アムリタ
日曜日。
雨の降らない週末が、もう一周早かったら……と思いつつも、もはや初夏の匂いがしそうな夕暮れを楽しんでいる。
昨日は結局、たっぷりのポップコーンをお供にレイトショーで映画を観て、帰ってきて泥のように眠った。お昼前までぐっすりと。
起きたら家中の窓という窓が開け放たれていて、風が通されていた。びっくりしたものの、もうちっとも寒くない! なんだかゴールデンウィークみたいな匂いのする風だ。冬中締め切っていたので、とてもすっきり。これで冬は正式におしまい。
昨日とほぼ同じ朝ごはんを作って食べ、お水をごくごくと飲む。
先日、数年ぶりに新しいグラスを購入して以来、水を飲むのがとても楽しい。わたしはほんとうに新しい道具を使うのが好きだなあ。
リサイクルガラスでつくられたスペイングラスは、お花見に行った街で衝動買いしたもの。
スタンプという品名の通り、真ん中にぽてっとかわいいスタンプ型の飾りがあるのが気に入って、税抜き500円とお手軽な値段についつい色違いで買ってしまった。
そういえば、生まれてはじめて自分で買ったグラスも、このお店のものだっとなあ。
バレンタインフェアをしていた店内の一角に、小さなチョコレートを詰め込んだ真っ赤なグラスにゴールドで飾り模様が施されたもので、たしかはじめての期末試験が終わった帰り道にごほうびとして買って帰った。
もうだいぶ装飾が剥げてしまって、ほぼ使うこともないのだけれど、あのときのグラスはたくさんの引越しを経てまだ食器棚の片隅にいる。
ここ数年、毎日使っているグラスのは、そっけないほどシンプルで軽いものが多かったので、このぽってりと重みのあるグラスは久しぶりで新鮮。
ほんの少し中の底が斜めになっていたり、きちきちっとしすぎていないところがかわいくて使いだしてますます気に入った。
ターコイズのような海っぽい青と、むしろグリーンを感じさせる淡いブルーのものをひとつずつ。並べると夏っぽくてとてもかわいい。
飲み口のガラスが少し太いので、なんだかついついお酒が飲みたくなること以外は、とても快適!
今年の夏は、「飲まなくちゃ」とがんばらなくても、たくさん水分を摂取できそうだ。
そういえば、お花見をした街のロータリーにはチューリップも咲き乱れていて、これがとても可憐でかわいかった。
桜の淡い色もいいけれど、春の花はこれくらい無邪気に華やかでもいいなあ。
グラスを並べて、窓を開けて「もう初夏だ!」と喜んでいる反面、できるだけ長く春の余韻を味わっていたいなと思っている。
イエローとブルーの夏は、もう少しお預けでいい。
Re: 桜に間に合った一年
2年連続で同じ場所にお花見に行ったのは、学生時代以来かもしれない。
雨降りの週末の合間を塗って、晴天とはいいがたい曇り空の日に、桜を見に行ってきた。びっくりくらいするくらい人が少なくて、でも桜の方はちょうど満開で、曇天のお花見もいいもんだなあ、と。
上を見上げながら歩くのが好きで、お花見は大通り沿いをゆっくり歩きながらするのがいちばん好き。できれば道幅が広くて、屋台かお店がたくさんある通りがいい。
懐かしいお店のあそこがなくなった、ここはまだやってる、としゃべりながらゆっくり歩く。
おなかが空いていたので、大好きなお店で遅めのランチを。
以前はもっとしっかり隣の雑貨屋さんとお店が区切られていたのだけれど、昨今の流行を受けてか、ゆるやかな区切りにリニューアルされていた。
恋人は、タケノコが意外にもすごくおいしかったお花見限定のポキライスボウル。
写真では色がきれいに出ていないのだけれど、このお皿がすごくかわいかった!
