ときどき晴れのくもり空

いつか想像してた未来と今が少し違っていたって

When you wish upon a star.

ディズニーランド、という場所がある。

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わたしの中で、ディズニーランドを思い浮かべたときに浮かんでくるイメージは、なぜかキャラクターたちの顔でも、子どもの頃から何度も乗ったコースターでも、大人になって好きになったパレードでもなくて、なぜだかニアリーイコール”女子高生”である。

友達と耳をつけて練り歩き、デートで行けたと喜び、そして大学生になったら平日にくるんだ、と意気込む。腰のところで折った短いスカートに、指先まで隠れるカーディガン。

そんな女子高生の姿が、ぱっと頭の中に浮かぶ。これは「Seventeen」でひたすらにTDLTDS特集が組まれていたせいもおおいにあるのだけれど、それだけではなくて、たぶんあの”夢の国”に行くと人生を謳歌したくなる感じが、”女子高生”によく似合うのだと思う。

憂いなく、あっけらかんと優しく、そこを一歩出れば世界は楽園ではないとわかっていて、その中ではすべてが美しく楽しいところ。

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わたし自身の女子高生時代はというと、田舎の進学校に通い、都会に出ていくためには大学で出て行かなくちゃ、という何やら不思議に切羽詰ったタイムリミットを覚えており、したがって、鬱々とするところも多く、決して楽しくて楽しくてしょうがなかった! というわけではない。

でも、やっぱり、どこかで「今の自分は無敵だ」と思っていたところがあって、それは別に、自分の中に何かが具体的に見いだせていたからではなく、あの年代特有の”人生はそうはいっても、自分にとって、きっといいものであるはず”という、まあいわゆる根拠のない*1自信から来ていた気がする。

そして、その自信の持ち方は、なんだかとても「女子高生っぽい」。

 

そういうわけで、わたしはディズニーランドという場所が、それなり以上に好きだ。行くと、人生がよいもののような気持ちになる。

子どもの頃、あまり楽しい用事ではなかった東京参りの中で、唯一輝いていたスケジュールがディズニーランドだったし、大学生になったとき、そうかもう平日にいつでも行けるのかと、大学に合格したこと以上に東京に来た実感を得たのも、ディズニーランドだった。

家族では、素直な性格の妹の方が、はっきりと公言しているディズニーランド好きで、でも、意外とふたりで行ったことはない。ふたりディズニーは、妹が結婚するまでに、もう少ししておけばよかったこと、の筆頭だ。

実家のアルバムの中には、真っ黒に焼けた妹とわたしが、お揃いの服で笑っている写真が何歳分もある。待ち時間がつまらない、なんてことはなくて、際限ない姉妹のおしゃべりに付き合ってくれた母、疲れると肩車をしてくれる父が、頼もしかった。

大学生になって、台風のような日、母とふたりでシーに遊びに行って、笑ってしまうくらい空いているアトラクションで遊び倒したとき、いつのまにか落としてしまった時計も、あの場所では何事もなかったかのように、翌日帰ってきた。

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デートで行ったのは、おそらく比較的遅い。今の恋人と付き合い始めて半年くらい経った、24の春。行きたい行きたいとしつこく誘って、それが不思議なくらい何度もおじゃんになった末に、シーにたどり着いた。早起きして、ぐるぐるとよく歩いて、わたしはずっと笑っていた。

去年の夏に、久しぶりに恋人と、ディズニーランドに行った。そのランドで、わたしは初めてディズニーでポップコーンを食べ、そしてハニーハントに乗るという体験をした。あの頃、「Seventeen」で繰り返し”みんな大好き”と書かれていたこと2つを、ようやく。

あの頃、”みんな大好き”と言われるものを、わたしは素直に、「わたしも好き」と言えなかった。そういう17歳だった。だから、時を経て、ようやく素直にできるようになったあれやこれやがたくさんある。

そういうひとつひとつが、たいへん気恥ずかしい。気恥ずかしいながらも、一方で、不思議な達成感をもたらす。こぽこぽと胸の奥で、何やらよい匂いの水が湧いてくるような。

最近、大人になるということは、勇気を持つことだなあと思う。自分が好きであるものを、ちゃんと「好き」と口に出せるようになること。少なくとも、わたしはそういう子どもであり、そういう大人のなり方をした。

 

この記事で、ついこの間始めたように思えるHatena Blogも、100記事目らしい。1000記事目も意外とあっさりとやってくるのだろう。

そのときには、と今の少しだけ大人になったわたしは思う。そのときには、こんな長ったらしい説明なんてなしに、ただシンプルに「ディズニーランドが好きだ」と書ける人になっていたい。

 

*1:だからこそ、圧倒的な。