ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

So much better

春めいて、ある日には、コーヒーまでピンク色。

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LION COFFEEのフレーバーはものすごくくっきりしていて、フレーバーものを飲みたい欲が完全に満たされる。こんなにかわいらしく苺でデコレーションされちゃって、なんだかちょっとライオンが居心地悪そうだけれど。

今日は久しぶりに豆から挽いたコーヒーを淹れた。これで、豆のストックはおしまい。

いろんなところへ遊びに行くたびに買っていたので、しばらく新しいものを買うのを我慢していたのだけれど、ようやくストックを使い切った。ゴールデンウィークに尋ねる場所では、何の気兼ねもなくまたお土産を買える。

 

そして過日。

春はピンクでしょう、ということで『キューティ・ブロンド』のミュージカルを観に行ってきた。


『キューティ・ブロンド』ゲネプロ・ダイジェスト 2017/3/21 シアタークリエ

ポスターの写真すら撮っていないバタバタな観劇だったのだけれど、数時間、現実を忘れてハッピーオーラに染められ、劇場を出た後は現実と向き合う勇気が出てくる、ものすごくポジティブなミュージカルだった。

大学生のころ、YouTubeで見た"So Much Better"のシーンがすごく好きで、何かの試験や面接に受かった帰り道にはiPodに落としたその曲を聴きながら帰った。

メロディーも好きなのだけれど、歌詞もすごく好き。

Is that my name up on that list?

Does someone know that I exist?

~中略~

Ow! Yes, that's my name in black and white

Maybe I'm doing something right

 

特に上記のサビの部分は、何かに選ばれたときに繰り返し繰り返し脳内で再生される。わたしにとって、とてもとても特別な音楽。

それ以外にも好きな曲が多くて、なによりも元々映画が大好きで、いつか日本でもやらないかなあ、と思っていたミュージカル。もっと早く観たかったという気持ちは、キャストを聞いた瞬間に吹き飛んだ。

だって、神田沙也加ちゃんのエル・ウッズである。

これはもう! 見る前からものすごいヒット配役である予感しかしない!!

もともとソロでデビューされていたときから声がすごく好きで、未だにデビュー曲はカラオケでよく歌うくらいなのだけれど、新感線の『薔薇とサムライ』でポニーというだいぶこじらせたプリンセスをやっていた姿に改めて衝撃を受け。

その後『アナ雪』の大ヒットがあり、神田沙也加という役者の名前自体がポピュラーなものになり……。

満を持しての『キューティ・ブロンド』だなあ、と思った。

 

さて、実際に観劇した感想はというと。

ともかく大好きな映画が、完璧なミュージカルとして存在した数時間だった。いろいろマイナーチェンジはあるけれど、それも含めて、これだけの年月が経った今改めて、好きな作品を好きな役者さん主演で舞台で観られるのって僥倖でしかないな、と。

「365日、声のことだけを考えて暮らしている」と以前インタビューで答えていたけれど、ほんとうにあの声は至高ですね! ずっと聞いていられる。

あまやかなアイドルっぽい声が好きなのはもちろん、クリアさ(台詞と歌詞の聞き取りやすさ)を兼ね備えているので、ほんとうに耳に心地よい。

件の"So Much Better"も、少し歌詞が違ったのだけれど、あのときと同じ熱量と昂揚感、そして多幸感で胸にまっすぐ届き、自分でもびっくりするくらいの涙があふれた。

衣装もどれもとってもかわいかった!

 

そして他のキャスト陣もすばらしく。

お姉さま陣は、ほんとうに楽しく達者。どちらも少し原作とキャラが変わっていたのだけれど、この改変はどちらも好きだった。

男性陣はともかくいい声のエメットに、すべての挙動が3割過剰な王子感満載のワーナーにと二者二様で素敵だし。

そして個人的にエル以外で映画派としてびっくりするくらい「ぴったり!」と思ったのは、はじめて実物を拝見したヴィヴィアン役の新田恵海さん。まずビジュアルを限りなく寄せてらっしゃる……!

公式サイトの写真だとそうでもないんだけど、舞台上だとほんとうに映画のままのヴィヴィアンだった。

実ははじめてのミュージカルだった、というのがぜんぜん客席にはわからない安定感。

このミュージカルだと、ヴィヴィアンは原作よりも多くを負わされているのだけれど、最後啖呵を切るところも含めて、ほんとうにいいヴィヴィアンだった。

 

自分にとってすごく大切な原作がしあわせな形でリメイクされたり、メディアミックスされるというのはものすごく稀なことだとわかっているからこそ、惜しみない拍手を送りたくなるいいミュージカル。

東京千秋楽のカーテンコール、「まだまだ全国を飛び回るから」と言いながらもひとつ大きな山を乗り切った顔がとても清々しい。


ミュージカル『キューティ・ブロンド』4/3東京公演千穐楽カーテンコール

順風満帆だったはずの人生。なのに、踏み出してみた先で思いもかけず決定的に自信を失って。でも、そこでめげずに立ち上がり、自分なりのやり方でもっと明るい未来を勝ち取っていく。それも何かを我慢したりせずに。

もちろん舞台の上で役としている生きる姿に涙したり、励まされたりしたのだけれど、でも「神田沙也加」という役者が演るエル・ウッズには、なんというか説得力があったと言っても怒られないと思う。

どこまでもハッピーなカーテンコールに、このピンク色の幸福は、彼女がエルと同じように「勝ち取った」ものなんだな、と。

拍手をたくさんたくさんして、行きよりも少し顎を挙げて、帰り道を急いだ。

わたしも"Maybe I'm doing something right"と思えるくらいこの場所で、がんばらなくちゃ。10代の頃から、いつも背中を押してくれる風はピンク色をしている。