こういうブルーやグレーの食器ってほんとうに好きで、ついつい買ってしまうのだけれど、さすがにそろそろ暖色のものを買い足した方がいいなと思って、となりの雑貨屋さんで探すのを我慢。
まったく同じのを売ってたのかな? 気になるのでそれだけでもチェックして帰ればよかったかも……。
わたしはハンバーガーを。パンが食べたい気分だったのだ。
BBQポークを食べやすく割いたバーガーで、もっちりとした白めのバンズもおいしかった! ものすごくジャンクなファーストフードやがっつりグルメバーガーも好きだけれどこういうちょっとおしゃれなのも、たまにはいいなあ。
かわいい器に入った新じゃがのポテトがまた、ほくほくで美味。
ランチセットにつくコーヒーを飲んで、おなかと心が満たされたところで、いちばんの桜スポットへ向かうことに。いつもよりも人通りが少ないせいで、思っていたよりもずいぶんすいすいと目的の歩道橋に着いた。
いつもよりたくさん人が乗っかっているのにぐわんぐわんと揺れるので、実はけっこうスリルがあるのだけれど、この光景が見たくて。
どちらを向いてもひたすら桜並木が続いている大通り。
この歩道橋と、そして横断歩道を渡っている数秒間が、この街の桜のベストスポットだと思う。とはいえ、横断歩道はゆっくり眺めていると危ないので、しっかりみたいときにはこちらの歩道橋で。
学生のときには、自転車道の上にちょうど桜が咲き乱れていて、登下校がいちばん桜を堪能できる時間だったなあ、と上から眺めながら懐かしく思い出した。
満足したら、下を車が通るたびに揺れる歩道橋を本来の用途通り、向こう側まで渡って降りる。
最後はお目当てのパティスリーで、紅茶とクッキーを買って帰るのだ。
近づくだけで胸の中が甘い香りでいっぱいになる、かわいらしい外観の小さなお店。去年はなかなか店内に入れなかったこちらのお店も曇天のせいか、するするとお会計まですすめた。
去年は混み過ぎて買えなかったシュークリームをひとつ買い、食べながら桜の下を駅の方まで歩く。
去年はガールズティーとクッキーの組み合わせだったので、今年は昨年の缶と並べたときに春らしい配色になるミルクティー用の茶葉に。
Deliceという木苺のジャムを使ったクッキーは恋人のお気に入りで、ふだんたいして甘いものを食べないのに、ものすごい勢いで消えて行った。
少しだけお裾分けをしてもらったら、たしかにサクサクなのにしっとりしているという不思議な食感でとてもおいしい。
その後、もう一度ランチを食べたお店に戻って、併設の雑貨屋さんで買い物を。お皿は我慢できたけれど、他のもので散財してしまった……反省!
最後に気になっていたベーカリーに行こうとしたら既にしまっていたのも含めて、行き当たりばったりさが楽しいお花見だった。
最近、あまり慣れていない街に行くことが多くて、しっかり調べて動き回る休日ばかりだったので、こういう「勝手知ったる」街を並んで歩くというのが新鮮。
今年も、桜に間に合った一年になった。
Sleeping Saturday
4月も、半分。月並みな表現しか出てこないくらい、時間が飛んでいく。毎週毎週、週末を心待ちにしているのは働き出して何年目になっても変わらず。
今日は朝起きられたら映画に行くつもりだったけれど、楽しみすぎて5時過ぎに起きてしまい、もうちょっとだけ眠ろうと思ったら次に目覚めたのは11時過ぎだった。
映画は断念して、珍しくだいぶ荒れている家を片付ける。
ソファーに収穫だけされていた洗濯物をきちんと畳んでしまいながら、数年ぶりの映画をBGMとしてかける。
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この間、舞台を観てそれがすごくよかったので、久々に映画の方も観たくなって。やっぱり1の方がラストのスカッと感が高くて好きだけれど、こちらもちゃんと面白かった。
キッチンの片付けと朝ごはんはお手伝い程度に。
あたたかいサラダにするというので、きのことパプリカ、それから小さく切った鶏肉をオリーブオイルと塩コショウ、そしてほんのちょっぴりの醤油で炒め、それが終わったらパンをあたためる。
昨晩から練習していた成果が発揮されたスムージーも飲んで。
