夏と少女と扇風機
ほとんど休みなしのままこの1ヵ月間を駆け抜けて、振り返ってみると楽しかった思い出は平日優勢で、土日信仰を持つわたしとしては、少し悲しい。
8月も半ばになって、ようやく8月に入ってはじめて、のんびりとした土日を家で迎えていて、嬉しさのあまり、今日はお昼近くまで爆睡してしまった。
週末にアラームをかけない生活も久しぶり。その後、お昼過ぎからすごい雨になり、久々に家からほぼ一歩もせずに過ごした。
本当に、こんなにのんびりした週末は久々である。しあわせ!
だらだらと寝転がったり起き上がったりを繰り返し、時間があるから何か観ようかな、と思って、買ったっきり、きちんと観られていなかったアイドルのDVDを引っ張り出して見てみたりしている。
とても今更感があるけれど、もう5年くらい、なんとなくちらちら見続けているAKB。何を思ったのか、2つも一気に買っていたのだった。
たぶんアイドルというのは、存在自体がとてもアッパーでハッピーでしあわせなものなので、何かに疲れている人のためにあると思っていて、つまり、これを衝動買いした頃のわたしはとても疲れていたのだろう。
今は卒業をしてしまったメンバーも、まだほとんどが10代、お姉さん組もまだ20代前半という若い女の子が集まって、汗をぬぐいもせず画面いっぱいできらきらしていて、「世の女の子はみんなしあわせになるといい……」としみじみ思った。
いやもう、ほんとに頑張ってる女の子はみんなしあわせになるといい。
実際には、夢はほとんど叶わないものだし、叶ったかに思えた夢は実は欲しくなかったものだったりするし、いっそ、思い通りに行かない方が結果的にはよかったりもするけれど。
それでも、すべての夢を見る女の子が、世界は自分のために回っていると思える世の中だといいなあ、と思う。
どちらかと言わなくても、10代よりも30代の方が近くなって、生んでもないのに、少女に対する視線が母っぽくなりつつある。少なくとも、とても年の離れた妹を見るような視線にはなっている。
結局、とてもメイキングにたどり着ける気がしないまま、晩ごはんの時間に。
マキシワンピにパーカー、おだんごにした髪の毛にビーチサンダルで、ストッキングを穿かない脚でてくてくと晩ごはんのための買い出しに行く夕方は、特に特別なことは何もしていないのに、とても夏休みっぽい。
雨が冷やした8月のアスファルトは、店じまい感があって、なんだかぼんやりとしてしまう。
戦略にまんまとはまって、毎回楽しみに土曜の7時を待ってしまう『セーラームーン』を観て*1、子どもの頃を思い出し、久しぶりに晩ごはんは和食に。実家に帰った時に、最近はまっているのだと母が作ってくれた煮物がおいしかったので、それを少しアレンジしたものを作った。
夕食を食べた後は、またひたすらまったりと。今日は少し涼しいので、クーラーはやめて扇風機をつけている。ここ数年、欲しいなあと思っていたら、ほんとうに譲り受けてしまった。
子どもの頃も、祖父母の家にしかなくて、この時期遊びに行くと、扇風機の前は特等席だった。
祖母の焼いてくれる四角いホットケーキ、祖父が貸してくれる赤川次郎、歯が折れそうに固いうす甘いあずきバーのアイス、いつも妹とちょっとだけたくさん入っている方を奪い合ったチューチュー。
あの頃、夏休みは永遠だった。
夏の記憶は、いつもポラロイド写真のように、ゆっくりゆっくり立ち上ってきて、全部味わう前に次のシャッターが切られているけれど、たまにはこうして、ゆっくり思い出すのも心楽しい。
あの頃の夏の楽しさは破壊力がって、夏休みは有限だし、わたしはもうとっくに少女ではないにしても、今年も楽しいことをしよう、と思える。せっかく夏なんだから、と。
*1:『キルラキル』で小清水さんにはまったので、次回のまこちゃん回がとても楽しみ!