ノスタルジックな目元
暑い時期にはどんどんメイクが簡潔になっていくずぼらな人間なので、こうして少しずつ寒くなってくると、逆にだんだんメイクが濃くなっていく。
そもそも使う色自体が、秋冬の方がはっきりしたものが多いというのも、ひとつの要因だろうけど、今年はそれに加えて、久々にラインをしっかり引くメイクに戻ってきたということが大きい。
メイクが仕上がった後、鏡の中で目が合う自分の顔がずいぶんくっきりしていて、縁取ることの威力を再確認する秋。
ねぼけていると正直、失敗すればごまかしの効かないこのひと手間は、すぐに省きたくなる気持ちがふくらむのだけれど、引いた後のくっきりとした威力を思うと省くのも心許なくなる。
今使っているのはタイプも色も形状も違うもの、ふたつ。
ひとつは、いろんなアイライナーに浮気をして戻ってきたdejavu。高校生のとき、メイクをしていた友人はみんな、このライナーとパルガントンのルースパウダーを持っていたなあ、と思い出す。
このライナーは、体育祭のときに腕や頬にメッセージを書くのにもつかわれていたわけで、そう考えればこのにじまなさと落ちなさは、昔からよく知っていたのだった。
原点回帰で購入したのは、グロッシーブラック。
もう一年くらいこんなくっきりした黒は引いていなかったので、ちょっとそわそわするキレの良さ。
アイシャドウは艶だけ出す淡いベージュでおしまい、でも十分強い目元になる。
これにマスカラをきちんと塗ると、他のメイクはもういらないんじゃ! という気分になるくらい、顔がしっかりくっきりよそいきになる。
わたしはアイドルやモデルさんが出すフォトブック的なものが大好きで、色々と本棚にはかわいい女の子たちが表紙を飾った本が並んでいるのだけれど、見返してみたら、大学生の頃に集めたそれらのカバーガールは、みんな下までくっきりこういうラインで囲っていた。
あの頃の洋服の流行は、今よりずっと清楚でお嬢さんっぽいのに、メイクはぜんぜん隙がなくて、そのギャップが面白い。
ところで、店頭で試したとき、あまりの発色の良さに「ブラウンにしようかな……」と日和る気持ちを制したのは、こちらは夏の終わりから使っているもうひとつのアイライナーがあったから。
正確には、たぶんライナーじゃない。
いつだかの"My Little Box"に入っていたブラウンのアイクレヨン。触るとすぐに欠けてしまうくらいやわらかな芯で、少し太めのラインでよければ、一切ストレスなくするすると引ける。
紙に引こうとすると先がつぶれてしまうくらい、やわらかな芯。
でも、なぜか肌には先がきちんと尖ったまま引けるので、ラメがきれいに入っているのもかわいく、夏の終わりからずっと重宝している。
ラインとして引いてから、そのまま指でアイシャドウの湿っぽくぼかしてもいいし、そもそもぐっと二重幅に引いてしまってもいいし。
dejavuとは逆に、こちらは引いた後に微調整が効くところがよくて、よく使っている。
そして、このクレヨンをつかいはじめてから、妙にしたくなるメイクがあって、それはなつかしの「たれ目メイク」。
いちばんメイクに興味を覚える年代の中高生のときに、わたしのオシャレアイコンはブリトニー・スピアーズだったので、あのがっつり上下をブラウンのラインやシャドウで囲むメイクは、永遠のあこがれ。
でも、高校生までは色つきリップ以外は何もメイクをしなくて、大学生になったら分別がつき、あの囲みメイクは似合わないとわかったので、ためさずにここまで来た。
- アーティスト: ブリトニー・スピアーズ,ジャスティン・ティンバーレイク,M.マーティン,B.スピアーズ,J.エロフソン,BT,C.ヒューゴ,J.フッカー,ラミ,J.シュワルツ,D.ヒル
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2007/06/20
- メディア: CD
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でも、このやわらかなブラウンならちょっといいかな、と思って最近、休みの日には少しだけ下まつげの際にもクレヨンを滑らせている。
なんだかノスタルジックな秋のメイク道。
ファッションも、久々にボウタイブラウスなんかが流行っているし、ちょっと今年の秋はふしぎな気分だ。流行がめぐるだけの時間を生きた来たんだなあ……。
なんだかこそばゆくて、とてもたのしい。