なんでも、ほんとうはもっときれいに3層に分かれるらしいのだけれど、これくらい曖昧なマーブルもかわいい。
とろっとろのスクランブルエッグとかりかりに焼いたベーコンも含め、朝ごはんに食べたいものがすべてそろっている食卓で、最後の一口を何にするかたっぷり悩みながらゆっくりブランチをとったらお昼過ぎ。
ごはんの間に回していた洗濯物を、『水曜どうでしょう』を見ながら干して、お風呂に入ったらお昼寝。
明るい色のヒールが欲しいなあとごろごろしながら、雑誌をめくる。のんきすぎる土曜日。
録画していたいろいろな第一話を消化して、引き続き録画するものを精査。平日にも録画していたものをたくさん見たのだけれど、何を見たのか忘れてしまった……。一行だけでもメモっておかなくちゃ。
ゆっくりネイルも塗り直して、久しぶりに淡い色の爪に。その代わり、ペディキュアはぱっきりしたピンク色に。
My Little Boxに入っていた乳白色に本の少しピンクをたらしたような#TOUTE NUDEは、昔ペンパルの子からもらったものにすごく似ていた。そういえば、あの子もフランスの子だったなあ。
晩ごはんは、桜の塩でおにぎりを作った。春の味のおにぎり。
餃子を焼いて、わかめのお味噌汁とブランチの残りのサラダで、ずいぶんと楽ちんなごはん。
何をするでもない週末に焦がれている内に、あっという間にゴールデンウィークの背中が見えて来たなあ。
先週まではまだロングダウンを着ていた日もあったのに、今週は日中、スプリングコートすらいらなかったくらい。
何年か前は、既にこの時期半袖を来ていた気がするけれど、今年はそこまではいかなさそう。
春が好きなので、もう少しこの季節を堪能したいな。
4月1日
春のはずなのに、まだ分厚いコートが手放せない朝と夜が続く。気温的には十分あたたかいはずの日でもなんだかまだ、コートを置いて出るには少し空気が冷たい。
気の早い桜が職場の近くで咲き始めるのを見て、今日もふらりと歩いた近所の道でしっかりとピンクに染まった並木を見た。
なのに、家でもなかなか暖房が切れなくて、1月いっぱいでヒーターをしまってからの戦いが意外と長い。
年が明けてから外出続きだった土曜日、久々に丸一日家に。日曜日はできるだけ家にいようとがんばるけれど、その分、土曜日に外に出ることになるので珍しいスケジュール。
朝ごはんはfroosh*1のスムージー。
出張の時に空港で右側のマンゴー&オレンジを朝ごはん代わりに飲んでから、ちょくちょく飲んでいる。今回は店頭でセールになっていたので、いつもはかわない苺フレーバーも。
バナナとグァバも入っているので、色はちょっとくすんだピンクなのだけれど、ちっともくすみがない華やかな味。割とメインでちゃんと苺の味がする。
朝からバタバタと用事を済ませにでかける恋人を見送って、フィギュアスケート世界選手権女子FPの結果と、昨日驚いたまま寝たAKB総選挙辞退陣のリストをベッドの中でチェック。
どちらも昨日好きになったような気持ちでいたけれど、もう10年以上ゆるくではあるものの追いかけているんだから、そら隔世の感もするわ…としみじみ思った。
ほんとうに何一つ予定がないので、宅急便の再配達をすべて受け取り、ものすごく久しぶりに映画『ミーン・ガールズ』を見ながらアルフォートを食べる。
リンジー・ローハンも最初にかわいい! と思った『ファミリー・ゲーム』のときからは随分違う場所に今はいる。
この映画に出ていた子が順番に「期待の若手女優」になっていってうれしかったなー。
最近、何かにつけ青田買いをする気力がなくなっているのだけれど、やっぱりまだ原石の段階で見ておくというのは面白い経験だと思う。
もうちょっと気持ちを前のめりにしなくちゃ。
お昼ごはんは、お花見で出ていた屋台で買った焼きそばと、ここ数週間食べたかったベーグルという謎の組み合わせ。
その後は半分眠りながら、今更本棚に揃った『ビブリア古書堂』の第2巻を読む。平日ぱらぱら読んでいたのだけれど、ようやく読み終わった。ドラマになったときにぱたりと読むのをやめてしまったのだけれど、やっぱり面白いなー。
今は第3巻を読んでいる。
ここ最近、なんやかんやで毎週末、何かしら本を読んでいるなあ。
