ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

この3連休に、したこと。

この3連休に、したこと。

毎朝、必ず8時に一度起きて、「今日もおやすみ!」というしあわせを、わざわざ噛みしめてからの、盛大な二度寝

久しぶりに休日の朝にうれしいチャイムが鳴ったので、初日の朝だけは二度寝のベッドに飛び込みたい気持ちを少し我慢して、届いた箱の中身を端から並べて、うれしさを確かめてみた。

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なかなか堪能する目途もつかず、ここ数週間知らんぷりをしていたものの、正式に夏はやって来ていて、ご近所用のサンダルを履くときのために、数か月ぶりにきちんとペディキュアも。

なんやかんやで、刷り込みレベルでこの色に手が伸びる。ペディキュアは赤、と。

ここ数年はずっとDiorの#999。トップコートをきちんとしないと、すぐにぺらっと剥げてしまうのだけれど、ぬったときのほれぼれする赤に、めんどくさいなあと思いながらも負けてしまう。

 

この3連休に、したこと。

初日、今にも嵐の来そうな不思議な色合いの空に、虹を見た。

少しだけ残っている作業を片付けたいという恋人と共に、外出した帰り道。ビニール傘越しに、「不穏な空」と見上げた先に、今まで見たことのないようなきれいな半円型の虹を見つけた。

歩くほどにその輪郭が少しずつくっきりとして、ほんとうに一歩一歩、着実に虹に近づいていく。

もしかしたら、このまま虹のふもとに着いてしまうかもしれない! と、にわかに子どものようなことを考えながら歩き、自分たち以外、誰も気づいていないような様子に、やたらとどきどきとした。

行きかう人とすれ違うたびに、「虹が」「すごいね」とやらせのようなやり取りを繰り返し、横断歩道のところでiPhoneを空にかまえる女の子を見て、ようやくほっとする。

ばかばかしいことなのだけれど、いまだにわたしは「ある日突然ふしぎなことが起きたらどうしよう!」と思いながら生きている。

ちょうど、幼いときに繰り返し読んだ、この本のように。  

新装版 天井うらのふしぎな友だち (講談社青い鳥文庫)

新装版 天井うらのふしぎな友だち (講談社青い鳥文庫)

 

柏葉幸子さんの本がいまだに心をつかんで離さないのは、ふしぎなことすべてが、あくまで日常と地続きで起きるからで、その中でも、引っ越した家の天井にふしぎな生き物が住んでいて……というこのお話の、住んでいる町に不思議なことが起きるところが、一等好きだった。

そんなひそやかな野望を満たしてくれた嵐の合間の空で、実際には虹のふもとには(もちろん)たどり着けなかったけれど、なんだか日常が奇妙にふしぎな世界にねじれたような、わくわくする数分間だった。

 

この3連休に、したこと。

ハンバーガー欲とポテト欲を、順番に満たした。

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いったい、わたしはハンバーガーという食べ物が、中毒的に好きなのだけれど、それと同じくらいフライドポテトというサイドメニューが好きだ。

そして残念なことに、ファーストフード系だと、見事にその好みが1チェーン内でかみ合わない。ハンバーガーは素材の味を生かしたものが好き。ポテトはできるだけ細切りの、いっそ中などすかすかなものが好き。

というわけで、ハンバーガーをフレッシュネスで食べ、その翌日、フライドポテトだけマックで食べるという、悪いジャンクフードの梯子をした。

フレッシュネスだと、オニオンリングの方が、みっしりと中身のつまったポテトより、数段ジャンク感があって好み。

ジャンクな味に酔いしれつつ、いつの間にか降り始めた雨の音を聴きながらネットサーフィンをしたり、もう数ヵ月積読になっていた本を、ようやく数話読んだりした。

 

この3連休に、したこと。

東を向いて笑った。

今年はじめての鰻。今年はじめての桃。どちらも、思わず顔を見合わせてしまうくらいおいしかったのだけれど、桃を食べた瞬間、恋人が後ろを振り返って「ははは」と文字通り明快な笑い声を立てたので、わたしはきょとんとしてしまった。

なんでも、「初物を食べたときには東を向いて笑うといいよ」とのことで、ときどきまるで恋人はおばあちゃんみたいなことを言い出す。そのたびにわたしは「年下だよね?」とついつい年齢を確認してしまう。

ところで、久々の鰻は、素晴らしかった。一年のこの時期にしか食べようという機会がないのもいいし、天丼や親子丼、牛丼と違って、あまじょっぱいタレが、決してびしゃびしゃとお米を弱くせず、しっかりと粒を立たせたまま絡むところもいい。

おいしい鰻屋さんにはいつだって行きたいけれど、遠慮せずにタレをお米に馴染ませることができることを考えれば、たっぷりとした山椒をわざとまだらに振り掛ける楽しみも含めて、家でおいしいものが食べられれば、それがいちばんだと思う。

「山椒が……」「はあああ、おいしい……」とあんまりゆっくり時間をかけて食べていたので、隣であらかた山椒抜きで食べ終えようとしていた恋人も、この年になって山椒デビューをしていた。

食後に剥いた桃は、まだ少し掌にあたる触感が硬く、早まったかな……と一瞬後悔をしたのだけれど、味見として食べてみた最初の一切れで、もはや切り分ける手間も惜しくなるほどの甘さ。

いちばん好きな魚と、いちばん好きな果物を続けて胃に収めて、東も西もわからないほどに、にこににことしてしまった。

 

あらかた充電が終わり、そろそろ次のお休みは出かけようかな、なんて思っているけれど、その気持ちがいつまで続くやら! というくらい快適だった3日間。

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特に「何をした」というわけではないものの、したかったささやかな贅沢を全部叶えたような、気になっていたいちいちを少しずつ片付けられたような、そして今年はじめてをたくさん終えられたような、静かに盛り沢山だった。

毎日お昼寝をして、この世でいちばん好きなお酒*1を飲んで、いちばん気持ちのいいところでそのままなだれ込むように眠った。

摘み食いしながらいろんな本を読んで、そのお供にと、何度も温かい飲み物を作った。電気を点けずに、家の中で過ごせるということがうれしくて、夕方、だいぶ日が暮れても、なんだか名残惜しくてなかなか電気が点けられなかった。

それにしても3日休むと毎回思うけれど、ほんとうにいつまででも休めるね! 休んでていいならね!

今年が半分過ぎても相変わらずわたしは、ちょっと節度がないほど熱烈に、週末と休日に焦がれたままである。

*1:おたるワインの白。ワインは苦手なので、おいしいぶどうジュースとしか思えない、このフレッシュな甘さがほんとうに好き。