Neverland in the theater
お昼ごはんは、久しぶりの家パスタ。昨夜、福岡に行ったときに買って、ずっと冷凍していた明太子の瓶を解凍しておいたので、それを混ぜるだけのかんたんな一皿。
福太郎*1さんのTHE MENTAIシリーズ。
ころんとした瓶も、ラベルもすべてがおしゃれで、とてもかわいい。三瓶買って、いちばんスタンダードなものだけ、買った直後に食べきって、あまえびの入ったこちらとチーズの入ったもう一瓶はどちらもすぐに冷凍して、すっかり忘れていた。
たっぷりのお湯で茹でたパスタに、軽く塩揉みしただけのたくさんの水菜とあわせて、最後に罪の意識を消してマヨネーズをかけて、なんともジャンクなお昼ごはん。
パスタを茹でている間は、キッチンとリビングを行き来して本を読む。煮込み料理のときみたいにのんびりは読めないとわかっているのに、なぜか大きなお鍋でお湯を沸かすと俄然、小説が読みたくなるのだからふしぎだ。
茹ですぎないように注意して、ちょうどキリのいいところで推理小説を切り上げる。
食べ終わったら、そそくさと後片付けをして、残りの章を読破した。シンクの掃除もさっとしたし、朝のうちに回した洗濯物もとっくに乾きつつあるしでのんびりした午後。
30分ほどで読み終わったのは、こちら。
ほしかった装丁ではなかったのだけれど、昨日の嵐にどうしても今すぐ読みたくなってしまい、妥協して買ってきた。
大筋は記憶しているので、どきどきを楽しむというよりも、古い映画を観ているようにクラシックな気持ちに。でも、お話の途中、さほど重要ではない描写でちょうど考えていたことが最後に種明かしされたときに、ばちりと合っていてそれにはすごくおどろいた。
大きなネタバレにはならないと思うので記録しておくと、この物語には女優が2人出てくる。その仕事の説明のところで、「キャストに変わってフライングをする」というような描写があった。
特に意味もなく、そのときわたしは先日観たばかりの『ピーター・パン』を思い出したわけなのだけれど、それがするりとまあ正解だったわけだ。
こういうことはままある。そのとき見た何かが別の何かで出てくる、というのはそれでも毎回、肌が粟立つほど面白い。
それは単にわたしがミーハーなせいだという場合も多々あるのだけれど、一見、ものすごく遠いもののつもりで選んだ2つがつながっていると、やっぱり自分の好きなものにはなにか共通するものがあるんだ、と思って納得したりする。
『ピーター・パン』は、家族連れに恐縮しながら、前から2列目のどセンターで観た。びっくりするほどいい席。これは、シングル観劇の最大のメリットだよなあ、と思う。
ここ数年、ほぼ大人しかいない演劇しか見てこなかったので、まず劇場のふんいきがとても新鮮。ちょっとしたテーマパークみたいだ。でも、劇が始まるとすっと静かになって、ちょっとびっくりするくらい快適な観劇環境。
そしてなんと約30分(!)で一度目の休憩があり、なんとなく外に出てジャンクな色をしたドーナツをかじった。
6年ぶりにカムバックしたという神田沙也加嬢のウェンディと、宮澤佐江ちゃんのタイガー・リリーがお目当てだったので、この幕間でやっとピーター・パン役が13歳(!)ということを知る。
ものすごく伸びやかな歌い方で癖のないピーター・パン像に、なんだか納得。
沙也加ちゃんが30でウェンディをやるというのは特に驚かなかったけれど、お相手役とそんな年齢差だっというのはちょっとびっくりした。でも、それを感じたのは最後の場面だけだったのに、またびっくり。
みんなはアナを思い出すのだろうなと思いながら、わたしは数か所、ポニーのことを思い出した。あの音符が跳ねるような台詞の言い方が、ほんとうに好き。それにしても、近くで見ても肌が真っ白でめちゃくちゃきれいで、どうなっているんだろう……。
佐江ちゃんは、かなりディズニーのイメージが強いタイガー・リリーだった。そもそもあの役、あんまり喋らないしなあ。とりあえず、めちゃくちゃ似合っていたのはたしか。キレのいいダンスシーンが多かったので、結局、AKB時代に見られなかったKの演目を観た気分に少しだけなれて、しみじみうれしかった。