恩田陸さんの本できちんとオチが欲しい人にオススメな『消滅』と、江國さんの新刊『なかなか暮れない夏の夕暮れ』は先々週末に一気に読んだ。
恩田さんは新刊のひとつ、地図の本もいっしょに買ったのだけれど、なぜか買いそびれていたこちらの方がだんぜんよかったな。個人的には。
好きな作家さんの新しく読む本が面白いと、それだけで生きていける気がする。次の本が出るまでがんばらなきゃ、と思う。
晩ごはんはこの冬(もう春?)最後かな、と思いながらお鍋いっぱいにクリームシチューを作った。ミステリーと村上春樹さんを読むと、どうもわたしはシチューを煮込みたくなる。
できあがったシチューをよそおうとしたとき、昨日の晩、「また割ってしまった……」と恋人が落ち込んでいたボウルを見つけた。
よくよく聞くと、割ってしまったのは上京してしばらくして帰省したときに、祖母から分けてもらったどんぶりで、なんだそれならもう十分お勤めは果たしたやつだよと、ちゃんと話を聞かなかったのを申し訳なく思ったり。
恋人はペアで買った食器をかなりの確率で割る(!)というジンクスがあり、それでまたへこんでいるのかと思ったのだけれど。
そりゃあね、と思う。飾っておけば壊れなくて済むのだろうけれど、わたしは気に入ったものはどんどん使いたい。だって大事に飾っていても、割れるときには割れてしまうし。
というわけで、割れたと勘違いしていたボウルにたっぷりシチューをよそい、男子FPを見ながら晩ごはんを食べた。
もっとも、わたしの方は、あっという間にあまりの熱い試合に、シチューを食べる余裕はなくなったのだけれども。
昔の選手が好きだし、昔のスケートが大好きなのは変わらない。でも、やっぱり生で見ると、スポーツはいつでも「今」がいちばん面白い!
ものすごくいい試合を見せてもらいました。ありがとうございます。
のんびりして、久々にスケートで熱くなって、でもまだ土曜日。トラピストクッキーを食べながら、本の続きでも読もうかなぁ。
4月1日、エイプリルフールの嘘みたいに平和な一日。これがずっとほんとでありますように。
凍らせた小さな魔法
揃えているわけではなくて、いつのまにか増えているメーカーやブランドのもの、というと最近の我が家はこちら。
BRUNO*1のキッチングッズ。たぶん今いちばん有名なのは、おしゃれなホットプレートだと思う。あれ、たしかに欲しくなるもの!
でも、我が家に集まってくるのはどちらかという小粒な便利グッズがメイン。
その中でも抜群にちいさくて、でも、あるとなしとでは大違い! なのがこちらのアイスキューブ。
濃いピンクとしっかりしたパープル、そして淡いブルーの3色のキューブが、ぎっしりと小さな箱に詰まっている見た目がかわいくて衝動買いしたものなのだけれど、これが思いのほか便利で重宝している。
冷凍庫で凍らせて、ほんものの氷代わりに使うのだけれど、とっても便利!
お酒とお水以外の飲み物は、氷が融けてぐずぐずになってしまうのが苦手で、大概一気に飲み干してしまうのだけれど、これがあればそんな心配はいらない。
氷が融けるのを気にせず、ゆっくり飲みたいペースでグラスを傾けられるのがとてもいい。
フルーツ型だったり、ブルー系の色でまとめられたものだったり、何ver.かあるみたいなのだけれど、このいかにも小さな女の子がよろこびそうな配色のものは、クリスマス前のPLAZAで見つけた。
そのディスプレイが華奢なシャンパングラスに浮かべたもので、そのせいか、うちでもときどき買ってきたばかりのワインに入れてみたりする。
キッチンから料理を運んでいる間にちょうどよく冷えるので、クリスマス以降、何かとワインを買うことが増えた。
もっと邪道(!)な使い方としては、冷蔵庫にビールを冷やしてなかったときにビールに入れるのもオススメ。
透明の液体に入れるのがいちばんきれいだけれど、いちばんよく使うのは、冷たいカフェオレを作るときかもしれない。氷が融けた分、上の方が水っぽくなったカフェオレはとても悲しいから。
パーティーを促すパッケージにつまった12個の小さな魔法が、圧倒的に日常を円滑にしてくれている。夏になったらもっと重宝しそうだなあ。
それにしても、BRUNOのものはほんとうにかわいい!
