ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

Goodbye Halloween

夕方街に出ると、どこもかしこもツリーが飾られ、お店のひとつひとつにもイルミネーションが飾られている。明日から12月。

 

でも、ここ数年、ハロウィンが市民権(?)を得始めてから、少しずつ街がクリスマスになるのが遅くなっている気がする。前はちょっと涼しくなると店頭も緑と赤で染まるようになっていたのに、今年はきっかり11月1日からだった。

仮装したりはしなかったけれど、わたしも例年になく、ハロウィンの端っこでいろいろと恩恵を受けた。もう過ぎてからだいぶ経つけれど、クリスマスに行く前に、まずは一応ハロウィンの整理を。

 

いちばん最初にお祭りムードに巻き込まれたのは夢の国で、それからどうも、浮かれた気持ちを引きずっていた。店頭で黒とオレンジのお菓子を見かけると、ついつい手が伸びるように。

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DEAN&DELUCAのプチフールアソートも、去年もこうだったっけ? というハロウィンカラーで山積みされていた。

ずっと気になっていたものを、するりとレジまで持っていく動機になりえるくらいには、オレンジと黒という大人びた配色がわたしは好きだ。

こまごまと、ミニサイズのマドレーヌだの、フィナンシェだの、レーズンバターサンドだのが詰め込まれたBOXは、どれも思いのほか優しい味がして、アメリカンな味を想像していたのに、びっくりするほどあっさりしていた。

 

そのままするりと手が伸びて、隣のクッキーも手に取ってしまう。

 

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オーソドックスなマーブルクッキーと、コウモリの型抜きクッキー。

コウモリ型なんて、特に普段はかわいいとも思わないのに、こうやってちんまりとオレンジ色のリボンをかけられていると、どうしたって魅力的に見えてしまう。

それに、ハロウィンのお菓子はといえば、わたしにとってはそれは、クッキーなのだった。

 

学生の頃は、ハロウィンといえば、すなわちイコール英語の授業だった。

いつもは厳格な先生が、その日だけは、色とりどりのクッキーの入った缶を携えて入ってきて、その日限定で人気者になったのだから、中学生というのは現金なものだ。

英語クラブに入っていたわたしは、ALTの先生から、こっそりおまけでもう1枚もらったりした。毎年、お菓子はなぜかクッキーと決まっていた。

学生のころはイギリスに留学していたという先生が好きだったのかもしれないし、単に人数分手ごろに用意でき、好き嫌いも少なそうなのがクッキーだったせいかもしれない。

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あの頃、授業中にお菓子を食べられるというのは特別で、それも家庭科の授業じゃないというのが重要で、たとえばクリスマスでもそんなことはなかったから、ハロウィンというのは存外スイートなイベントだな、と思ったことを覚えている。

なのに、クリスマスやバレンタインみたいに、やたらと照れくさいイベントじゃないところがいいな、と。

 

10年ほど経って、照れ抜きのイベントのまま、ハロウィンは日本で大きな顔をしつつある。それが面白くて、浮かれたついでにアイスクリームを食べに行って、ハロウィンサンデーを頼んだりもした。

この数年、連休にしか食べない31は、たとえそれが既に日曜日の夕方でも、そこからお休みがスタートする気分になる浮かれた食べ物だ。

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パンプキンやらキャラメルやら、他にももろもろあやしげな素材が混ぜ込まれたアイスは、たとえばクリスマスのそれみたいにアイス自体は派手じゃない。

でも、ほっこりとしたフレーバーの詰め込まれたサンデーは、たしかに秋のお祭りの味がして、今年も日本のお祭りは夏も秋も逃し続けた身に、ほんの少しだけ「これで冬に入ってもいい」という達成感を与えてくれた。

ハロウィンといえば、のクッキーもささやかながら、かわいいプリントを施されてちょこんと乗っている。

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このアイスを食べて、3分後には道を行く馬車を観たのだから、都会の真ん中にしては随分上出来なお祭り感だったと思う。

仮装にはあまり興味はないけれど、行事そのものの存在意義がお菓子というのはいいな、と思う。

一年分のチョコレートを買う口実は、バレンタインで間に合っているので、来年はハロウィンを口実にたくさんクッキーを買おう、と思うと、いつも何とはなしに過ぎてしまっている秋を、来年は少し立ち止まって味わえる気がした。