最後、幕が下りるときにずっとかがんで、最後まで客席と視線を合わせて手を振り続けてくれて、最後はぜったいに目があったと思う! と思わせて帰してくれるところが、さすが元・アイドルだなあ、と。
でも、思わずぶわっと涙腺がゆるんだのは、1mくらいの距離で見たお目当て二人のキラキラ感にではなく、カーテンコールで出て来たピーター・パンが、ものすごくきゅっと唇を結んで、意を決したように舞台の床を蹴り、客席に向かって飛んできたときの多幸感にだった。
そうだった、この舞台にはそういう演出があったんだっけ、と地元で小さいときに見た当時の舞台を思い出す。
ティンカー・ベルの金色の粉を振りまきながら、二度・三度と真上を舞うのだけれど、口を開けてそれを見てしまう喜びを、二十年ぶりくらいに追体験した。
思えば、多くの子どもと同じように、わたしの舞台の原体験も、この小説やディズニー映画で慣れ親しんだお話だった。
なんとなくだけれど、小さい頃に『アニー』で舞台をはじめて観た子は、「自分でもやってみたい」と思って、『ピーター・パン』がはじめてだった子は、「またこの夢を観たい」と思うようになるんじゃないかな、と思う。
(ほとんどの場合)大人になっても、ピーター・パンにはなれない。でも、ピーター・パンに魔法のお裾分けをしてもらうことはできる。
舞台にいる人に、ひと時だけでも魔法をかけてほしくて、わたしは今もお芝居を観に行っているのだと思う。わたしには劇場といういつでも行けるネバーランドがあるから、いつまでも子どもでなくてもいいのだ。
そんなことを考えながら劇場を出て、今かけられた魔法の反芻は夜までとっておくことにして、当たり前の大人の顔で暮れていく有楽町を歩いた。
Remedy
7月最後の日曜日。一休みの休日。今日はくもり空。
週半ばから恋人が体調を崩していたのもあって、昨日は静かな土曜日を過ごした。わたしもこの数週間の激動ですっかりくたくただったので、元々ひきこもるつもりだったのに、「せっかくの休みなのに」ととても残念そう。
朝がいちばん体調がいいということで早起きをして、シャワーを浴びる。
朝ごはんはサンドイッチ。いつも行くパン屋さんに、耳なしの10枚切り食パンが売っているのにはじめて気づいたので、子どものときに食べていたオーソドックスなものを作る。
バターをしっかりぬったパンに、たまごを茹でてマヨネーズと塩コショウで味付けしたものと、ハムときゅうりをスライスしてはさんだだけのものと、その両方をはさんだものの3種類。
しみじみおいしい。薄くてやわらかなパンでつくるサンドイッチも、やっぱり好きだなあ。
ゲームをしたり、本を読んだり、お昼からワインを飲んだり。しばらく自堕落な時間を過ごす。ワインのおともに、冷蔵庫で眠っていたベーコンを焼いてみた。
さすがにそろそろ食べなければ…という分厚いベーコン。ふだんたまご料理のお供としては、薄くてかりかりに焼いたものが好きなので、週末にお酒を飲むときに食べようと思って寝かせていたもの。
読んでいた本の中で、やたらとお肉とワインを楽しむ描写が出てきて、これは今日食べるべきだなと思ったのだ。
お昼前後から激しい雨が降り始めて、家の中に閉じ込められているのもなんとなく気分にあった。わたしは特に予定がない雨の休日がすごく好き。不謹慎だけれど、嵐の中、閉じ込められているようで家にいることが急にアドベンチャーになる。
これはまるでキャンプみたいだ、と思い、お皿ではなくアルミホイルを取り出して、いそいそとワインのお供を作り始めた。
分厚くスライスしたベーコンと、カマンベールチーズに黒コショウを振って、じっくりオーブンで焼くだけ。
ベーコンはもちろん、少し冷えてしまっても、ちっともかたくならないチーズがおいしかった。
キャンプなんて子どものときにして以来だし、今となってはグランピングじゃなければもうぜったいできない気がするけれど、キャンプっぽいことはずっと好きだし心楽しい。
子どもの頃に繰り返し繰り返し読んだこの本のせいか、わたしはキャンプにひどく偏ったあこがれを持っていた。そして、その反動か、実際に「はじめてのキャンプ」をしたら、急激にキャンプ熱は薄れてしまった。
