ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

ガラスの靴より瓶が好き

何かのきっかけで、突然、日常の一部となるものがある。最近、いつのまにか当たり前の習慣になったのが、ガラスの瓶。一時的にものを保存するのに、大活躍している。

わたしはどうも、ぺこっとしたタッパーが苦手で、洗い物の時の触感がいやだという理由で、冷蔵庫にものを保存するのが嫌いだったのだけれど、ガラスの瓶なら、中身が見えて密封できて、そしてぺこぺこしない。

上位互換のような存在で、一度使ったが最後、するりと日々使うものの座を占めることになった。

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たとえばある日は、こちらも頂き物のレッドオニオン。たっぷりスライスして、レタスを敷き、たまねぎをすりおろしたドレッシングで食べたら、甘い甘い!

もりもり食べたのだけれど、どうにも一食じゃ消化しきれそうになくて、残りは水にさらすのも兼ねて、せっせと瓶詰めにした。

 

といっても、急に流行りだしたメイソンジャードリンクや、ジャーサラダに触発されたというわけではなく、きっかけは、夏のトマトである。

この夏、ひょんなことから、大量にトマトの水煮が届いた。トマトは好きなので、届いたこと自体はうれしかったのだけれど、とにもかくにも、量が多い。ダンボールにずらっと並ぶ赤色。

とはいえ、好物をダメにしてしまうことほど悲しいことはないので、毎日せっせと食べた。お鍋にしたり、パスタにしたり、煮込みにしたり。野菜スープも売るほど作った。

そうして、トマトが減るにつれて増えたのが、空になったガラスの瓶だった。持ち重りのする、ジャムを入れるには大きすぎるサイズの、たくさんのガラス瓶。

そういうわけで、トマトの副産物として、突如、我が家の食器棚で存在感を放つようになった瓶は、しっかりと煮沸消毒をされ、まずは、カスピ海ヨーグルトを育てる部屋として、ピンク色の冷蔵庫の中で、大きな顔をするようになった。

 

使いだしてみると、たしかに使い勝手がいい。

何を入れてもほぼ匂いが付かないし、熱いお湯で洗うと、きゅっきゅっとしっかり磨けている感じがするのも楽しい。タッパーはなぜだかいつまでもぬるぬるしている気がして、洗い終わるタイミングにいつも苦心する。

本来は、ガラス瓶って、もともとピクルスやジャムなんかを長期保存するために使われてきたものなのだろうけれど、根がずぼらなので、一度しまったが最後、冷蔵庫の中で存在を忘れてしまいそう。

なので、最近は、食べきれないあんこや、パスタソースを入れて放っておくという使い方よりも、急いで味をなじませたいときに慌てて取り出し、ぶんぶんシェイクして数時間寝かす…といった使い方が多い。

たいへん邪道な気はするのだけれど、最近、ついつい瓶で作ってしまうのは、フレンチトースト。

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1枚どーんという出来上がりの方がテンションは上がるとはいえ、どうせ食べるときには、細かく切ってしまうので、最初からパンを4つにちぎって、卵と牛乳とはちみつに砂糖を混ぜた瓶の中にぎゅうぎゅう押し込む。

瓶が大きいので、卵を3つ割り入れ、瓶の半分くらいになるまで牛乳を足す。ざっくりと目分量で「入れ過ぎかも」と不安になる二歩手前まではちみつを加えて、お砂糖をほんの少し。

そこに食パン2枚分を入れると、ちょうどパンが浮くことなく、しっかり浸かる割合になる。

ぜんぶ詰め込んだら後はしっかりシェイクをして、冷蔵庫で寝かすだけ。

フレンチトーストを作るのなんて、よっぽど余裕のある休日だけなので、朝、ねぼけたまま仕込みだけして、そのあとは思い出したときに冷蔵庫を開け、ストレス解消がてら何回かシェイクしてまた冷やす。

それだけで、3時のおやつの時間には、前の晩から浸していたみたいな顔をしたフレンチトーストが登場することになる。

卵をかき混ぜるのも、液に浸すのもぜんぶ瓶1つでできるので、洗い物が少ないところも、ずぼらな人間にはうれしい。

流行りとは、数度違う角度で活躍しているガラスの瓶だけれど、たしかに使い方次第では、かなり頼もしいキッチンの相棒であることにはまちがいないみたいだ。

 

なにより、同じ透明でも、プラスチックとはちがって、硬質な透明さがとてもきれい。

その硬質な光を眺めたいがために、今更ながらガラスの瓶で、色とりどりのきれいな色の炭酸を飲みたくなってしまうくらいに。