ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

午後9時のハンバーガー

「晩ごはんに何が食べたい?」と訊かれて、実際には口に出さないけれど、結構な確率で実は、「ハンバーガー」という答えが出る。

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それはたぶん、ちょうど上京したあたりで、グルメバーガーという言葉が流行りだしたからだと思う。1,000円以上するハンバーガーをナイフとフォークで、ビールといっしょに、というやつ。

 

最初にそういうハンバーガーを知ったときは、味云々よりまず先に、「わるい大人だなあ」と思った。晩ごはんにハンバーガーなんてそんな、子どもの夢みたいな。お母さんに怒られそうな。

でも、大学に入って何年目かの夏で、たしか六本木のアメリカンな店で食べたそれは、どちらかといえば、サンドイッチよりも健康的な味のする「ごはん」だった。お店の名前はすっかり忘れてしまったけれど、あのときの新鮮な驚きは、今も覚えている。

よくよく考えれば、ハンバーガーそれ自体は、新鮮なレタスとトマト、赤味のお肉、そしてパンと、成分としては別にジャンクでもなんでもないのだった。

 

もともと晩ごはんには必ずお米を食べないと気持ち悪い、というタイプではないので、それ以来、特にひとりの晩ごはんには、ときどきハンバーガーを食べる。

記憶に残っているお店もいくつかあって、1件目は上の写真の“BLACOWS”*1

お肉がおいしいと聞いて、ぎゅいぎゅいと主張する力強いパテを想像してい訪れたのだけれど、実際には、何が主張しすぎることもない、とてもバランスのよい味だった。

グルメバーガーという単語のエネルギッシュさから想像するよりも、品がよく、そして落ち着いたイメージ。

 

もう1つは、“BLACOWS”から歩いて5分くらいのところにある、“GOTHAM GRILL”。

http://instagram.com/p/piydjOr5Zq/

こちらは、バンズがあのVIRONさま、ということで、完全にバンズ目当てで買ったのだけれど、一口食べてみると、たしかにハンバーガーで感じたことのないぱりっもちっとした食感。

でも何よりも、食べ進めると、とてもお肉……!

最初のバンズへの感動が嘘のように、食べ終わった後の感想は、「なんだかとってもお肉を食べた」だった。もっとも、お店自体はお肉のお店のようなので、それで正解なのかもしれない。

バンズはとびきりにおいしく、パテも肉々しく、こちらは“BLACOWS”とは対照的に、すべてが力強く主張していて、食べるのに元気が入り、そして、食べると元気の出る味だった。

その分、フレンチフライは、細切りであっさりとした仕上がり。

 

ちなみに、“GOTHAM GRILL”は昼も夜も、ハンバーガーはテイクアウトができて、まるでコスメを買ったような、シックなバッグに入れてくれる。

http://instagram.com/p/pijDLDL5ZG/

ナイフとフォークで、お店で食べるのもいいけれど、テイクアウトしたハンバーガーを齧りながら、ジンジャーエールを舐め舐め、『デスパレートな妻たち』なんかを観たりしていると、「大人ってわるい」と思わず嘆息したくなってしまう。

だからかもしれない。

実際には、実はラーメンよりもずっとバランスのとれた晩ごはんかもしれないのに、なんだか恋人にも言い出せずにいる。今日の晩ごはんはハンバーガーにしよう、と。