夕方、外に出ると表は思いのほか、強い雨。傘をさしていても、足元はびしょびしょ。
よく奇妙だ、と指摘されるのだけれど、夏の雨の日にはサンダルを履くことにしている。どうせ濡れるのだから、変にパンプスを履いたりして中がぐじぐじになるよりも、あっさりびしょびしょになって、その傍から乾いていくサンダルの方が理に適っている気がして。
恋人の要望の「ドロリッチみたいなもの」は新発売されていたまさにドロリッチが見つかり、2フレーバー出ていたので悩むこともなく、両方をレジに持って行ってお会計する。
こういうとき、わたしにはしっかりと父方の血が流れているなあ、と思う。大きな出費でない場合は、「悩むくらいなら両方買っていき」という妙な思い切りのよさが。
自分のためにはオレンジ風味のカフェラテを買い、雨なのに(雨だからこそ?)これから引き続き家にひきこもって読むための新しい本が必要だ、とたくさん本も買い込んで帰宅。
緑が多い道を選んで歩くと、こんなどしゃぶりの日は、ほんとうに気持ちがいい。雨にぬれた緑と土の匂いが、わたしはほんとうに好きだ。
一時期、DemeterのDirtという香水が話題になったときには、いつかぜったいに欲しいと思っていたのに、今まで忘れてしまっていた。
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夜、嵐の別荘で起こる殺人事件の本を読み始める。事件が起きる前に結局、早々と就寝。
そして日曜日。今日は今日とて、家の中から覗くと曇天が広がっている。お話の中では事件が起き、2人の被害者が生まれ、探偵役に収まった2人がかぎりなくイングリッシュな朝ごはんを胃に収めている。
読んでいると、こちらもなにかちょっとしたものが食べたくなって、もう少しキャンプごっこを続けるべく、マシュマロを焼いたりした。
キャンプといえば、スヌーピー。そして、スヌーピーのキャンプといえば、焼きマシュマロ! 串がないので、ビスケットの上にチョコをひとかけのせ、その上にマシュマロをのせてオーブンで焼く。
大き過ぎて、半分に割いて乗せたのに、焼きあがったらすっかりマシュマロでビスケットがかくれていた。
だいぶ体調が戻ってきたらしい恋人は、自分で朝からお素麺を茹でて食べ、早々とゲームのコントローラーを握っている。風邪をひいたらゲームをしていいというルールでもあるみたいに。
いつのまにか、日曜日も残り半分だ。
眠ってばかりの日曜日
日曜日。呆れるほどのんびりした。
ちょうど土曜日が終わる瞬間に、昨日買ったばかりの『笑わない数学者』を読み終わり、すっきりした気持ちで日曜日を迎える。
最近、本を読む時間を増やそうと思って、通勤時間にちょくちょく細切れに読書をする習慣を作ろうとしていたのだけれど、宵越しのミステリーを持たないというのは、やっぱりとてもさわやかだ。
このラインの装丁で、着々とS&Mシリーズが集まってきてうれしい。どの形態・装丁でも持っていないのはシリーズ中、『今はもうない』だけかな? きっと近いうちに探して買うだろう。
上に載っているしおりが、昨日書いていた『毎日は笑わない工学博士たち』に挟まっていた「かわいいしおり」。
よく考えれば、ちっとも意識していなかったけれど、今週末は表裏のタイトル2冊を並行で読んでいたんだなあ。森作品に関して言えば、小説の方が圧倒的に読み終わるスピードが速い。エッセイは注釈天国だからかしら。
恋人は結局、かなり深い時間までリビングのTVでゲームをしていたようで、気づいたらどちらもソファーで眠っていた。昨夜の自分の心境を覚えていないけれども、洗ったシーツを敷き直すのがめんどくさかったのかも。
その証拠に、6時頃、クーラーを消して書斎(ここにもベッドがある)に移動して、なめらかに二度寝。
それでもそんなに眠っていられなくて、9時には起床した。
顔を洗って歯を磨いて、お水を1杯。眠っていた頭が覚醒し始めたので、昨日に引き続きラジオ体操をして体も起こす。最近の日本で、ラジオ体操してるのって、もはや子どもより大人の方が多いのでは……。
ラジオ体操をした後は、クーラー三昧だった昨日より少し涼しい気がして、せっせと換気。
