2013年のたべもの
2013年にいちばんたくさん食べたものはなんだろう、と考えていたら、カレーかラーメン、という結論にたどり着いた。どちらにせよ、なんて女子っぽくない……。でも美味しいからいいのだ。
おそらくこの二つを食した回数が群を抜いているのは、カレーもラーメンも、「食べたくないとき」というのがないからだと思う。
よっぽど調子が悪くない限り、「今日何を食べようか?」と思ったとき、カレーかラーメンを思い出したり提案されたりして、「ちょっと食べたくないわー」となることが(わたしの場合は)ない。
言われてみるまですごく食べたい! というわけではなかったけれど、言われてみると、ああ悪くないねカレー食べられるね、まあラーメンならいけるね、と胃が準備を始める。
また、このふたつは、誰かが食べたという話を聞いたり、写真を見たり、いっそ「カレー」「ラーメン」という単語を耳にしただけで、それまでちっとも頭の片隅になかったときほどなお、無性に食べたくなる食べ物でもある。その瞬間、口がカレー(あるいはラーメン)の気持ちになるのだ。
この”口が○○の気持ちになる”というのについては、あるエッセイ*1で穂村さんがじっくり考えてらっしゃるのでぜひ読んでほしい。
まあそういうわけで、職場のランチでも、恋人との晩ごはんでも、非常にカレーとラーメンの登場率の高い一年だった。たぶん、上に書いたような食べるきっかけをみるに、いつもひとりでごはんを食べるなら、あまり登場しないメニューなのではないかと思う。*2
この一年、ほとんど毎食を誰かといっしょに食べ、その結果、2013年は、わたしの人生において稀にみるカレーとラーメンの当たり年になった。
一番記憶に残っているカレーは、この記事*3で書いた”ごほうびカレー”。
バーでランチを食べた土曜日のけだるげな空模様*4と、どーんとのったポークのほろほろ加減と異様な満腹感! シチュエーションと味の両方が濃くて、なんだか何年も前のことのように、あっという間に体に刷り込まれた。
そして、一番たくさん食べたのは、”Shiva Cafe”*5のカレー。と思って今サイトを探したら、なんと今年の11月で閉店! されていた……。ショック……………。
粉好きとしては、ここはカレー屋さんというより、ナンを食べたくなると訪れていたお店でもある。あつあつもちもちのナンが、いつもテーブルの半分くらいを占領してしまってそれが楽しかった。
わたしはここのネパールカレーを辛くせずに食べるのが好きで、恋人なんて毎回辛さ0で食べていた。結局いちどもわたしは頼まずじまいになってしまったけれど、ひとくちもらったドリアもとても美味しかったなあ。
何よりディナーセットについてくるデザート!
セットのデザートとは思えない量とおいしさで、正しく「カフェ」。ゆらゆらとテーブルランプの揺れる中で食べるカレーは、旅先でどこでもない場所で向かい合って食事をしているような、”不思議な宙ぶらりん感”のある味がした。
このお店があったからこそ、カレーを食べる頻度が上がった気もする。
次に行くときは系列の”Sajiro Cafe”*6にいけばよいのかなあ。味は残っていても、通っていたお店がなくなるのはさびしいし、お店は残っていても味が変わってしまうのもさびしいものである。
そして、そんなお店が「東京に」できていたという事実に、少し驚いている。どうやらわたしの人生の拠点は、着実に地元ではなく、東京に移りつつあるらしい。