ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

わたしがピアスを開けない理由

ときどき、今のご時世、耳に穴の開いていない20代の女性は、時代劇にいつか出たい女優と自分くらいなんじゃないか、と思う。

特に絶対開けないというポリシーがあるわけでもなく、なんとなく機を逃したまま10代が終わってしまって*1、もう今更突然ピアスを開けるのも……という気持ちで、ここまで来ている。

 

それに、最近は、ごちゃっとしたビジューが流行っているせいもあって、ピアスよりもイヤリングの方が耳の上で座りがよさそうなものが多い。

これがピアスだったら耳が不安だなあ、と思うのは、『蒼の乱』を観た後のヒカリエで、待ち合わせの合間に見つけて興奮し、逆上気味に買ってしまったもの。

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メインビジュアルやポスターの、あの少しすすけた感じ、ちょっと暗いトーンの蒼のきれいさがそのまま再現されたような石と金属で、わたしはひそかに「蒼の乱イヤリング」と呼んでいる。

ごろっとした大きさでとても派手になりそうなのに、そのくすぶっている感じがよいのか、ぎらぎらとせず意外に使い勝手がよい。

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華奢でかわいい、透けるピンクとオレンジのハートはプレゼント。

ハートモチーフというのは、何につけ、自分では気恥ずかしくて買えないだけに、もらったときのこそばゆくうれしい気持ちは計り知れない。

落とすのが怖くて、これも気持ちに余裕がある休日にしか、なかなか出番がない。

とは言っても、わたしはほとんどすべてのアクセサリー同様、イヤリングというもの自体を、休日にしかつけないのだけれど。

 

それはいつの間にか決まったルールで、たとえば、ブレスレットやバングルに関して言えば、たしかに、夏の日差しを謳歌するような浮かれたものが多いせいである。

一方で、イヤリングは浮ついたものはあまり買わないので、むしろ、耳元にきらきらとしたものがあると、一気にシックな感じになってしまうせいで、ちっともつけられずにいるのだ。

その最たるものは、つけた瞬間、お呼ばれの顔になってしまうパール。だいたいどんなちゃらんぽらんな格好をしていても、きちんとしてしまって、あの実力には恐れ入る。

でも、今年、もう少しカジュアルにつけられるかなと思って買ったビジューも、意外ときちんとしてしまう。

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石まで白いものもとてもきれいだったけれど、色があった方がカジュアルになるかと思ってこちらを選んだ。

ところが、淡く透ける緑の色合いが涼やかで、その色の品の良さ分だけ、これをつけるとかしこまった感じになる。

ちらちらと髪の間から覗くだけなのに、シンプルなワンピースなんかにつけて、髪を巻いたりまとめたりすると、「今日何かあるの?」という雰囲気になるのが面白い。

これがピアスだともう少しカジュアルな感じなるのかな、と思うけれど、寝転ぶのが大好きなわたしはどうせ出かけるときくらいしかつけないだろうから、やっぱりイヤリングでいいかなあ。

 

ピアスに、カジュアルなイメージや、もっと言ってしまえばちょっと小生意気なイメージを持っているのは、たぶん、わたしが初めてピアスというものを知ったのが、この映画で主人公の双子の片割れが、小生意気な子の方に夏休みと反抗の象徴として、ピアスを開けてもらったシーンだからだと思う。 

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まだ子役のリンジー・ローハンが一人二役で主演していて、ともかくとびっきりキュートだった。

この映画の中で、ピアスはとてもいい「背伸び」「大人への通過儀礼」として描かれていて、だからなんとなく、ピアスというものは今更お医者さんに、病院の清潔な器具で開けてもらうようなものじゃないという気がしてしまうのだ。

未だに、わたしの中の”ピアス”のイメージは、耳の裏にあてるりんご、それから夏休みのキャンプである。 

 

ピアスっていいなと思うのは、だからだいたいプレゼントを選んでいるときである。

個人的に、ピアスというのは、すべてのアクセサリーの中で抜きんでてて贈りやすい*2ものだと認識しているため、しばしばピアス売り場の前で足を止める。

その度に、いつも自分が見ているイヤリング売り場とは桁が違う量の、まとめ買いをしたくなる可愛さと値段のきらきら達に、唸ってしまう。これはピアスを開けるべきでは、と脳内で声がする。

一方で、こんなに手軽に物欲とおしゃれ欲が満たされるものが選り取り見取りだったら、きっとわたしは破産するだろう、とも。

 

そんなわけで、たぶん、この後もずっとわたしの耳は、ひとつの穴も開かないままだろうという気がしている。

とはいえ、少しカジュアルにもつけてみたくて、今年の夏は少し浮かれた、ちゃらんぽらんなわっかも耳から下げてみたいな、と数年前に買った夏用のものを引っ張り出してきているのだけれど。

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こういうのは圧倒的に、生意気そうに揺れている方がかわいくて、やっぱり少しピアスに心が揺れる夏なのだった。

もう、キャンプで安全ピンで開けてもらうような機会はないだろうから、実現はされないに決まっているけれど。

もし何かの間違いでそんなことになりそうであれば、そのときには、よく冷やしたりんごをひとつ、用意しようと思っている。

*1:どうしたものか、ピアスは10代の内に開けるものだという認識があった。

*2:意味合いの重さ的にも、手ごろな値段にあるという意味でも。