カウントダウンが始まれば
早めに上がれた月曜日。
突然きんと空気が冷えて、寒い寒い! 会社に置いていた置きマフラーをして帰った。ヨーロッパの寒空の下でごくごく明るいグレーに見えたマフラーは、日本に帰ってみると、わたしのいちばん好きな淡いブルーだった。
というところまで打って力尽き、もう水曜日である。
このマフラーは、ユーロを使い切るためだけに、最終日ふらりと立ち寄ったお店で買った、1枚5ユーロのお手頃価格のもの。
もはや日本円にわざわざ戻すほどの額は残っていなくて、何かにぱーっと使ってしまいたくて、でももっと買って帰りたかった化粧品&バスグッズ関係は、重いボトルにトランクが悲鳴を上げ始めていたのでやめた。
そこで、昔、ハワイで買ったストール(これも確か安かった)が、結局いちばんずっと使っているハワイ土産なことを思い出し、ストールを買うことに。巻物であれば、というくらいだったので、最初に入ったお店で売っていたマフラーを購入した。
もういらないでしょう、と思っていたのに絶妙な色合い(くすんだパステル)で捨てきれなかったチェックと、そのときはごくごくトーンの高いグレーだと思っていたブルー。
どちらも、ふわりと肌触りがよく、毛羽立つ気配もないので、当初のもくろみ通り長く残りお土産になりそうである。
しかし、マフラーを巻く季節がこんなに早くくるとは!
ついつい「もう冬かー」と言いそうになるけれど、実際にカレンダーは12月なのだから、冬も冬である。でも、年末年始は、カレンダー通りにまとまったお休みがとれる(予定だ)し、そもそもわたしは12月が好きだ。
誰もがなんとなく「もう今年は店じまいだからしょうがないな」と思っている節があるし、せかせかというよりはふわふわしていて、現実感が薄れるのが心地よい。
12月の忙しさには、他の月の忙しさとは違って、納めなければいけない仕事は多々あるけれど、まあ納める納めないじゃなくてどうしたって年が変わるんだから納まるものだしね、という吹っ切れた感じがある。
なんだか海外旅行に出かける前日の夜、あるいは海外旅行から帰る前の最終日に似ているなあ、と思う。体はまだ「そこ」にいるけれど、心がもう「先」に行っている感じが。
カウントダウンが始まると嬉しくなってしまうタイプの人間には、この時期は、せわしいけれど、どこか浮かれた季節になる。