ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

新宿でお花見を

今年の春は、焦ってない。

いつもこの時期は、上手く気温や天候が週末に合うかどうか、気をもんでいるものだけれど、今年はもうずいぶんと前に、きちんとお花見を終えたからだ。

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今年の桜は、東京に来て久しぶりに、はじめて行く場所で見た。

名前だけを知って早二十年の新宿御苑新宿三丁目の駅で降りて、地上に上がったら、よく行く世界堂やバルト9から、いつもは向かない方向を向いただけで公演の入り口が見えて、びっくりした。

こんなところにあったなんて。

入場料金を払って公園に入るというのが、なんだかふしぎで、いざ入ってみても、やっぱりふしぎだった。この中にいる人全員が、お金を払って自然の中にいるのだ、と思うと。

もちろん大人でたった200円の値段設定だし、ぜんぜんだからどうということもないのだけれど、地元では、自然はどこまでもただで広がっているものだったので、ふしぎなのかもしれない。

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でも、そのせいかアルコールの持ち込みがNGなせいか、大きな公園は今まで東京で訪れたどの公園よりも、人が多いのにしんと静かで落ち着いた空気が流れている。

おしゃべりする人はいても、声のトーンも小さいし、なにより新宿なのが信じられないくらいぽかんと広い空間なので、ふつうにしゃべると声が空に吸い込まれていく感じ。

東京の空なのに、天を仰ぐと、ビルが視界に入ってこないポイントが延々と続く。

まだ少し開花には早い時期だったせいか、いくつもあるベンチも、座ろうとすればいつでも吸われたし、とっても快適だった。その分、少し桜はさみしかったけれど。きっと今週の半ばくらいには、一面ピンク色になったんだろうなぁ……。

ビルはビルでも、ちょっと見えるとうれしくなるビルもあって、それは都庁。昔の人が考えた未来感あふれるデザインで、こうして昼間に緑や花の合間から見ると面白い。

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新宿口から入って、のんびりと散歩をした。

まだ早いとはいえ、ちらほら桜も咲いていて、みんなきちんとカメラをかまえていてびっくり。結局、この後なんだかうらやましくなって、ネットでミラーレスを買ってしまった。それについては、また別の記事で。

薄着で来たら少し寒くて、ストールとコートを交換してもらいながら、ぐるっと歩く。

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かわいらしい咲き方で、ひとだかりができていた淡いピンクゾーン。

母方の祖母は、花を育てるのが好きな人で、わたしが子どもの頃に住んでいた一軒家では、いつも季節の花を上手に育てていた。そうして育てている花の名前をいつも教えてくれていたし、花の図鑑もたくさん貸してくれた。

なのに、ちっとも覚えられず大人になったわたしには、いまいちどれが何だかわからなくて、こういうときちょっともったいなと思う。

地元に帰れば、ありがたいことに祖母も祖父も存命なので、教えてもらいながらいっしょにお花見ができるのだけど、なかなか桜が咲いている時期にピンポイントには帰省できないしなぁ。

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思っていたよりずっと早かった閉園時間に、あわてて歩みを早め、恋人のお目当てだったしだれ桜を見て家路につく。

この桜は完全に、その日が満開で、まったく下調べをしていかなかったのに、不意打ちでごほうびをもらったような気分になる、桜色のカーテンが見られた。

閉園の5分前くらいから、新宿の空に懐かしくもさみしいトーンで響き渡る『蛍の光』を聴きながら、大きな芝生を横切るとき、ふと空をみあげてみると、完全に完璧に視界がパノラマで青空だけでおどろく。

今度は、もっと早く来て、日焼けどめをぬってレジャーシートを持ってきて、ここで大の字になって青空を眺めながら本でも読もう、という口約束をして公園を後にした。

桜の季節には、なんだか「今度」や「いつか」の約束をしたくなる。

家に帰って、公園で食べる暇がなかったおにぎりを、晩ごはんがわりにかじった。

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明太マヨに鮭に、ものすごく久しぶりに食べる梅昆布。

来年の桜も、新宿のど真ん中に見に行くのかなぁ、でも今年行けなかった国立に行くのもいい、国立に行ったらあのベーカリーでパンを買って帰ろう…と皮算用をしながら、今年のお花見を完了した。