真夏は168cmの世界
暑くなると、わたしは少し、背が低くなる。
冬は凍えそうになりながら、かつかつとハイヒールで道路を蹴って歩くのが好きだけれど、夏は断然ぺたんこである。何もがんばらず、できればぺたぺたと歩きたい。
オフの日にはできる限りストッキングというものを穿きたくないので、裸足で履ける靴、となるとそもそもぺたんこが多くなる。もちろん、サンダルという選択肢もあるけれど、サンダルにしてもぺたんこの方が多い。
とはいえ、ぺたんこが履けるようになったのは、20代になってからかもしれない。
10代の頃は168cmと比較的背が高いにもかかわらず、ヒールがない靴なんて考えられなかった。ローファーでさえ、太いヒールがついたやつを履いていた。今考えれば、HARUTAのローファーなんてあの時期にしか履けないのに、もったいないことをしたものである。*1
ともかくヒールを履いていないと不安だったし、もちろん多少は疲れるにしても、8cmヒールで1日歩き回っても平気だった。
最初にぺたんこ靴もいいな、と思ったのは、たしか古い映画をたくさん観ていた時期だと思う。ふんわりとした長めの丈のスカートに、ミニマムなバレエシューズという着こなしがかわいくて、だから最初に買ったヒールのない靴はバレエシューズだった。
でも、わたしにはちょっとかわいらし過ぎたのかもしれない。あまり上手く履きこなせないまま、引っ越しの度にいくつか処分した。今は、白が1足、靴箱で眠っている。
たぶん、30代になったら似合うようになるんじゃないかな、と漠然とペンディングしていて、なんとなくその予感は正しい気がする。そのときには、あの頃憧れた、レペットの赤を手に入れるつもり。
だから、仲良くやれているぺたんこ靴は、どれもサンダルばかりだ。ペディキュアで甘さ・辛さを調節できる分、どんなデザインのものでも比較的履きやすい。
一番よく履くのは2年前に買ったビーチサンダルで、これはわたしの外出の7割が、ご近所なせいである。ボーダーとチェックはずっと好きなので、へたれてしまうまでこれはずっと履き続けるだろう。
少しサイズが大きいので、ペディキュアの定番・真っ赤だったり、あるいはネオンピンクだったり、ぱきっとした色を塗って、ちらちらと覗くボーダーとマリンを楽しんでいる。
ところでこいつ、購入した日にプールサイドで利用された以外は、ほとんど本来の用途に使われていない、かわいそうなやつである。今年も海は無理そうだしなー。
泳がなくてもいいので、海を見に行きたいという願いは、毎年なかなか叶わずにいるのだけれど、それよりももっと川はハードルが高くて、夏と言えば川遊びだったわたしはこの季節になると都会で生きているのだなあと、思い知る。
今年の夏新調したぺたんこサンダルはといえば、例年になく甘めのもの。
リボンが重なったデザインは甘いけれど、ベージュ×オレンジが、スイートというよりはキッチュで気に入った。
オレンジという色は昔からとても気になる色なのだけれど、あまり似合わないという自覚があるので、手持ちのものは小物も含めて、オレンジ色はほぼ皆無である。サーモンがかったサマーニットだけ1着持っているけれど、それも数えるほどしか着たことがない。
これくらいなら、そして安心できるベージュとのコンビならなんとかなるかな、とえいやっと手に入れてみた。
FURLAのぺたんこはアイコンバッグと同じ素材(?)の、かなりカジュアルな作りで、それが肩の力が抜けていて、とても夏っぽくてかわいい。
ネイビーのペディキュアとか、カーキとか、グレーとか、そういう辛めの色で爪を彩って履きたいな、と思っている。
だいたいペディキュアで、足元の雰囲気を自分が落ち着けるところまで寄せられるので、やっぱりぺたんこはサンダルの方が御しやすい。
もうひとつ気になっているのは、母と父に父の日に揃いでプレゼントした、お久しぶりの気がするBIRKENSTOCK。
再熱していることを知らず、ユニセックスなサンダル、というので選んだのだけれど、帰省したときに母のものを借りてみたらたしかに楽ちんで、力みが一切ないところが心地よい。
ぺたぺたと犬の散歩をしながら、こんなにどれもこれも快適で、しかもきちんとかわいいと、しばらく夏は168cmでもしかたないな、という気がした。
他の季節と違って、等身大で観る景色ばかりだから、夏はいつも少し、子どもの頃に近いのかもしれない。
*1:それもあって、GINGER ALE×HARUTAのパステルカラーもあるコラボローファーには、ここ数ヶ月心惹かれっぱなし!