ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

30分の余裕、ばら色の

少しゆったりしていたのをいいことに、平日でもきちんとメイクをする日が増えたここ1ヵ月。家の小さな鏡の前で、唇に色を乗せるところまでやって、家を出ることすらできるようになってきた。 

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メイク自体は、大きな全身鏡の前でやることが多いのだけれど、仕上げの口紅だけは、この鏡の前ですることにしてる。ちょうどわたしの手くらいの大きさしかないこの鏡は、今の部屋に越したときに新調した。

だいたい、全身鏡というのは大きくて便利ではあるけれど、可愛いかと言われると微妙なところで、ありていに言えば、かなり無粋なものだ。なんでも映すし、なんでも全部いっぺんに見えてしまう。だから、ずっと、ちいさな鏡が欲しいな、と思っていた。覗くと、ほわんとして見たい部分だけが映り、少しだけ美人になった気がする魔法の鏡が。

というわけで、最近は朝、支度の最後として、ぐっとこの鏡を覗きこんで、唇にベージュやら赤やらの色をのせ、ほんの少し、いい気分で家を出ている。鏡を見るのは苦手だけれど、この鏡はちょっと覗きたくなるのだ。

 

それでも、たった30分出る時間が違うだけで、休日出勤のときは平日の3割増しくらいでメイクが上手くいって、平日の顔はいつも未完成だなあ、と思ったりする。具体的に何が足りない、というわけではなくて、ラインの引き方ひとつ、チークの入れ方ひとつが、はいはいここにしとけばいいんでしょ、的な雑さを醸し出していることが原因かもしれない。

元の顔立ちがはっきりしているので、少しメイクをすると、すぐ顔が派手になり、だから未完成くらいがちょうどいい、という気持ちもあるけれど、それにしたって、肌くらいは完成させてもいいじゃないかという気もしないでもない。

普段は、とりあえず下地、そしてコンシーラーとリキッドファンデーションをどちらも薄く塗って終了、ときには最後のリキッドを端折って終了というあっさりしたもの。使う量もごくわずかなので、なかなか減らず困るくらい。

コンシーラーさえしっかりすれば、幸い肌は強いのでそれなりに整うのだけれど、休日、ときどききちんとパウダーまではたくと、「ふうむ……」と思わず唸ってしまう。

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"Diorskin Nude Rose Powder"

あってもなくてもよいでしょう、と思って生きてきたけれど、ひとはたきしただけで、ふわりと肌が柔らかそうに見え、どう考えてもあって悪い一手間ではないのだった。

たぶん、美人というのはオーラなのだ。そして、肌にお粉をはたかないということは、既にひとつ、そのオーラを自ら捨ててしまっているような暴挙に他ならないのだ、という気がする。あのほわん、と急に輪郭がぼやける感じ。本当の肌の1mm上に綺麗なベールができる感じ。

Diorのこのパウダーは、"Rose"という名前のとおり、ばら色になりそうなピンク色の粉。譲り受けたときは、どうやって使えば……と首をひねっていたけれど、いざ使ってみると、写真に少しピンクの補正をかけたように、ほわんときれいなベールがかかる。

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透明の瓶の中、淡いばら色の粉が見え、上にのったパフも白にあわいピンクとどこまでも甘やかな佇まいで、これを使って美人にならないわけがない、という説得力がある。

この間貸してもらったパウダーもピンク色で、それはこれより更に肌がきれいに見えたので、もしかするとこの色がいいのかもしれないなあ、と思っている。今まで使ったとしても白かベージュだったけれど。

頬だけでなく、顔全体をかすかにばら色に染めて、今年は春を楽しんでいる。