Make a dice, make a choice.
やっぱりお休みは、3日あるとちょうどいい。1日目は近場で遊んで、2日目は少し遠出をして、3日目はひたすら家と仲良く。最高である。
3日間一度も家から出ない、というのもそれはそれでしあわせな過ごし方だけれど、楽しいことで外出する機会がこの2ヶ月ほど少な過ぎたので、久々にアクティブな3連休を選択した。
ところで、選択する、ということがわたしは苦手で、実を言うとあまり物事を選びたくない。
あちらを選んでいたら、あるいはこちらを選んでいなかったら、と思うとそれはもう際限なくて、だから選ばなくてもいいように、そのどちらも同時進行でやってみたりする。
どうしても選ばないといけない、というときは熟慮も寝かせもせず、「えいやっ」と完全に勘と勢いで選んでしまう。
選んでから、選んだ方を正解にすればいい、という心意気だけでなんとやってきているのだけれど、そんな性分なので、いわゆるギャンブルやゲームが下手なのも道理である。
人生において大事なことは、だいたい勢いだけで選んできた。
たぶん、わたしは迷ったり悩んだりするのが、極度に苦手なのだと思う。迷っている間に人生が終わってしまう、悩んでいる間に人生がすり減ってしまう、という気持ち。それは単純に恐怖だ。
それで「えいやっ」となるあたりが、本当に選ぶのが苦手なんだなあ、と思うけれど。
そして、大事なことでなくても、AかBか、それともAでもBでもないのか、という選択は日々山のように湧いてくる。
そういう些細なことに関しては、もう積極的に優柔不断でいることにしているのだけれど、たとえば「このお菓子を夜の22時に食べるかどうか」なんてことは、特に悩みもせず、すぱっと決めてしまいたいのだった。
そんな優柔不断な人間が、少し生きやすくなるサイコロを、27歳の誕生日にもらった。
Make Dice*1という、いちいち悩んでいられない日常のささいなあれこれをサイコロ頼みにしてしまえる試みで、どうやらアプリver.もあるらしい。
いくつかもらったのだけれど、わたしが一番重宝しているのは、「EAT/DON'T EAT」と「BUY/DON'T BUY」のふたつ。
このころんとしたサイコロのおかげで、深夜2時のラザニアを我慢出来たり、ずっと迷っていたCHANELの口紅が手元にやってきたりした。
別にそんなの、自分で決めたっていいことなのだけれど、自分で決めても決めなくてもいい程度のことを、潔くすっかり運に任せてしまうというのは、なかなか気楽で楽しいものである。
それに、一度振ってから「3回戦だから」ともう一度サイコロを取り上げたときにはほんとうはどうしたいかちゃんと決まっている、ということがよくわかる。
Make Dice自体にはいろいろな種類があって、たとえばカップルだけじゃなくて、妹と一緒に住んでいたときや、実家にいたときにこれがあればけんかは半減したのでは、という気がする“カップルダイス”も含め、考えるよりも振った方が幸せになれそうなサイコロが勢ぞろい。
もらった中でひとつだけ、まだ振ったことがないサイコロがあって、それは「I AM SORRY/YOU ARE SORRY」という目のもの。
これを振るときは、たぶん上手く謝ることもできないくらいの大喧嘩で、出したい目は決まっているときな気がしている。そんなにっちもさっちも行かないほどの喧嘩はしたくないと思っているけれど、もしどうしようもなくなったら、そのときには謝るためにこのサイコロを振ろうと決めている。
とにもかくにも、手のひらにつるんと冷たいサイコロは、人生を少し歩きやすいものにしてくれる、なかなか頼れる立方体なのだった。