空は飛ばない
ばたばたしていたここ何回かの休日。ある日は、夜の便で旅立つ恋人を送りに、羽田空港へ。
いつも賑わっている空港は、まだ19:30なのにどんどんお店が閉まり、人がまばらでびっくりするほど静か。
ものすごく空いている自動チェックイン機でチェックインし、折り返している列整理のテープが滑稽なほど誰も並んでいない手荷物預けカウンターで、大きなトランクを預け、お茶でも飲もうと思ったのにもうほとんどお店は閉まってしまっていた。
というわけで、かろうじて20:00までオーダーをとっていたスターバックスへ。
「ともかくとてつもなく甘いものが飲みたい」という舌の欲求に応えるべく、アールグレイティークリームフラペチーノを。ティーベースのフラペチーノは、コーヒーベースのときよりも味が優しくて好き。
平日でもないのに、空港はびっくりするくらい静かだった。このスターバックスがこんなに空いているのもはじめて見たなぁ。
前回、羽田に着たのが元旦の早朝で、そのときには大賑わいだったのでギャップがすごい。スターバックスが入っている階のテナントは、どこもシャッターが降りていて、なんだか営業が終わった後のデパートでこっそりお茶をしているみたいだ。
ともかく甘いものを食べたい欲に忠実に、フラペチーノのお供は、こちらはまだSAKURAシリーズの名残が残っていたドーナツを。
実はあんまり桜の味が得意じゃないので(でも春には食べたくなってしまう)これくらいのあっさりした桜感がうれしい。夜に食べるドーナツは悪い味がするなぁ。
お茶を済ませて、相変わらず眠っているみたいなテナントの間を練り歩いて、搭乗階へ向かう。
改めてまわりを見渡してみても、わたしたちの他にはお客さんは数えるほどしかいない。空いている大きなベンチでトランプをしているグループがいたり、なんだかふしぎなアットホーム感。
土曜日の夜、空港はぽかんと静かになることを知ったお見送りだった。
空弁やお土産がいくつか置いてある便利なコンビニ・トラベルアイルで夜食用の天むすを買って乗った帰りの電車も、車両ごとに貸し切りのように空いていた。電車にゆられながら、おにぎりが食べられそうなくらい。
飛行機に乗るために空港に行くのも楽しいけれど、こういう訪れ方もわたしは好きだ。少しだけ旅情を味わって、お土産を買って、安心であたたかい家へ帰る。
家に帰って、熱いお茶と一緒に天むすを食べ、たっぷりと夜更かしをし、明け方、一旅行したような満足感と共にぐっすり眠った。