ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

10月はじめの備忘録

この間まで外から早足で帰ってきては、「あつい!!!」と騒いで、罪悪感を感じながらクーラーのスイッチを入れていたのに、10月はじめの木曜日、手のひらを返すようにクローゼットの奥にしまいこんでいたストーブを取り出した。

朝、シャワーを浴び、もはやシャワーだけでは十分にあたたまることができない季節になったなあ、とのんきに思っていたら、上がったときの寒さに本気で身震いをした。

ストーブは昨年、冬の朝、着替える時の寒さに負けて、通勤の満員電車の中でぽちっとした代物。東京の春は案外寒いので、4月手前まで活躍した。シャンパンゴールドのスリムな形状で、倒れるどころか傾いたら自動的に電源が落ちるという優れもの。

寒い朝、ストーブの前で着替えをするのは、子どものとき以来で、その豊かさに冬が少し好きになる。

わたしが使っていたのは、むしろヒーターと言った方がいい形状で、なんならぺたりと熱風の出るところを触っても、やけどをするほどには熱くなかった。

たとえばセーターとか、スカートとか。パジャマのままごはんを食べている間、目の前に並べて温めておき、えいやっとかぶるとき、ほわっと立ち上る毛糸の匂い。

肌着を着ていてもなお、肌にちくちくするのがいやで、編み目の大きいセーターは嫌いだったけれど、あの匂いだけはしあわせで悪くなかった。

今日は、夏の間ずっと着ていたてろんとしたマキシワンピの上に、今年はじめて出す毛足の長いバスローブを羽織って、部屋の中でも少しずつ季節が変わりつつあるなあ、という日々。

 

そんなわけで、名実ともに秋である。秋になると、おいしくなるものはたくさんあるけれど、今年は久々にしみじみパンがおいしいなあと、原点回帰中。

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それも、粉がみっしりつまったハード系のものがおいしくて、食べながら「実りの秋」という言葉をいちいち噛みしめる食卓が続く。

ある一日は、メゾンカイザーアールグレイオレンジピールのパンを。

スライスしてチーズをのせて食べたら、さぞかしおいしかろう! という味わいだけれど、それは外でも食べられるので、焼き戻してそのままたっぷりと頬張る。

夏の名残をまだ引きずって、飲み物はジンジャーエール。フレッシュネスのそれは、かなり濃いので、途中からソーダを足して割るのが好き。

恋人は硬いパンが苦手なので、たっぷり手に入れて帰ってきても、どれもまるっと独り占め。

 

たとえば、めかぶなんかでは、まったく逆の現象が起きる。

食卓を共にするようになって、思いのほか、たくさんの食わず嫌いがあったことに気付いたけれど、めかぶは数少ない「食べてはみたけれど、やっぱりそんなに好きじゃなかった」というもののひとつ。

秋になってくると、ますます手が伸びなくなる食材だけれど、今日も晩ごはんには一人分だけ登場していて、よく飽きないなあと感心してしまう。

朝はにゅうめん、お昼は肉うどんと、簡単なものだったのに対して、晩ごはんは今年初めての秋刀魚を中心に、一汁三菜以上。わたしはおなかが空く本を読みながら、待っていただけだけれど。 

鰻にでもする?

鰻にでもする?

 

ちょうどこの間、疲れ果てた帰り道の贅沢に「鰻しかない!」と数年ぶりにひとりで鰻屋さんに入ったところだったので、おなかを鳴らしながら一気に読了した。

そうして整ったところで、食卓に着き、大根おろしに醤油を垂らして食べる秋刀魚は、まさに一年ぶりの口福。

大根の煮ものに、浅く漬けられたたくあん、小松菜のお味噌汁と釜揚げしらす。そして、キャベツをおかかとマヨネーズで和えたもの。

こういう細々したおかずがあればそれで、軽々とお茶碗2杯ごはんが消えるようになったのが、いちばん大人になったのを実感するときかもしれない。

とはいえ、味覚は変わらないところも多くあって、たとえば、子どもの時に読んだ本の影響で、お味噌汁の具は、小松菜がいちばん好き。

たっぷりのなめこに、最後に大根おろしを落として食べるものや、お豆腐とわかめだけの静かなものも捨てがたいけれど、定期的に体が欲するのは小松菜のものだけである。

秋刀魚だけでお茶碗2杯目に突入してしまいそうなのをこらえ、当初の念願通り、2杯目は卵かけごはんにして食べて、大満足。

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おなかが空いたら、かぼちゃのいももちを焼いて、お汁粉をして食べようと思っているのだけれど、意外に腹持ちがよくて、明日の3時のおやつになりそう。

あっさりとして、後味は小豆のほっくりした甘みだけで、好きだけれどなかなか餡子が食べられないわたしでも、するすると食べられるお汁粉はいただきもの。手作りのものはおいしいなあ。

今年の秋は、家ではじめてお汁粉を食べたし、もう柿も2回食後に出現したしで、なんやかんや豊かな食生活である。

お菓子売り場に毎年の冬のお楽しみ、ラミーもとうに出始めていて、その年はじめて気づいたときの常で、それも買って帰った。

 

ゆるゆると映画を流しながらごはんを食べ終え、まだまだおやすみが残っていることを、数十分ごとに確認しながら、今は『ナイトミュージアム 3』を観ている。

ロビン・ウィリアムズが亡くなってしまったなんて……と最初こそしんみりしていたけれど、今やもうげらげら笑っていて、単純に好きな映画だなあ、と思う。観終わるのがさみしいなあ。