朝ごはんはチーズトーストとさくらんぼ、それからコーンスープという簡潔なもの。桃はまだ十分に熟れてなくて食べられなかった。せっかく買ったアロエヨーグルトは存在を失念。
ごはんを食べて、特にしなければならないこともなかったので、また本を読む。映像化の声も聞こえない頃に装丁に惹かれて読んで以来の、古典部シリーズ。
ハードカバーで読むのは、はじめてだ。
冒頭でいきなり、主人公が焼きそばを作っていて、ちょっとうれしくなる。
しかし、わわわ。まさかこんな苦い読後感になるとは……。今回はそれぞれのメンバーの過去が明かされる短編や、具体的なそれぞれの将来の話がされる短編がぽんぽん入っている。
高校生のときの「今本気にならなきゃ、<大人の自分>が思いのほかすぐにやってきてしまう」という焦りのような気持ちを、久しぶりに思い出した。もちろん、ほわっと気持ちがあたたかくなって終わる短編もあったけれど。
書斎で1冊本を読み終えた後、弱い風を感じながらまた一眠り。
12時頃にまた起き上がって、リビングを片付ける。アイスを買いに行って、クーラーをつけて、結局、映画館に行かず仕舞いだった『モアナ』を観ることに。
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海のアニメーションがほんとにほんとに気持ちよくて。お昼ごはんの準備をしながら観たので、流し見だけれど夏の間にもう1回みたいなあ。雑な感想だと、ポカホンタス+リトルマーメイドという印象。
お昼ごはんは、昨日仕込んでおいた豚の生姜焼きを焼いて、とうふとわかめのおみそしるといっしょに食べる、いたって定食ちっくなラインナップ。
そして、その後またリビングのソファーで本を読みながら、うつらうつらと眠ってしまった。なんだか今日は眠ってばかりいる。
再び目が覚めたときには、カーテンの外の空はすっかり暗くなっていて、カーテンをしめながら、ようやく本格的に起きることに。ほんとうに悪い日曜日。なんにもしてないし、食っちゃ寝のお手本のよう。
まだ熟れてなかった桃を、どうにかおいしく食べられないかということで作られたスムージーのご相伴にあずかる。ミルクを凍らせて作った氷まで入っていて、夢のようにおいしい。
ようやく心底すっきりして、ここ1か月くらいさすようになった目薬をおともに、もう1冊本を読み始める。
目薬はスライムのやつを探しに行って、ちっとも見つからなかったのでなつかしのロートCキューブを買って帰ったのがきっかけで、ちょくちょく使っている。
『SMAP×SMAP』の提供がロートだったから、目薬といえばこれだったなあ。コンタクトを付け始めてから、スースーするのが苦手になったので、ノーマルなものを買う。
本は、あいかわらず森ミステリィ。手持ちのS&Mシリーズを再読破してしまったので、Vシリーズを。『笑わない数学者』が館ミステリィだったので、非現実的な舞台でのお話が休日の読書っぽいな、と思い、豪華客船で事件が起こるものを選んだ。
晩ごはんは、白菜と豚肉のミルフィーユ鍋、しらす、納豆、おつけもの、という簡単なもの。残ったごはんは、明日の朝ごはん用におにぎりに。
作中では、船のレストランで紫子さんたちがパスタやらピザやらを食べていて、濃い味がちょっとうらやましくなる。
この週末は、ほとんど家にいた。来週末からは秋までずっとほとんど毎週末、既に予定が入っているので、寝だめをしたみたいな2日間をきっとなつかしく思い出すだろう。次、こんなにのんびりできる週末は8月かなあ。
適度にがんばろう。適度にね。
7年前の夏への扉
6月の最後の日は、品川へ。
この日の品川には思い出があるので、ここ数年、できるだけ仕事をさくっと切り上げてこの街へ行くことにしている。
今年も上手い具合に都合がついたのをいいことに、早々と残業をやめて電車に乗った。結果、むしろ、ちょっと早めに出てしまい、合流の連絡がかかるまで、まだまだだいぶ時間がかかりそう…ということで、軽く腹ごしらえをすることに。
というわけで、三田へ。ちょうど金曜日だったせいか、20時を超えたオフィス街よりの駅は出口を出てもなんだかひっそりしている。あ、今から思うと、あの日はプレミアムフライデーだったから?
