ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

ホタテについて

最近、ホタテが好きだ。

好きな食べ物は、と訊かれていちばんに答えるような類の食べ物ではなく、何が食べたい? と訊かれて答えるような食べ物でもないので、あまり声高に主張する機会はないけれど、ホタテというのは美味しいものだと思う。

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わたしに限っていえば、突然無性に食べたくなることもままあるし、思いつくともう、食べるまでは他のものでは決して満たされない程度には中毒的な食べ物なのだけれど、あまり理解されない。

ときどき「ホタテさえ食べればどこでもいいです」というと、非常に不思議な顔をされる。ああ、ホタテね、と言われる。貝柱? と訊かれることもある。

 

貝柱も好きだけれど、わたしが好きなのは鉄板焼き。お寿司もいい。

最初にホタテをおいしいと思ったのは、20歳になって日本酒と一緒にお寿司をいただいたときだった気がする。それまではあってもなくても良い、という程度だったのに、ああ甘くておいしいものだな、と思った。

もともとお寿司ではサーモン以外はめっきり白身魚派なので、淡白な味のホタテが好きになるのも時間の問題、という感じではあり、それをきっかけにするするとホタテ全般が好きになったのだと記憶している。

そして、以前のわたしがそうであったように、ほとんどの人は特にホタテに関しては思い入れがないようで、たとえばお寿司やお刺身を分け合っているとき、取り合いになることがないため、そういう席がとても楽しくなった。*1

 

一度転がり落ちるとあっという間で、他の貝はそれほど好きでないままに、すっかりホタテ党になり、今では鉄板焼きでいちばん楽しみなのは、お肉でも〆のごはんでもなく、ホタテである。

近場に、とりあえずここに行けばおいしいホタテの鉄板焼きが食べられる、というお店があり、だから、今はいつ食べたくなっても安心。そこはほんとうはお好み焼きのお店なのだけれど、そのお店に行こうとわたしが提案するときは、ほぼ間違いなく、お好み焼きでなくホタテが食べたい時だ。

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もちろん、お好み焼きもしっかり美味しい。雑に言うと関西出身なので、お好み焼きは自分で焼きたい派なのにもかかわらず、一度自分で作ったらぜんぜんふわふわさ加減が再現できなくて、それからはおとなしくお任せすることにしている。

他にも、箸休めには抜群なセロリのおひたしや、ガーリックの効いたチャーハン、端っこのかりかりの生地が食べたいんです……! と毎回思うデザート焼きまで、そのお店で得食べさせてもらえるのはおいしいものばかり。

それでも、やはり行く前から楽しみにして、座るなり、飲み物と同時くらいの勢いで注文してしまい、帰って「ああおいしかったな」と思うのも、すべてホタテなのだから、ホタテ好きにも年季が入ってきた気がする。

 

今週末あたり、そろそろ、きんと冷えた日本酒といっしょにまた、ホタテが食べたいなあ。

レモンをきゅっとしぼって、もう一皿行きたいなあ、なんて思いながら、こちらもここ数年で覚えた”腹八分目”のおいしさというものを守って、一皿で我慢するのだ。

*1:子どもの頃、妹とわたしは好きなネタが面白いほどかぶっていたため、お寿司やお刺身はうれしくも戦いの席なのだった。