勝手にふるえてろ
今年は映画を観る年にしよう、と思ったのに1月観たのはたった1本。うかうかしていたら、2月がやってきた。
スタートダッシュだけは早く、三が日が明けてそうそう観に行ったのに、その後がまったく続かなかった。うーん、継続は力なり。でも継続するには、そもそも力がいる。
というわけで、今年最初の映画はものすごく観るのがたいへんだった『勝手にふるえてろ』*1。
何がたいへんって、やっている映画館が少ない上に、ともかく混んでいて。今は公開からだいぶ経ったのでどうかわからないけれど、公開当初はぜんぜん席が取れなかった。
当日ふらりと映画館に行ったのではぜんぜん見れなさそうで、久しぶりにきちんと事前にネットで予約をしていった。それですら、当日の予約だともう後ろの方の席でびっくり。
気になる人が出てたわけでもなく、事前にいい評判を聞いていたわけでもなく。
原作小説がずっと気になっていたけれどやまないまま来てしまったので、なんとなく気になって調べ、あまりに席が取れないので本格的に観たくなってしまったという、なかなか新年1作目の動機としては鑑賞動機が弱かったのだけれど、これがもう!
これがもう、2018年の個人的ベストムービーTOP5にずっと残り続けそうないい映画だった。
ヨシカが大好きなアンモナイトの展示がされているシュールさもすてき。
世界観がともかく徹底していて、好きな人はパネルからエンドロールまで全部どこがいいとかじゃなく、まるごと好きなタイプの映画だと思う。
わたしはどちらかというとミーハーなので、演者で作品を観るタイプなのに、ひとりも特にご贔屓さんがいない映画を、こんなに楽しく観たのは久しぶりだった。あんまり役者さん自体のキャラを知らないこそよかったのかなぁ。
全員びっくりするくらい、それぞれの役にぴったりで、ほんとうにこういう人いそうと思える。題材が日常と地続きなので、熱演をするのが難しいタイプの作品なのに、そこがほんとうにすごい。
映画を観る前はイチの写真だけ撮っていたのに、映画が終わったときには二の写真を撮って帰った。
いろいろ好きなシーンはあったけれど、最初の方で、ヨシカと来留美が冒頭する女子高生みたいなテンション(でも確実にOL)の会話のリアリティとテンポ感がとても好き。これはいい映画だな、とそこで安心したくらい。
でも、観てみて、公開館数が少ない理由もよくわかった。
わたしはとっても好きだし、ぜったいに人に勧めるタイプの映画だけれど、大きなスクリーンでたくさんの人と見たい娯楽映画ではけっしてないものなぁ。
ただ、確実にエンターテイメントではある。それも上質の。それがふしぎなバランスで、とても心地よかった。
そして、これまでは失礼ながら、どちらかというとあまり興味がない女優さんだったのだけれど、もう完全に松岡茉優さんの虜です。すごかった。かわいかった。圧倒的にヨシカだった。
結局、映画を観てから原作を読んだのだけれど、松岡茉優版ヨシカとして、かわいいなぁかわいいなぁと思いながらするする読んだくらい。あのちょっとウザい主人公をあれだけ魅力的に見せるってすごい。
横顔のラインがとってもきれいで、衣装もちょっとふしぎなんだけど(なんとなく『LIAR GAME』の直ちゃんの衣装を思い出した)似合ってかわいくて。
映画を観ている間、ほんとならヨシカの目線で観るべき映画なのかもしれないけれど、ただただヨシカを愛でる117分だった。ダメだけど、松岡茉優さんのヨシカは、ダメだからこそかわいい。愛せる。
2018年2本目の映画は、これと比べないわかりやすい娯楽映画がいいなぁ。せっかくの2本目でがっかりしたくない。