駅構内で結構歩き、なんとかA9出口から出て、不安になるような人通りの少ない大通りを渡る。その後は、どんどんどんどん路地に入っていく道順。
小さな洋食屋さんで何かの会が催されているのを見たり、なんだかとってもふしぎな雰囲気のバー(?)を横目に見たりしながら、ともかくずんずん歩くと急に明るい看板が見えて、見上げると2Fに探していたお店があった。
MUNCH'S BURGER SHACKというハンバーガーショップ。
お店はとてもカジュアルな雰囲気で、昼間みたいに明るい。ぱきっと何もかもが照らされているので、ちょっと目がしばしばするくらい。
すごーくポップコーンシュリンプが食べたかったのだけれど、この後、たぶんお酒を飲むだろうしそのときにも何かつまむだろうなと理性を働かせて、ハンバーガーだけをオーダー。
マッシュルームバーガーと最後まで迷って、初志貫徹でベーコンチーズバーガーにした。久しぶりに食べるグルメバーガー。お値段もなかなかセレブ。
でもたしかにおいしかったー。
ハンバーガーを食べているというよりはステーキサンドを食べているみたいにお肉に存在感があるのがふしぎ。付け合せのポテトが少なく見えるし実際少ないのだけれど、ハンバーガー自体がともかく食べごたえがあるので、個人的にはこれくらいでちょうどよかった。
おなかがいっぱいになったので、その後はご機嫌でまた電車に乗って、少し早いかなと思いつつ、品川へ。
この時計を見ると品川だなあと思うので、はじめて写真も撮ってみた。
これ、古典的なミステリだといかにもアリバイトリックに使わせそうな行為だな、なんて思いながら。
品川駅には人がたくさんいて、安心する。人が通っては去っていく駅。
明日から7月だというわくわくと、2017年の上半期が終わっていくということへのほんの少しの焦燥感とを持て余しながら、ぷらぷらとアトレで時間をつぶしていたら連絡が来て、高輪口へ。
数年前と同じ場所で待っていた横顔に声をかけ、もうだいぶ飲んだ相手と、小腹を満たしてしまったわたしとの落としどころとして、やけにぴかぴかと目についたアンナミラーズでパイを食べることにした。
そういえば、アンナミラーズに入るのははじめてだ。いまだに「東京でするはじめてなこと」がいっぱいあるなあ。
お店に辿り着いた時点でもう22時を過ぎていたというのに、明るいパイ屋さんは大盛況。しばらく待ったのだと思う。でも、喋っていたらあっという間。お互い仕事の話もしたりするのが、なんだかふしぎな感じ。
パイとカフェオレを少しずつ胃に収めながら、この数年間の答え合わせをするように、まっすぐ向き合って話していた。
2年前くらいまでは正確な年数を思い浮かべながら「この数年」と言っていたけれど、今年は頭の中に正解がないまま「この数年」と思っている。それだけの月日、と考えるとますますくらくらしてしまう。
エスカレーターではなく、エレベーターを使って、上から下への移動をしながら思う。この数年間、いつもここから、夏が始まっている。
人生のいろんなことが加速度的に好転し始めたのも、この街で6月を終えて7月が生まれるのを見た朝だったなあ、と思う。飛行機に遅れそうで、真っ白い朝の中をヒールで走った。
ホリデイといえばやっぱり夏で、だから大型の夏休みがなくなった今でも、人生の「いいこと」はぜんぶぜんぶ夏につまっていると思っている。暑いのは嫌だけれど、季節はずっと夏であってほしいくらい。
この街のエレベーターには、7年前から、わたしの夏への扉があるみたいだ。
いつも1つあまる
のんびりした一日。
早々と晩ごはんまで食べ終わって、明日飲もうと思って仕込んだアイスティーの様子見をしたりしている。
わたしはあんまり紅茶に詳しくないので、こういうお花の入った紅茶って、単純にテンションが上がるのでとても好き。
お花以外にもドライフルーツのパパイヤが入ったりして、南国気分のフレーバーらしい、ルピシアのGRENADAというもの。青い花って自分で買うことはないけれど、こうして紅茶に入っているといつもきれいだなあと思う。
