ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

モノトーンのウサギ、カラフルな世界

高校生の頃、カラフルな色が可愛くて買った手帳のウサギが、ウサギでも犬でもない生き物だったと知ったのは、随分後になってからな気がする。

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ある日突然、その2羽のウサギ*1は文房具屋さんに現れ、わたしはまるで流行病のように一時期夢中になり、手帳やメモ帳をすべてそれで揃え、そしてあっさりと忘れ去ってしまっていた。

手帳だけは、初めてスクラップというものをした手帳だったので、幾度の引っ越しを超えてたぶんまだ、段ボールのどこかに連れてきている。

 

その後、CMやコラボ商品で見かけるたびに、「あっ、あの時の」と都度都度思い出す程度の付き合い方をしてきたのだけれど、今回の山梨訪問のひとつの目的は、じつはその”リサとガスパールタウン”だった。

昔とても好きだったものが、まったく予期していないときにふっと現れるというのは、なんなんのだろう。最近、そういうことがとても多くて、そうか、もうすぐ27歳なんだもんなあ、と思う。

それだけ曲がりなりにもいろいろなものを好きになってきた、ということの証として、前向きにとらえるべきかなあ……。迷うところである。とにもかくにも、そういうとき、驚きよりも先に、純度の高い懐かしさを覚える。

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それで、今回も、『リサとガスパール』なる文字をHPで見つけたとき、ひょー、と思わず口から声が漏れ、そしてこれはぜひ行こう、と即決した。かわいさ0で絶叫100で! という当初の予定からは少し外れてしまうけれど、突然の懐かしさの襲来は、不可抗力だ。

もちろん当初の予定を最優先して、日中はもっぱら絶叫。いやーもう絶叫はおなかいっぱいです、と生まれて初めて遊園地で心から満足した夜の7時過ぎ、併設されているそのかわいいゾーンへてくてくと向かった。

歩いている内に少しずつ、夜が濃くなって行き、たどり着いたときにはあたりに満ちる空気が、なんとも言えないきれいな濃紺に。その中で、あたたかい色の光がとても映えていた。

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こちらも綺麗にライトアップされたFUJIYAMA*2を眺めつつ、絵本の中のような街へ。

お土産屋さんは2つあり、入ってすぐのところがクッキー専門店。入口では、初めて立体で観るリサとガスパールに興奮しながら店内へ。

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そうそう、この色使い! 原色まみれの中で、リサとガスパール自体は凛としたモノトーンで、そのギャップが激しい色使いなのに、なんだか大人っぽかったのである。

 

クッキーショップで売られているのは、FUJIYAMA COOKIE*3という、富士山の形を模したクッキー。本店以外で取扱いがあるのは、このお店だけなのかな? 少なくとも、リサとガスパールのパッケージに入ったver.はここだけで取り扱っているようだった。

散々迷った後、でもこれはちょっと、シンプルなver.が大人っぽくてかわいかったので、限定ver.を見送って通常ver.を購入して帰った。

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カフェもあるようで、時間があればぜひ立ち寄りたかったところ。パンのテイクアウトもできるようなので、明日の朝ごはんを買って帰る、なんて使い方もいいと思う。

いいと思う、と言いながらわたしはクッキーでだいぶ満足してしまい、今回はパスした。焼き立てパンのお店をスルーして帰るなんて、パンフリークだった大学生のときには考えられない行動だなあ、と思いながら、いろいろと好きになっては落ち着いてきた10年間だったんだなあとおかしくなる。

もちろん、あの頃好きになったもののいくつかは、今も同じ熱のまま愛していて、でも、圧倒的に、愛が穏やかになったものの方が多く、そしてそれは悪いことじゃない。

好きだったなあ、ちょっと寄って行こうかな、と思えるものがたくさんあると楽しいし、でも一方で、次でもいいやと思える余裕がある愛というのは、心軽やかなものである。

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そんなことを考えながら、でもわたしは、だいぶはしゃいでいたらしい。

それまではほとんど、わたしが絶叫にはしゃぐ恋人の写真を撮っていたのに、「楽しそうだね嬉しそうだね、写真を撮ってあげよう」と、一気にカメラマンの立場が逆転した。

そうは言っても、わたしも街並みの写真を撮るのに大忙しなのを見かねて、結局、勝手にぱしゃぱしゃと撮ってくれていた。

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くるくると色が変わるエッフェル塔を写真に収め、光の中を散歩しながら元来た道を戻る。その間も、隣の遊園地からは絶えず楽しげな悲鳴が聞こえてくるのだから、にこにこしてしまう。へんてこだなあ。

だいたい、はるばるこんなところまで、朝の3時半起きで一日回されたり落とされたりするために来るというのもへんてこだし、アトラクションのほとんどが容赦ない絶叫系だという遊園地も改めて考えればへんてこだし、その隣に突如として現れたなぞのフランスゾーンもまた、へんてこなのだった。

へんてこなものというのは、勢いがあればあるほど楽しいなあと思いながら、いちばん入口のところで、お昼に我慢したクレープを買う。

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チョコレートバナナとシナモンアップル。見た目以上に、ずっともりもりのホイップが隠れていて、何より生地がもちもちで美味しかった!

クレープを齧りながら、また絶叫のシャワーを浴びながら、あれも乗ったこれも乗った、と本日の充実具合を指さし確認しつつ、遊園地を反対側まで突っ切って、また長いローカル線の帰路に就いた。

帰りの電車では、満ち足りた気持ちでわたしはたっぷりと眠り、恋人はその間、レイトン教授をしていた(!)というのだから、恐れ入る。

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おなかが空いたねということで、初の一風堂*4に連れて行ってもらい、久々の博多ラーメンに舌鼓を打つところまでやって、ゆっくりと夜風に当たりながら家に帰ったら、まだ23時。

なんて長い一日だったんだろう! なんだかあまりの長さと濃さに、笑ってしまった。こんなに遊んだのは、学生の時以来かもしれない。ほんとうに、よく遊んだ一日だった。

大人も、ちゃんと楽しい。そう実感して泥のように眠った眠りがまた、とてもしあわせな完璧な一日だった。

*1:だと当時のわたしは信じて疑わなかった

*2:写真右上の光がそうである。しかし、FUJIYAMA以外のコースターが、ライトアップされている気配がなくて、とてもこわかった。

*3:FUJIYAMA COOKIE

*4:ラーメンはもちろん、ちび餃子がおいしかった!