3時間かけて、シャンプーを
今日は寒くておどろいた。厚手のスウェットにタイツもしっかり履いていたのに、風が冷たく感じて、ずっと会社に置いていた(今年の春から!)コートを羽織って帰宅。金曜日の夜は、映画を観てスタート。悪くない。
そんなあっという間に過ぎていく秋を追いかけて生きている。もう10月も20日なのか……そりゃ寒くもなるよなぁ。
ある日。暦上ではとっくに秋なのに、まだ少し早足で歩けば汗ばむ気候だった頃。久しぶりに昔住んでいた街のヘアサロンに行った。
軽くなって、信じられないほどつやつやになった髪で、気になっていたカフェへ。
雑然とした駅の近くのビルに入っているお店で、以前来たときには満席で入れなかったので心残りだったところ。
雨だったせいか、土曜日の3時というかなり混み合う時間帯に、するっと入れて遅くまでやっているランチを食べられた。
だいたいこういうランチのときに、わたしはパスタというものが特段好きではないので、オムライスやカレーを頼みがちなのだけれど、メニューにがっつりお肉があったので喜々としてそちらを。
もちろんお肉は間違いなくしあわせで、ミディアム・レアに焼かれたお肉の下に敷かれているマッシュポテトがまた、とんでもなくしあわせな口触りだった。
ぼてっとしたフライドポテトよりも、マッシュポテトの方がだんぜん好きかも、と気づいた瞬間。もちろん、カリカリした細身のフライドポテトは大正義なわけだけれども。
温められたスキレットの中で、マッシュポテトは最後まであつあつで。
壁に向き合って食べられる一人がけのソファー席で、のんびり次の予定まで時間をつぶしながら、隣の席で喋っている人たちの話を聞くともなしに聞いたりしていた。のんびりした雨降りの午後。
テラス席にはあまり興味がないので、カフェはだんぜん雨の日だなぁ、と思う。雨の日に外ではしのしの降っているかしらと思いながら、暖かくて少し雑然としている店内で、温かい飲むものをちびちび飲むのがしあわせ。
ごちゃっとしたインテリアもすべてかわいくて。入り口のところだけ、写真を撮った。
ちなみに、この日髪を切ったのは、その街に住んでいた当時ずっと通っていたところではなく、ぜんぜん別の新しいところ。
それが、引っ越してから何年もヘアサロンジプシーをしていたのが嘘のように、仕上がりのときに鏡を見た瞬間に「次もここに来よう」と思った。
前にこの街で通っていたところもそれはまぁ、とても素敵だったのだけれど、いかんせん高すぎるのがネックで。他にお金を使うこともない大学生時代には娯楽として払えたけど、今は他にも散財しがちなのでちょっと躊躇するお値段。
それにしても、カラーもカットもトリートメントもしてもらって、そのどれもが素晴らしくて、ほんとうに満足だったのだけれど、でも思った。
結局わたし、誰かにシャンプーをしてもらうために、この金額を払ってるんだよなあ、と。頭の凝りもほぐしてくれるような熱いお湯とリズミカルな手付きとに、ふわふわと凝った肩までほぐれていくのが本当に気持ちよくて。
わたしはあんまりヘアサロンというところが得意ではないのだけれど、たぶん、はじめて近所の美容院ではなく、少し遠出をして街中のヘアサロンに行った15歳のときから、3時間かけて、ただシャンプーされる瞬間のためだけに鏡の前に座り続けている。