こちらは夏らしい水出し紅茶セレクションに入っていた1回使い切りサイズのものなので、今度は単品で缶を買ってみようかな。
先の飲んだホワイトサングリア(という名前の紅茶)も、とってもおいしかった。と思って今調べてみたら、あちらにも青い花が入っていた。
このセレクションはパッケージが適度に和で、夏らしくてとても涼やか。
風鈴が欲しくなるデザイン。飲めるのは明日の朝かなあ。朝ごはん用に今年はじめての桃も冷やしてあるので、明日も早く目覚められそう。
桃の季節がやってきたのかー。一年が過ぎていくのはさみしいけれど、桃を食べられるのは単純にうれしい。もう15年くらい、いちばん好きなフルーツなのは、旬以外ではほぼ食べられないからかもしれない。
すっかりリーズナブルなお値段になっているのをスーパーで見つけて、思わずうれしくなった。
お昼ごはんは、土曜日なので焼きそばに。といっても、わたしはお刺身にするつもりだったので、リクエストを受けての変更である。ソースものって、言われると食べたくなる。
そしていざ作って食べてみると、たしかにこれ以外は考えられないくらい怠惰な土曜日のお昼にばっちり合ったメニューなのだった。
最近、もやしと豚肉だけのシンプルなものばかり作っていたので、野菜をたっぷり入れて作るのが新鮮で面白く。
最初に少しだけ豚肉を焼き、そこにがーっと千切りにしたピーマンとたまねぎとキャベツを入れて炒め、最後にもやしを追加。かなりのボリュームがあった野菜たちが、火が通るにつれどんどんくったりしていくので、その水分で麺を蒸しつつ焼く。
ソースは最初麺の上だけに散らして、炒めていくうちに全体と混ぜあわせるのが、味があぼやけなくて好き。
しっかり味が混ざったらしばらく強火で放置して、屋台の焼きそばみたいにかりっと焦げ目をつける。
その間に隣の小さなフライパンで目玉焼きを作って、最後にそれをのっけてぱぱっと黒こしょうを散らして完成。まあ、だいたい最後に目玉焼きがのればこういうものはおいしい。
もやしは一人一袋使ってもいいけれど、今日はそんなにボリュームもいらなかったので二人で一袋にしておいた。
半熟の目玉焼きは、うっかり割ってしまわないように、どの段階で割るか考えながら食べる。最初は焼きそばだけ食べて、次に白身といっしょに食べ、半分くらい食べ進んだところで満を持して黄身を割るのがいちばん好き。
なので、半熟だけれどかんたんにこぼれない固さに仕上げられると、いい日だなあと思う。今日も半熟具合は、なかなかっだった。
お昼を食べた後は、もう一度洗濯をして、今度はシーツなどの大物を片付ける。本はちっとも読み進められなくて、なんだかだらだら。
先週、洗面所の電球を交換したと思ったら、今週はお手洗いの電気が切れたのでようやく交換したり。木曜日に切れて以来、ほぼ家にいないしいいかな……と先送りにしていたのですっきりした。
先週入れ替えたばかりのウォーターサーバーの水はまだたっぷり残っているので、様子見。
早めに食べよう晩ごはんキャンペーンをするべく、ささっとできるおそうめんを6時くらいから準備し始める。揖保乃糸を2束。
わたしはあんまりおそうめんが得意じゃないので、自分のために独立した副菜も作る。無限ピーマン(ほんとうに無限に食べられる)と、焼きナス。おなかがすいたら茶わん蒸しも食べようと思っていたのだけれど、ぶつぎりトマトを食べたら八分目に。
明日は朝ごはんの用意はもちろん、お昼ごはんも、焼きそばのために開けた豚肉と千切りにしたたまねぎを半分使って、今日のお昼から既にしょうがやきのたれに漬け込んで仕込んでいるので、今夜は軽めに。
食後には、これも今年はじめてのさくらんぼをデザートに食べて満足。
それにしても、実家は4人家族だし、今は2人暮らしだして、焼きそばをしたときには必ずこういうことになる。
世の中って3の倍数の家族の方が多いのかなあ。でも、6人家族なんて稀だろうし……。
もちろん、2人暮らしならもう1袋買えばぴったり3回分になるのだけれど、焼きそばってそんなに短いスパンでものすごく食べたくなるものじゃないのだ。それで、だいたいこの最後の1個を持て余してしまう。