数年前に買ったセラミックのココットセットも、カラーリングがともかくきれいで、ヨーグルトにも小さいおかずにもちょうどいいサイズでがんがん使っている。
入っていた化粧箱がとてもかわいかったのだけれど、あまりに使い勝手がよくてその箱にしまうタイミングはもう二度とこなさそう。
最新の電化製品や大型の家具によってもたらされる快適さもあるけれど、こういう風に「あってもなくてもいい小さなもの」こそが日常に魔法をかけてくれる威力があるのだと、こちらのブランドのロゴはいつも教えてくれる。
ラクレット分の休息
ある平日。
珍しく平日の夜にプライベートな予定がぽんっと入った日があって。珍しいシチュエーションにわくわくしながら、誘い合わせて同じ電車に乗った。
平日の夜の予定はきちんと決めていると、たのしみなものの「時間までに終わるかな……」ときりきりするので、こんな風に突然入る予定は身軽でただたのしくて、とてもいい。
せっかく女子だけなので、この日はチーズだらけの晩餐をしに。
以前、チーズがおいしい個室のあるお店を訊かれておすすめだけしたところがおいしかったからと、お誘い返しを受けたのだった。
数週間前に猛烈にラクレットが食べたくなり検索をかけたものの、まだ行けていなかったところなのでうれしいー。
駅から少し歩き、「もうそろそろかな?」と思ってからもうしばらく歩くと、にぎやかな表通りから少しだけ入ったところに建つ雑居ビルの中にひっそりとあるお店。
なにもかもおいしかったけれど、おなかがぱんぱんな状態でもするすると食べられてしまったカルボナーラがいちばん印象に残っているかも。
家でおいしく作るのはちょっと大変だし、外でイタリアンを食べるときには、だいたいチーズたっぷりのピザを頼むので、実はあんまりカルボナーラを食べる機会ってない。
嫌いなわけではないし、むしろどちらかというと好きなのに、いつも2番手だから選ばれないメニューというのがある。
たとえば、今日はあげもの定食にしよう、と思ったときにからあげとトンカツだとからあげを選んでしまい、今日こそはトンカツを! と決意して行った日も、季節限定の文字に惹かれてカキフライを選んでしまう、みたいなこと。
カルボナーラは、わたしにとってそういうメニューのひとつみたいだ。
でも、このカルボナーラがほんとうにおいしくて! なんというのだろう、変にクリーミー過ぎないといえばいいのか、ちゃんとチーズの味がしっかりする。パンチの効いた味。
パスタで食べるチーズもいいなあ、と思うおいしさだった。
ほかにも、節度を忘れてチーズ三昧。
ラクレットを頼みつつ、我慢できなくてチーズフォンデュも追加でオーダー。
見た目よりもふんわりしたバゲットに、いつ食べても記憶しているよりおいしいズッキーニ、それからそれぞれ2切れずつのお肉も含めて、なんでもかんでもチーズに絡めて食べて大満足。
せっかくなのでワインも飲み、すっかりいい気分。個室なのをいいことに、よく喋った夜だった。(もう何を喋ったのか、ほぼ覚えていないけど……!)
話の合間にどんどんお料理がサーブされて、渇いた喉を癒すためにアルコールも何度おかわりしただろう。
そして、お目当てのラクレットも堪能。チーズ好きには夢のような料理、という謳い文句に恥じないビジュアル!
