Winter, spring summer or fall.
最近、「定番」というものについて、よく考える。
わたしは季節によって、わりとはっきりと香りを使い分ける方で、夏になるとつけたくなる香水、冬になるとつけたくなる香水というのはすぐに思いつくけれど、一年中いつでもつけたい香水というのは、実はぱっとすぐに答えることができない。
香水を買うのがストレス発散、という間違ったアロマセラピー(?)的な要素もあり、ミニサイズも含めると結構な数を所有していること、それからあくのない香りよりは少し個性のあるものの方が好きなことが、その傾向に拍車をかけている。
でもだからこそ、いつも手が伸びる香水がある、というのは素敵なことだろうなあと思う。
そもそも何につけ、「定番」というものがある人生に憧れているので、ほんとうはそろそろジプシーも終わりにしたい! そう思いながら、節目節目ごとに憧れていた香りを手に入れてしまうので、ちっともシンプルな生活には辿り着けずにいる。
それでも、ここ1年ほど、ようやくずっと「いつでも着けたい」と思えている香りがある。
GUERLAIN Aqua Allegoria #Tiare Mimosa
ゲランのカジュアル・ライン(というのだろうか)、アクア・アレゴリアシリーズから出ている“ティアレ・ミモザ”という香りである。
ともかくミモザの香りが好きで、わたしの10代は同じゲランが出している“シャンゼリゼ”に焦がれて過ごしたと言っても過言ではない。
19歳の時に、ようやく少し背伸びをして手に入れたときは、宝物だと思った。しあわせなお出かけの時にだけ、浮かれた気分を増長するように、しゅっとあのシャンパンのようなミモザをふりかけた。
なので、ゲランといえば、ミモザといえば“シャンゼリゼ”と思っていた節があるのだけれど、もっと直接的にミモザの香りだけがする香水があると知って、俄然、興味がわいた。
存在を知ってから約半年、26歳の記念にと買ったのが、“ティアレ・ミモザ”である。
それからちょうど1年強。この1年の間に、もちろん、うだるように暑い日も、凍えるように寒い日も両方あった。でも、金曜日にこの香りをつけたくない日は、一日もなかった。
アクア・アレゴリアシリーズは、蜂がテーマになっていて、金色の蜂の巣を模したボトルに、やわらかな色合いの香水が、どれも気負いなく美しい。
つけた瞬間のシャンパンボトルを開けたような昂揚感、そしてどこまでもきらきらとした香り。華美であることが素晴らしい“シャンゼリゼ”と違って、こちらのミモザはずいぶんと清潔な香りがする。
とろりと甘いはずなのに、どこまで瑞々しくて、つけた瞬間に深呼吸をしてしまう香水は、これともう一つしか実は私は知らない。
いつも思っているより少しだけ、更に瑞々しくて、それが金曜日の晩であっても、生まれたての世界の中、朝露に濡れたミモザと緑の中で、大きく深呼吸をしているような気分になる。
もしかしたら、金曜日から日曜日までの「定番」は、もう見つかったと言えるのかもしれない。少しずつ、少しずつ、シンプルに。おぼつかないベイビーステップで、わたしは大人への階段を上っている。