ポロシャツ・ノスタルジック
服には、たくさん持っているものと、ほとんどちっともと言っていいほど持っていないものと、2パターンある。
たとえば、わたしの場合、前者はベージュのニットで、後者はポロシャツ。
そう、ポロシャツである。ポロシャツをたくさん持っている人の人生は、健康的な気がする。わたしはといえば、一切スポーツをしないので、ポロシャツというものとは、なかなか縁遠い人生を送ってきた。
とはいえ、子どもの頃はもちろん、春から夏にかけては、洋服ダンスの1段すべてが、妹とお揃いのポロシャツで埋まったりしていたものである。*1
何度洗濯しても、なかなかくたっとしないし、くたっとすればしたで、それが肌に心地よかったりするので、ゲームも家になく、遊びと言えば、毎日公園やマンションの下を駆け回っていた娘たちに着せる服として、おそらく非常に勝手がよかったのだろう。
ただ、私服でポロシャツ、というのは中学生に上がると一切なくなり、それは高校でも引き継がれ、そして大学でも特に体育会系の部活やサークルには寄り付かなかったわたしは、12歳を最後にポロシャツとはあまりお付き合いのない人生へと方向転換をした。
考えてみると、服に機能性というものを求めなくなったのと、ポロシャツと疎遠になった時期は、だいたい一致するような気がする。
そういわけで、まさか自分が1枚、ポロシャツを買う日が来るとは、思っていなかった。
手元にやってきたポロシャツは、正確にはゴルフウェアなのだけれど、もちろん、ゴルフを始めたわけではない。これからも、始める予定は特にない。始めたのは、妹である。
洗濯物をまとめて回したある日、いつもとは違うテイストの生地が入っているのに気づき、よくよく広げてみると、それはゴルフ用のポロシャツだった。普段着に着るのはちょっとはばかられるようなキッチュなピンクとパープル。
コンパクトな作りに、襟が立っていて、十数年ぶりに手に取ったポロシャツという洋服は、しみじみと可愛かった。
それから約1年なんだかいいなあ、と思い続けて、去年の秋口にセールになっていたのをいいことに、ふらっと1枚手に入れてしまった。BEAMSのGolfラインで、ノスタルジックなところが抗いきれなかったのである。
ポロシャツといえば小学生の頃を思い出すわたしには、この「こどものおようふく」感がとても懐かしかった。
ちなみに、秋に母が来たときに、この服を着たら、しばらくまじまじと上から下まで眺めた後、「なんだか子どもみたいな恰好して」と呆れたような懐かしがっているような声で言われた。うーん、そうですよね。
もし、もう1枚手に入れるとしたらやっぱり、スポーツはしないけれど、スポーティなものにしようと思っている。
*1:我が家の洋服は、たいていお揃いと決まっていた。年子でおさがりは難しいのと、妹がなんでもわたしのものを欲しがったせいだ。結果的に、それぞれ独自の服はなく、最初からお揃いのものだけそろえるというスタイルになった。