食べてみて 思ったのだけれど、たぶん、チーズフォンデュやバーニャカウダとちがって、ラクレットは女子会の定番メニューにはならないと思う。
ともかく、急いで食べるのがおいしさの秘訣なのだ。
グリルされた野菜やエビや鶏肉にそそがれたチーズは、くらりとするくらいとろけてぽってりとすべてをおおいかくしているのに、あっというまに再び固体に戻ろうとする。
なので、遠慮もとりわけもせず、出て来た瞬間にフォークを伸ばして食べるが吉、という食べ物だ。
おそらくそもそもが、あまり大人数で食べるには向かない料理だと思う。
かといって、ひとりだとどんなにがんばっても食べている間に固まってきてしまうし…と考えると2人というのはベストだと思う。3人でもいいかな。
会というには人数が足りないくらいで、チーズに対する情熱のある相手とスポーツのように挑むのが楽しいメニューみたいだ。
わたしよりもチーズ好きな相手とだったので、このときばかりは無言でお皿にフォークを伸ばした。
すごくおいしくて満足! いろんなお店で食べてみたいなあ。
このほかにも数品追加してどう考えても、これ以上食べられないと思いながら、ラストオーダーでは、口が勝手にデザートを注文していた。
ふわふわの生クリームの下に、こりこりとしたマロンとナッツがたっぷりかくれたモンテ・ビアンコ。
人生で何回目? というデザートだし、そもそもマロンがあんまり得意じゃないので、マロンを使ったデザート自体が珍しい選択なのだけれど、はなやかな見た目に反して堅実な味で、とてもおいしかった。
すべてが個室のお店だったので、ずいぶんのんびりしてしまった平日の夜。
考えてみれば、子どものころよりも大人になってからの方がずっと、チーズ料理のことを好きになった気がする。
冷めていても出来合いでもおいしいものが増えたこの時代において唯一、人が手をかけてその場で作ってくれた方が圧倒的においしいものだからかもしれない。
温めたチーズを食べられるのは、料理だけに集中していればいいときが多いから。たとえばピザだって、なかなか何かをしながらでは食べにくい。
たから、わたしは働き出してからずっと日が暮れかけるとテーブルにキャンドルが出てきて、小さな器で温められたチーズフォンデュを食べさせるお店が好きだし、ラクレットが食べられるお店はきっともっと好きになる気がした。
チーズまみれのメニューで、しあわせまみれにされた数時間だった。
ふつうで特別な朝ごはん
というわけで、引き続き日常の記録。朝ごはんをいくつかまとめて。
最近いちばん幸福だった朝食は、知らない街めぐりをした土曜日の翌日、ある日曜日の朝ごはん。
降りた駅で住宅地をずっと抜けたところに、突如、とてもスタイリッシュなベーカリーがあって、そこで芸術品のようなデニッシュを買って帰った。
こちらのパンで育っているんだなあ、とうらやましくなるようなちっちゃい女の子がお母さんとマフィンを選んでいたり、スタイリッシュなのに気取ったところのないすてきなお店だった。
期間限定の文字に珍しくつられた恋人は、苺とピスタチオ。バナナとココナッツという組み合わせが陽気で気に入ったわたしは珍しく、定番のものを買った。
土曜日に続いて、とても天気のいい日曜日の朝で、カーテンを開けると部屋中がさあっとまっしろになったのを覚えている。
朝以外は俄然、かたくてしょっぱいパンが好きだけれど、朝だけは別。
罪悪感なくほおばるクロワッサンやきらきらのデニッシュは、目覚めの良さにも一役買っていると思う。
しっかり焼きこまれたバナナと、さくさくのココナッツが想像通りの味で、奇をてらってなくてとても好みだった。
のんびりした日曜日の朝なのでコーヒーを淹れるのもさぼって、ティーバッグの紅茶を片手に。今日、背の高いグラスを買ったので、これからはミルクでもいいなあ。
もっと怠惰なときには、ベッドでとびきりジャンクな朝ごはんを食べたりもした。
ポテトチップスと、単に味が好きな豆乳バナナスムージー。
このスムージーはだいぶ前に実家に帰った時に母がはまっていて、年末帰ったときにもまだオススメしていたので、だまされたと思って飲んでみたらわたしもはまってしまったもの。
豆乳の味がわりとしっかりするので、そこは好き嫌いわかれるかもしれないけれど。
こんなわるいことをしていいのかしら……とドキドキしながら朝食べたポテトチップスは、うすしおだったせいか妙に健康的な味がして、思ったほどジャンクじゃなかった。面白い。
よくよく考えなくても土日予定がない場合は、ほぼほぼ昼・夜共に自炊していることが多いので、朝ごはんは楽ちんにしがちなのかも。
ブランチの時間まで寝過ごしたときだけは、フライパンひとつで終わるたまご料理とベーコンくらいは作る。
冷蔵庫にヨーグルトがあれば、それも出すだけ出す。
最後にそんなブランチを取ったのはいつだっけ、と写真を見返していたら、このときもバナナをとっていた。
DEAN&DELUCAのバナナブレッド。なにかというと、バナナに手が伸びているみたい。はちみつとグラノーラをかけたヨーグルトも大好きで、いつでもかんたんに作れるはずなのに、もう1か月くらい食べてない。
今日はほんとうは、朝からほっけを焼いてお味噌汁を作るはずだった。たまにはそういう朝食を食べたいのだけれど。
来週はせめてお米だけも前日にセットして、お茶漬けくらいは作ろうかな。