ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

平日の朝、8:03の悲劇

平日の朝、壊れて欲しくないものは、iPhoneだと思っていた。

アラームも、起きてから時刻を知るのも、電車の中での暇つぶしも、遅刻をするときの連絡も。全部、わたしはこのちいさなスマートフォンに頼っている。

実際、前使っていたiPhoneが壊れたときには、かなり焦ったし、早々と仕事を切り上げて、修理に行ったりした。

でも最近、これならまだiPhoneが壊れてくれた方がマシ! と叫んでしまった朝がある。

1月のある水曜日、ドライヤーが壊れた。

https://www.instagram.com/p/BAoeckCr5ak/

のんびり珍しく、朝ごはんなどとった、穏やかな朝の悲劇。


前の晩にお風呂に入っておくのが幸せだと知りながら、なぜかどうしても、億劫な夜がある。

わたしはもっぱらシャワー派なので、入ろうと思えば、ほんとうは、一瞬なのだ。

にもかかわらず、バスルームに行き、コンタクトを外し、バスタオルを用意し、服を脱ぎ、脱いだ服を洗濯機に入れ……。

という一連の行為が、気が遠くなるくらい億劫な夜というのが、たびたび訪れる。

できればわたしがマトリョーシカみたいになっていて、今日の自分を脱ぎ捨てて、新しい体で明日を過ごさればいいのに、などと思う。

いつかの『笑っていいとも』で、「妻が旦那にやめてほしいお風呂の癖」だがなんだかが、ランキング形式で発表されていたことがあった。

その一位が、「お風呂に入りたがらない」だったと思う。

当然、誰も正解できなかったわけなのだけれど、変化球のように思えたその解答は、自分の身に照らし合わせてみれば、たしかに筆頭回答なのだった。

わたしに関して言えば、お風呂が億劫な理由は、「髪を乾かすのがめんどくさい」に尽きる。

というわけで、その前の夜、火曜日の深夜もそんなありふれた夜で、なんとか体だけ洗って、倒れるように眠ってしまった。

そして、朝、仕方なくシャワーを浴び直し、さあしょうがないから髪を乾かしますか! となったところで、上記の悲劇が起きたわけである。

カチッと心許ない音がして、いつもの威勢の良いモーター音ではなく、ぷしゅうと気の抜けた空気音がした。

そうして、温かい風の代わりに、ぷすぷすと煙が出てくる。

まだ水が滴る腰近くまである髪をひとまずタオルにくるみ直して、わたしは何度かスイッチを入れ直し、絶望した。

何も! 何も水曜日に壊れなくてもいいじゃないの!

月曜日なら、1週間をドライヤーなしで過ごすわけにはいかないので、速やかに買いに走るし、火曜日もまだ平日の方が長いので、諦めて買いに行くだろう。

木曜日であれば、もう2日くらい……と週末まで待つ判断ができるし、金曜日ならもう1日くらい、ほんとうになんでもない。

でも、週の真ん中の水曜日だけは、いけない。

買わずに我慢するのも、ぎりぎりできそうだし、そうは言っても、やっぱり3日連続で自然乾燥はキツすぎるという気もする。


結局、雪が降る降らないと言っている日々に、残りの平日を生乾きの髪で過ごす自信はなくて、水曜日の夕方、慌てて新しいものを買いに行った。

https://www.instagram.com/p/BA4PvG9r5Qf/

先代もパナソニックだったので、新しいものも、同じパナソニックに。

一瞬、20,000円(!)のナノケアにしようかなあと血迷ったのだけれど、年末年始の散財につき、お財布の中が心許なかったので、まずは実用に足るものを、と。

なんとセールで1,500円以下という破格のお値段。

あまり見ないアポロチョコ配色も、これはこれで珍しいかな、と気に入っている。

前のものは考えてみると、大学で上京したときに買ったもので、ほぼまるまる10年間、働いてくれたのだった。

それにしても、10年間。

3,650日(ときどきサボったけど)ずっと、このちいさな機械に頼っていたのだと思うと、ふしぎな気持ちになる。

壊れる日が来るなんて、当たり前なのだけれど、考えたこともなかった。

そうして考えてみると、冷蔵庫やらレンジやらも、すべからく10年選手ということで、若干くらくらしてくる。

あれが全部壊れちゃうと悲しいなあ、と思う反面、新しいドライヤーになってから、夜、髪を洗うことに対するハードルがぐっと下がっているのは確か。

合わせてシャンプーを変えたりして、久々にサラサラの髪で生きている。

「meguri」を使って、今、調子がいいので、なんだかいろいろ新しいものを試してみたい欲も高まっている。

https://www.instagram.com/p/-F5AUvL5af/


さようなら、古い生活! こんにちは、新しい生活! という身軽さを持って生きていたい。

そう思ってはいるのだけれも、さよならはいつも、不意打ちでやってきて、必ず、少しだけ戸惑ってしまう。

10年間お疲れさまでした、これからよろしくね。

と言いつつ、節目の誕生日には、ナノケアを買ってしまいそうな気がしている。