リセット
本格的に仕事が始まった先週は、さっそく毎日遅くて、金曜日の夜も日付的にはもはや土曜日未明に。
帰ってきて、ダメだダメだと思いながらそのまま眠ってしまい、今年はじめて、メイクをしたまま翌朝を迎えてしまった。今年はがんばってたのになあ……。
でも、それならそれで、ということで届いたばかりのクレンジングバームで、宵越しのメイクを落としてみることにした。
trilogyのお試しサイズ。ころんと丸く、コンパクトなサイズで、最初に見たときはリップバームかと思った。
クレンジングは、ここ最近ずっとオイルで、洗面所とお風呂の中にひとつずつ置いている。
マスカラはしっかり落ちないウォータープルーフだし、ファンデーションはジェルでぴたっと肌に吸い付くタイプだしで、ついついなんとなく、たっぷりのオイルで浮かせたくなる。
たぶん、最初に使ったのがオイルだったというのも大きい。
地元の夏祭りでしっかりお化粧してもらい、メイクとは落とすものなのだということを知ったとき、家にあったの母のクレンジングはオイルだった。
大学生のとき、ようやく日常的にメイクをするようになって、最初に買ったのもそうだった。
だからもちろん、バームタイプのものは、試すのもこれがはじめて。
きゅっきゅっと回して蓋を開けると、ますます本物のリップバームみたいに思える。
見た目だけだと、ずいぶんと固そうなのだけれど、指を滑らせれば驚くほどやわらかに溶けていき、ちょっと不安になるくらい。強く指先で押したら、そのまま埋まってしまいそう。
薬指だけに取ろうとしていたのを、あっさり方向転換。
親指以外の8本の指でざっくりと掬い取り、そのそばから溶けていくバームを慌てて顔の上に伸ばせば、凝り固まった気持ちもゆるゆるとほどけていく。
こちらのブランドの看板商品、ローズヒップオイルがたっぷりと配合されているとのことで、それもなんだかうれしい。
いい匂いだなあと思ったら、フリージアの香りだった。さわやかに甘い、ひそやなか香り。
しっかり馴染ませると、ウォータープルーフのマスカラもしっかり落ちて、メイクを落としただけなのに、既に保湿も完了したみたいな肌触り。
ふき取りでお手軽に! と言っても、三つ子の魂百までで、結局、最後はぬるま湯で落とさないと気が済まない。
肌にいいとか悪いとか、所説あるけれど、その後にふわりとミント(!)の香りのする石鹸で更に顔を洗い、疲れ切った夜中に、肌からしゃきっとするのも好き。もうちょっとまったりしたい日は、繭石鹸で。
だから、手順的には別に、これまでより何ステップかなくなって楽になる、というわけではないのが正直なところ。
にもかかわらず、「なんだかいいなあ」と思ったのは、たぶん容器とテクスチャーのせいだ。
最初にリップバームだと間違えたように、リビングや寝室にも置ける形状な分、「メイクを落とす」ということのハードルが、ぐんと下がる気がする。
お風呂に入る元気もない夜に、せめてメイクくらいは落とそう、バスルームまで来てしまえば入る踏ん切りも付くだろうと、それが、洗面所にもクレンジングオイルのボトルを置くようになったきっかけだった。
実際、お風呂の中にしか置いていなかったときより格段に、服を脱いで清潔な体に戻ってベッドに飛び込む率が上がっている。
メイクを落とすと、外でつけていたシート状の仮面がぺろりと剥がれて、自分の時間を楽しむのびやかな気持ちを思い出すからかもしれない。
30分眠るのが遅くなって明日の朝、ちょっと辛いことよりも、きちんと気持ちのいい状態になって一日を終えたいじゃない、というまっとうな気持ちが目覚める。
これからは、クレンジングを置く箇所が一箇所増えそうで、それはつまり、ますますちゃんとリセットして一日を終えられる日が増えるということ。
そういえば、今年はじめて新しく使ったコスメがこちらで、それがメイクアップものじゃなかったという事実が、ずっとスキンケアに凝るのは大人の証だと思っていたわたしには、なんだか大人になったようで面白かった。