画では、他の子たちはダメなところといいところが両方キャッチとして入っているにもかかわらず、ひとりだけ「おせっかい/ちょっとうるさい」と特にフォローのない人物紹介をされているルーシー。
せっかく単独でポスターまで作ってもらっているのに! なぜだ!
と笑ってしまうけれど、そんなルーシーが好きという女の子は、きっとたくさんいたし、これからもずっと生まれ続けるのじゃないかなあ。この映画のルーシーは、素敵でした。
観終わってみたら、思っていたよりもCGのスヌーピーたちが可愛く、ついついクリアポケットを購入。
表はチャーリー・ブラウンとスヌーピー。裏はスヌーピーたちが勢揃い。動いていると、それも3Dで観ると、思ったより違和感なくスヌーピーだったなあ。
原作ではなんとなく興味が持てず、飛ばし飛ばし読んでしまう『レッドバロン』のエピソードが、3Dだととても魅力的なのもよかった。
でもやっぱり、時々出てくる原作絵に映像効果を施したシーンは「思ったより」なんて前置きがいらないほど可愛くて、年末実家に帰ったら、本棚で埃をかぶっている原作本を持って帰ろうと思う。
ちゃっかり公開初週限定のポストカードまでもらって。
特典をもらうのなんて、子どもの頃、『セーラームーン』や『ドラえもん』の映画を観に行ったとき以来である。なんだかこそばゆい気分。
映画館までの道は、行きも帰りも、冬だと言うのが嘘みたいに、明るくあたたかい。
その中でも更に光を求めて、影の少ない方へ道を渡って歩く。晴れるということに関して言えば、一年でいちばん冬が輝かしい。晴れて風が凪いでさえいれば、冬は無敵だと思う。
歩きながら、そういえば、最初のFOXのロゴが現れるところから粋でよかったなあ、と口元がゆるむ。
思い返すと、ふわりと数℃温度が上がるような映画で、ぎらぎらと直射日光に温められるというよりは、ふわふわの毛糸にぎゅっと包まれているような気分になる、晴れた冬の真昼がよく似合うあたたかさが、スクリーンからあふれていた。
それにしても、はじめて劇場で予告を見てからもう半年か……! あのときは12月なんて遥か先のことのようだったのになあ。