ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

左手首に幸運を

楽しいときにしか身に着けないからこそ、奮発して選びたいアクセサリーがある。

その代表がバングルで、同じ腕に着けるアクセサリーのブレスレットよりも、数段浮かれた響きのあるこの装身具は、基本的にお休みの、それも出かける用事のあるお休みにしか、到底出番がやってこない。

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楽しい記憶しか刻まないのだから、そろそろ、ずっと使えるちょっといいものを手に入れようかなと一念発起し、この夏は、既に2つバングルを新調した。

だって、1000円やいっそ500円で、かわいいポップなものが手に入るのもまた、バングルの特徴なのだ。カジュアルな方がかわいく、そしてお手頃なものでも、ブレスレットと違ってメッキがはがれたり、色がくすんだりしない。

ぱこんとはめるタイプの方が楽だし、学生時代はじゃらじゃらと細いものも合わせて重ねて着けていたけれど、働き出してめっきり使わなくなり、引っ越しの時にほとんど処分してしまった。

 

でも、夏で腕を出すようになると、華奢なものだけでなく、やっぱり存在感のあるものが欲しくなる。

かなりシンプルになった現在のファッションから浮かないこと、10年後でも恥ずかしげなく着けられそうなもの、というのをテーマに探し、kate spadeとTory Burchに落ち着いた。やっぱりまだ、アメリカブランドがしっくりくるみたいだ。*1

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落ちついたブラウンに、らしいビビッドピンクの紐できゅっと縛られた小さな袋に包まれ、こういうところでわくわくするのが、結局、ショッピング脳なんだよなあと思う。

包まれること、リボンをかけられること、それを解くこと。たくさんのものの中からひとつを選ぶこと、それを一度しまってもらうこと、そして帰ってまた、まじまじと初めて見るような気持ちで眺めること。

そういうひとつひとつの儀式が好きで、そんなに数を買うわけでも、高いものを買うわけでもないけれど、そのいちいちが楽しいということが、量とか質とか関係なく、ショッピングでしあわせになる脳をしている証拠な気がする。

というわけで、存分にしあわせになって開いた袋から出てきたのは、ホワイト×ゴールドのシンプルなバングル。

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ぐっと寄ると、留め具が、アイコンのスペード型になっていて、こういうよくよく見ないとそこのものだとわからないもの、に弱いのでどんぴしゃだった。

もともと、夏に白い小物を身に着けると、それだけで少し涼しい気持ちになり、これは長く使うなら絶対ホワイトだな、と思っていた。

店頭ではカラフルな色合いのものや、大きくロゴが入ったビビッドピンク、少し細めのパステルカラーにも目移りしかけたけれど、「今の格好に合う」「10年後にも使える」のは、やっぱりベーシックな色だと言い聞かせ、初志貫徹した。

夏のお休みは、ネイルが派手な色のことも多いので、それとけんかをしなさそうなのもいい。

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じゃらじゃらと、こちらはいくつになっても好物な、細身のゴールドと合わせてこの夏はたくさん楽しい休日を過ごすつもりである。

 

Tory Burchの方は、もう少しロゴがわかりやすいもの。

本当は買うつもりのなかった予定外の戦利品なのだけれど、母がバッグを買っている横で、ぶらぶらとお店を冷かしていたら、どうにもシンプルで使い勝手がよさそうで、気づいたら「これください」と言っていた。

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これはもしかすると、ブレスレットの範囲に入るのかな、とも思うレザーベルトがシックなデザイン。

たしかキャメルと白だか、ビビッドピンクがあり、どれもかわいかったけれど、子どもの頃から、夏といえば白とネイビーだと思っているわたしには、ほぼネイビーの一択だった。*2

 

もっとも、ネイビーのレザーバンドには、ちょっとした思い入れがあったというのも大きい。

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就職前、最後の息抜きとばかりに、束の間の自由を楽しみ、それが楽しければ楽しいほど、日々ブルーになりつつあったとき、まだ付き合いだして半年を過ぎたばかりの恋人と、横浜に遊びに行ったことがある。

港の近くはまだまだ風が強くて、恋人はたしか、地元の友人が夜、泊まりに来る予定になっていた。

7時までというリミット付きの横浜だったけれど、お昼に羽根つきぎょうざを食べ、はりねずみの形のおまんじゅうを買い食いし、ぱんだだらけのお店でストラップも選び*3、のんびりと楽しんだ。

ずっと食べていたし、食べていないと、寒くて幾分心許なかった気もする。

 

寒いしちょっと入ろうかと入った赤レンガ倉庫で、不意に、「時計を買おうか」と言われた。わたしは特に時計は欲していなかったので驚き、驚いているわたしに、「着けていると楽しくなる時計を買おうか」と恋人は重ねた。

ちいさな赤レンガの中の雑貨屋さんで、働き始めるのが少し楽しみになるプレゼントをもらった。それが、ネイビーのレザーで、だからあの時から、大人っぽいその色は少し前向きになれる素材になっている。

オンもオフも、いつでも少し前向きになれるといいな、今もそして10年後も、いつも少し前向きになれるといいな、と思って、今回もネイビーを選んだ。

 

もっとも、シンプルという括りさえ外せば、Tory Burchは、ほかにもぐるぐるとレザーを巻きつける形のものも大人っぽくてかわいくて、それも欲しかったけれどまずはがまん。

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またいつか、浮かれた気持ちで選んで、かわいい袋に入れてもらって、リボンをかけてもらって……。それを幸福なため息とともに紐解く方が、絶対にしあわせだとわかっているから。

それに、少なくとも、腕に関してはこの2つで当分、満足できそうである。

*1:ネックレスだけはいちばんしっくりくるのがシャネルで、これはひとえに、節目節目の誕生日に母から贈られるせいだと思う。ネックレスこそ、アメリカブランドの代表であるTiffanyともう少し仲良くしたい気がする。

*2:今気づいたけれど、これって完全にカルピスのせいである。

*3:当時まだガラケーだったのである。なんとも! 今、使えなくなったストラップが結構捨てられずにあってどうしようと思っている。