ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

今年のはじめて、をひとつずつ

2015年の月曜日は、今のところ1戦1敗。1回目は仕事始めで涙を飲んでお休みを切り上げ、2回目は始まったばかりなのに、さっそく祝日と言う素晴らしい一日だった。

本を読んだり、数か月ぶりに覗くサイトを開いてネットサーフィンをしたりして、結局、前日(?)寝たのは朝の6時だったのだけれど、きっかり90分後の7時半には、アラームもなしにすっきりと目覚めていた。

だいたいにおいて、わたしは平日も一切アラームというものをかけないので、たとえ祝日であっても、月曜日から金曜日の間は一度、7時半には目が覚める体になっている。逆に土日は、前日どんなにさっさとベッドに入っても、ちっとも朝目が覚めないのだから、不思議。

 

2015年最初の祝日は、「今年は遊ぶぞ!」という決意を形にすべく、観劇はじめの日に。昨年はいつだったかなあ……正確には覚えていないけれど、ずいぶんと早まったことには違いないと思う。

ずいぶんと空いた電車に揺られて向かったのは、日比谷。ぴゅうぴゅうと耳を切りそうな冷たい風が吹いていて、よりによって今日でなくてもよかったかも、とくじけそうになりながら、早足で歩く。

普段は宝塚を観に来るくらいでしか歩かない街だけれど、今日は東京宝塚劇場を向こうに眺めながら、はじめて足を運ぶシアタークリエへ。『スタンド・バイ・ユー』*1を観に来たのだ。

http://instagram.com/p/xzJRSSr5Uj/

少し無理をしてでも来たかった理由は、劇場の入口に貼ってある、「本日初日」の文字。

お芝居の初日を観るのは、昨年の『蒼の乱』以来、その前は? と思い返しても『薔薇とサムライ』くらいだけれど、ほんとうは観られるならどんなお芝居も初日に観たい。

誰の感想も、何の評判もないまっさらな状態で「これから何か面白いものを観られるのだ」と思って客席に座っている贅沢さは、評判の良い舞台を楽間際に観に行くよりも貴重だったりする。*2

この舞台自体は、新年はじめて観る舞台はわかりやすくて楽しいものがいいなあ、と思っているときに、1桁台の列が取れるということで、なかば衝動的にチケットを買っていた。

ミムラさんが、ちょくちょく好きなドラマの素敵なキャラをやってらしたこと、それから男役時代のときから素敵だなあと思っていた真飛聖さんが、どうやら女優さんになってから一層好みのルックスだなあということ。

そんな今年もあい変わらずなミーハーな理由で、あまり詳しいことも調べずに購入し、ぽちっとボタンを押した後で、『SPEC』*3の堤監督が演出をされているということを知り、これはもう安心して劇場に行けばいいと思った。

ちなみに、昨年は、三谷さんの舞台を一度観て見たいなあと思っていたのが叶えられた年だったので、今年はどこかで堤監督のかかわってらっしゃる舞台を、とぼんやり考えていたところだったり。

タイミングというか、めぐりあわせがよいときというのはあるんだなあ、と他人事のように感心してしまう。


シアタークリエは、思っていたよりもずっと小さな箱だった。*4

もともとは、宝塚時代には、なかなか1桁台で拝見することなど叶わなかった真飛さんをこの距離で観られるならそれで十分、というくらいの気持ちだったのだけれど、結果的には非常にいい観劇はじめになった。

http://instagram.com/p/xzJZLur5U2/

最初から最後まで、それはもうたいへん気持ちよく笑い、うっかり少しほろりとし、涙が顎までつたう前に、そんなに簡単には泣かせないぞ! とばかりに、最後にもうひと笑いさせられた。

傍から見れば「なんで結婚してるの?」としか思えない2組の夫婦が、雪山のコテージに閉じ込められ、「なんで結婚してるんだっけ?」と彼ら以外は誰もが抱いていた問いにうっかり気付いてしまい、答えを見つけようとすればするほど、結婚している理由がわからなくなってきて……。

という設定的には、かなりブラックユーモアあふれるお話にもかかわらず、どちらかというと、くすっとではなく、からっとしたバカ笑いが止まらないというコミカルさ。

2組の夫婦のどちらもものすごくキャラが立っていて、その中では、いちばん普通人っぽいキャラの勝村正信さんがアドリブ三昧(?)なので、あれはずるいなー。笑ってしまう。

主題歌があったり、映像がふんだんに使われていたりと、ああ映像の方が演出されてるってこういうことかなあ! と、にまにまできるポイントもたくさん。

 

でも、おなかいっぱいになるくらい、もりだくさんの仕掛けがある上で、最終的にいちばん印象に残るのも、げらげら笑ったのも、純粋に役者さん同士の掛け合いだったのがすごいなあ、と。

特にどなたかの熱心なファンというわけではないのだけれど、きっとここが日替わりになるのかなとか、明日はあそこどんなお芝居になるのかなというのが気になって、もう一度観たいなと素直に思ったくらい。

ちなみに、女性陣は恐ろしくかわいらしく美しかった……。こちらを向いているときはもちろん、美人は横顔が美人なのだな、とお二人が横を向くたびにため息。汗も見える距離で美しいとは! まったく!

真飛さんは、ともかく言葉を尽くして旦那さんを罵る役だったのだけれど、美人というのは怒っていると凄味が増すし、なんというか、気持ちよく罵られたくなるいい美人だった。

シアタークリエ、小さくて観やすくていいなあ、なんて、ずいぶんとしあわせな気持ちで劇場を後にした。

http://instagram.com/p/xzJfTvr5VB/

もっとも劇場を後にする足取りが軽かったのは、最後のカーテンコールがたいへんのびやかで素敵だったのも、大きかったかもしれない。

座長としてあいさつをするよう、周りの方にそそのかされて(?)自由極まりないあいさつをしてしまうミムラさんとか、それに対して、座長経験者としてやり方を小声で指南する真飛さんとか。

一生懸命あいさつをしたミムラさんにむかって、「まあ普通はしゃべらないけどね! この場合!」と手のひらを返す発言(しかも嘘)をする勝村さん*5とか。

鳴り止まない拍手に、なぜか元気よく、「これにて!」と手を一つ打って〆ようとするミムラさん(再び)とか*6

最後は戸次さんに、まさかの「帰ってくれ!」を言い放たれて、爆笑のうちに数度目のカーテンコールが終わり、会場を出たときには体の中からほくほくになっていた。

あんまりお芝居を観るのは慣れてないし、ミュージカルは苦手だし、ストリートプレイは寝そうで不安……という友人を気兼ねなく誘いたくなる舞台だな、という気がした。*7

わたしは演劇に詳しくもない、しあわせなミーハーだけれど、劇場を出た瞬間に、「次は何観よう!」とうきうきしていて、それはきっと、とてもいいお芝居の証だということはよくわかった。

*1:シアタークリエ『スタンド・バイ・ユー -家庭内再婚-』

*2:評判の良い舞台の千秋楽とは、ちょっと甲乙つけがたい……!

*3:だいすき!

*4:それだけでも、いかに座席表のひとつもきちんと見ずに、衝動的にチケットを取ったのかわかるね……!

*5:最後まで自由かつお茶目でずるい!

*6:壇上のキャストの方も、客席も全員ずっこけた。

*7:ただし、下ネタがダメな人はぜったいダメだね……!