今夏は、ダメにせずに食べきれますように。とりあえず、ソースがなくて作るのがめんどくさくなることを阻止して、冷蔵庫のドアを閉めた。
早起きしてモーニングを
そして本日。ふたたび、土曜日。
ものすごくよく晴れていて、先週解禁したクーラーを、今日はほぼずっとつけっぱなし。しんどくて何もする気がわかないよりは、電気代を払ってたのしく過ごす方がいいやと思って。もちろん節約はしたいけれど。
暑くてアイスばかり食べていると、それはそれで贅沢だし。
と言いつつ、今日も食べた。恋人が数日前に買っていて、結局食べずに残っていたアイスクリーム。アイスまんじゅうとメロンジェラートがあって、わたしはずっと気になっていた後者をもらった。
すごく久しぶりに大きなTVでゲームもしたりして、夏休みじみた休日。もうずいぶん楽しんだのに、まだ夜の8時とは。
そもそも、今日はスタートが早かった。金曜日の晩はスムージーだけだったので、おなかが空いて8時前に目が覚める。体も軽いし、どうせ2食になりがちなら平日は晩ごはんを置き換えて、朝と昼に好きなものを食べる生活にしよう…。
もちろん、会食や会合で重いものを夜に食べなくちゃいけない日もあるので、そのときはしかたがないけれど。
というわけで、食欲に導かれるままにした早起き。
たまっていた洗濯物をすぐに回し、その間にストレッチをしたくなって、思いついてラジオ体操(!)をする。陽気な音楽。わーなつかしい。わたしは早起きが苦手で、小学生のときも高学年になってからは、ほとんどサボっていたことを思い出す。
はんこを押してもらうシステムだった年だけ、しぶしぶ通ったっけ。1回行って同じ柄のはんこを探そうと思ったことも覚えているのだけれど、わりに小心者だったのでそのまませっせと通った。
背中を伸ばす運動がけっこうしんどくて、体がかちこちになっていることを実感。もうすぐ夏休み習慣だし、ちょっとこの夏はラジオ体操を日課にしてみようかなあ。
洗濯機に呼ばれるまで本を読んで待つ。今読んでいるのは久しぶりにエッセイ。でも森作品週刊はまだ継続中。
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わたしがはじめて森さんの作品を認識したのは、中学生のときはじめて足を踏み入れた図書館の大人の本ゾーンで見かけた『すべてがEになる』というふしぎなタイトルのエッセイだったので、ちょっとなつかしい。
買った時から挟まっていたしおりが、ちょっと変わっていてかわいかった。
森作品としおりといえば、先週まで読んでいた『月は幽咽のデバイス』は久々に再読したもので、ぱらぱらめくっていたら、もうなくしたと思っていたしおりがぽろっと出てきてびっくりした。
しおり単体で買ったわけではなく、ペーパーブックカバーのセットについていたもの。今はもうない吉祥寺の雑貨屋さんで買ったやつだ。ピンクのギンガムチェックなんてなかなか自分では選ばないけれど、ついてくるとうれしい。
このペーパーカバーシリーズはいまでもかなり気に入っていて、このカバーをかけた本は、ずらっと本棚のいちばんいいところに飾ってある。
エッセイはインターネット黎明期のもので、今回はそこがすごく興味深かった。前回読んだ時は大学生だったので、大学に関する記述が面白かったんだけど。
3月まで読んだところでできあがってきた洗濯ものを干す。そして、9時過ぎにはご近所の喫茶店にモーニングへ。
去年地元に帰省したときにはじめてコメダ珈琲でモーニングを食べて以来、ちょっと喫茶店での朝ごはんが気になっていたのだ。もっとも、いざ行ってみたら、モーニングではなく、結局、気になった単品同士の組み合わせにしてしまった。
シンプルなたまごサンドとハムチーズサンド。奇をてらったところがなくて、しみじみおいしい。久しぶりに、家でも耳がないパンでサンドイッチが作りたくなる味。
調味料はマヨネーズと塩コショウだけのハムときゅうりのサンドイッチに、ゆでたまごをつぶしてこちらもマヨネーズと塩コショウだけで味付けしたサンドイッチ。ブルーベリージャムサンドがあってもいい。
できあがったらラップをかけて、厚ぼったい辞典や図鑑を持ってきて、ぎゅうっと重しをしてなじませて待っている時間もたのしかった。
ともかくお米がきらいな高校生だったので、お弁当嫌いで母にはずいぶんと迷惑をかけたのだけれど、サンドイッチのお弁当のときはほんとうにうれしかったことを覚えている。
家で朝ごはんとして出てくるのは圧倒的に休日のことが多くて、それがしあわせな記憶である一因かも。
母が結婚する前後に買ったというこのケーキ・ブックには、たしかサンドイッチのレシピも載っていて、それを見ながらロールパンで作ったりもした。
この本からnon-noに触れたから、わたしはしばらく、non-noをファッション誌じゃなくて料理雑誌だと思ってたんだっけ。 苺を見るといまだにちょっとドキドキするのも、この本の中に載っていたエッセイのせいだと思う。
それにしても、喫茶店、いいな。カフェ好きは引き続きだけど、今年はちょっと喫茶店も開拓してみよう。
なんだかやたらと前向きな土曜日。これが早起きの威力なら、わたしはそうとう単純でハッピーだなあ。
Snack
海賊を観に行ったのと同じ土曜日。
ぐったりとお昼寝をして体力が回復した後は、さいたまスーパーアリーナへ。久しぶりにライブを観に。自分で一度取ってうっかり流してしまっていたライブだったので、お誘いを受けて、それはもうほくほくと行ってきた。
「あんまりいい席じゃないかも……」ということだったのだけれど、いざ会場に入ってみると、たしかにスタンドだけど観やすくてちょうどいい席。
JUJUさんのSnack JuJu さいたまスーパーアリーナ店。ゲートの入口が猫モチーフでかわいかったのに、撮ったはずの写真が保存できてなかった。残念。なので、残っていたフォトはこちらのみ。
この番組で今回のライブのことを知ったので、記念に。
それにしても、さいたまスーパーアリーナって席に着くまでが遠い。代々木のコンパクトさに慣れてしまっているせいかもしれないけれど。
たしかここでライブを観たのって、2015年の西野カナ先生が最後では……。そもそも、ライブ自体にあんまり行けてないからなぁ。2017年の残り半分は、もう少しライブにも行こうー。
たまアリに来るといつも誘惑される他のお客さんが買ったケンタッキーの匂いをやり過ごしながら着席。
実はライブの元になったアルバムは聞けていなかったのだけれど、社会人になってから知った曲と懐かしの「速報! 詩の大辞テン」で聞いて知っていた歌で8割くらいカバーできたので問題なく。
よっぽどのことじゃない限り、個人的にはアリーナよりもスタンド前列が快適で好きなので、自由に立ったり座ったりして楽しんだ。
たまアリに響く「はーどっこい!」の合唱が面白かった。
母がよくカラオケで歌っていた歌も数曲あって、わたしの年代なら親と行っても喜んでもらえたのかもしれない。
最後のアンコールでJUJUに戻って歌ってくれたオリジナル曲がどれも好きな曲で、更に満足して帰路へ。
すぐには電車に乗れないかなあと思ったのだけれど、終了時刻が8時過ぎととても速いので、近くでごはんを食べて帰るお客さんが何割かいるのか、するっと最初に来た電車に乗れた。
東京まで戻って、わたしたちも「今日はお酒を飲むしかない」ということで、おいしいお肉とお酒を堪能して一日を終了。
ジャズのアルバムは好きで休日よく流しているので、8月にBlue Note Tokyoでやるらしいジャスライブにもすごく行きたい…けど、日程的に無理かなあ。
DELICIOUS~JUJU's JAZZ 2nd Dish~
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- 発売日: 2013/06/26
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第1弾も第2弾もかわいいんだけれど、第2弾のジャケットが特にかわいくて好きなアルバム。
スヌーピーとジャズの組み合わせってほんとうにかわいい。